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「痛くなくてよかった、ホッとした」ワクチン国内接種第1号の院長が語ったこと

全国100カ所の医療機関で、約4万人が接種を受ける先行接種がスタート。接種第1号となった新木一弘院長は「受けて30分以上になるが痛みはない」とコメントしている。

新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が2月17日、一部の医療従事者を対象にスタートした。

全国100カ所の医療機関で、約4万人が接種を受ける。

国内最初の接種会場となった国立病院機構東京医療センターでは、接種の様子が報道陣に公開された。接種第1号となった新木一弘院長は会見で、「受けて30分以上になるが痛みはない」と語った。

医療従事者への先行接種はじまる

日本ではファイザー社の新型コロナワクチンが2月14日に承認された。

これを受け、17日から全国100の医療機関で先行接種が始まっている。

先行接種の対象となるのは約4万人の医療従事者。そのうち2万人は、接種後7週間に渡って日誌を付け、経過観察を行う。

ワクチン接種担当の河野太郎行革相は16日の記者会見で、先行接種における2回目の接種は3月10日以降にはじまり、高齢者の接種は「4月からの開始を見込んでいる」と発表している。

接種スケジュールは現場に支障がない形に

国立病院機構東京医療センターでは、医師3人、看護師5人、検査技師2人、事務員2人の合計12人がワクチン接種を受けた。

東京医療センターでは、これまで職員や委託業者のスタッフ全員にワクチンの有効性や副反応などの情報を提供した上で接種希望者を募ってきたという。

その後、職種や勤務部署などを考慮した上で800名が先行接種の対象として選定された。

接種後には熱が出るといった副反応が一定の確率で起きる可能性がある。場合によっては接種後に休みを必要とする可能性があるため、接種スケジュールは病院の診療体制に支障が出ないよう組まれている。

樅山幸彦副院長は、「日常の医療を継続しないといけない」と強調し、次のように話した。

「まず、職員の半分である800人が先行接種するということで、本部の方に希望することをお伝えして、残りの半分を4月以降に優先接種するということにしました」

ワクチンは1回目接種の3週間後に、2回目を接種する。

同センターで2月17日から3月10日までに先行接種の1回目を、3月11日から3月31日までに2回目を接種するという。

「痛くなくてよかった、ホッとした」

新木院長は「医療を安全安心にお届けするためには、院内での感染防止に万全を尽くす必要がある」と説明し、ワクチンが行き渡ることによる医療現場への影響を語った。

「もちろん、我々医療従事者はマスクをしたり、フェイスシールドをしたり、アルコールを日常的に用いて使うなどの防止策を行なっておりますが、やはりワクチンが行き渡って、これによって我々自身そして我々が原因となる感染、そういうものを防いでいくことが必要なことだと考えています」

自身が第1号となったことについては、「やはりこのワクチンが、コロナ対策で大変重要な位置付けを占めるということから、院長が率先して受ける必要があるだろうと思って受けた」とコメント。

その上で、接種後の痛みなどについて、率直に明かした。

「私、あんまり注射が好きではないんですけど、痛くなくてよかった、ホッとしたというのが率直な感想です。受けてもう30分以上経ちますけれども、打った場所にはまったく痛みがなくて、これまで受けた予防接種の中では一番痛みがない方かなと思っています」

コロナ収束に向けた「切り札」

新型コロナワクチンは発症予防効果があることが研究で示されている。

ファイザー社とモデルナ社製のものでは、ワクチンを接種していない人に比べ、接種した人の発症が95%程度減ったことが確認されている。アストラゼネカ社製のものでも、70〜90%程度減ったことが確認されている。

副反応については接種部位の痛みや、頭痛・倦怠感・筋肉痛等が報告されている状態だ。

まれに重いアレルギー反応である「アナフィラキシーショック」を引き起こす場合があるが、適切な治療を受けることができれば回復することができる。

集団接種の会場などでは、「アナフィラキシーショック」に対応するエピペンも用意される見通しだ。

新型コロナ収束に向けた「切り札」として注目を集めるワクチン接種が、ようやく日本でも始まった。

ワクチン接種は医療従事者、高齢者、持病のある人の順に進んでいく。

高齢者への接種開始時期は4月以降を見込んでいるが、詳細は未定だ。