• covid19jp badge

生活保護を受けたいのに追い返される… 「水際作戦を終わらせたい」支援団体が独自の申請システムを開発

生活保護の申請をしにきた人を追い返したり、たらい回しにする「水際作戦」も一部では依然として続く。支援団体は独自の生活保護申請支援システムを開発し、公開した。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって、経済も大きなダメージを受けている。2月から12月にかけて新型コロナに関連して解雇や雇い止めをされた人は7万5000人を超えた。

生活保護の申請も増加傾向にあるが、生活保護の申請をしにきた人を追い返したり、たらい回しにする「水際作戦」も一部では依然として続いている。

生活困窮者の支援を行う一般社団法人つくろい東京ファンドは12月15日、独自の生活保護申請支援システム「フミダン」を開発し、公開した。

合わせて厚生労働省にも申し入れを行い、FAXでの申請を適切に扱うよう自治体の福祉事務所へ通達すること、オンラインの申請システム導入を検討することなどを求めている。

生活保護申請は2ヶ月ぶりに増加

厚生労働省は2日、9月分の生活保護の新規申請数が1万8998件にのぼり、2ヶ月ぶりに増加へ転じたと発表した。

炊き出しや相談現場ではこれまで、中高年の生活困窮者が多かった。しかし、コロナの影響を受け20代から40代の相談者が増えている状況だ。

困窮した時、生活を立て直すために生活保護を受けることは国民の権利として保障されている。

だが、「管轄ではない」「生活保護を受給できる条件ではない」「健康ならば仕事を探すように」などと言われ、追い返されたり、他の自治体にたらい回しにされたりする「水際作戦」が、いまだ一部で続いている。

生活保護を望んで福祉事務所を訪れても、他の制度の説明に時間を割かれ、なかなか生活保護の申請ができないケースもあるという。

今回支援団体が開発した「フミダン」では、オンラインで申請に必要な項目を記入すると、申請書のPDFを作成することができる。そのPDFを自治体の福祉事務所のFAXへ送ることで生活保護申請ができる仕組みだ。

「フミダン」を使うことで、申請者は生活保護の受給を希望する意思を明確に示すことができ、行政側はよりスムーズな対応が可能となる。

ウェブサイト上で福祉事務所のFAXへ送信する機能については、まずは東京23区で試験運用を開始するとした。

「なんとか水際作戦を終わらせたい」

厚労省は今年、生活保護を申請する人の「申請権を侵害してはならない」とする通知を出している。

しかし、つくろい東京ファンドの代表を務める稲葉剛さんは、15日の記者会見で「一部の窓口では、生活困窮して相談した人を追い返す、たらい回すといったことが横行している」と課題を語った。

「4月に生活保護件数が一時的に急増しました。その時期には、かなり追い返された、たらい回しにされたという声が上がっていました」

多くの自治体では、生活保護申請に必要な書類がすぐ手に取れる場所に置かれていない。

カウンターの裏側に置かれているため、「この人に申請させてもいいと思った人にのみ渡されている」という。「恣意的に選別がなされる可能性がある」と稲葉さんは危機感を示した。

「Go To(トラベル事業)が休止になり、経済低迷する中で、貧困が急速に拡大し、水際作戦が激化する懸念を抱いています」

本来はこうしたシステムは「国としてつくってほしい」との認識を示した上で、「なんとか水際作戦を終わらせたい。終わらせるために、システムを活用してきたい」と強調した。

厚労省「オンライン化について検討はしている」

厚生労働省保護課は支援団体からの申し入れに対し、「FAXによる申請自体は否定されるものではないので有効」と明言。東京都に対して、このようなシステム導入の動きがあることを「伝えさせていただく」と語った。

一方で、各福祉事務所のFAXの番号を一覧にして公開することについては「自治体の連絡先を勝手に公開することは難しい」とした。

国として、生活保護の申請業務のオンライン化を進める予定はないのだろうか。

保護課の担当者は「オンライン化について課内で検討はしている」としつつ、具体的な時期や議論の進め方については「未定」とした。

ご意見を募集しています

📣BuzzFeed Newsでは、LINE公式アカウント「バズおぴ」(@buzzopi)で、読者の皆さんのご意見を募集しています。

日々の暮らしで気になる問題やテーマについて、皆さんの声をもとに記者がニュースを発信します。

情報や質問も気軽にお寄せください🙌LINEの友達登録で編集部と直接やりとりもできます。様々なご意見、お待ちしています。

友だち追加