• covid19jp badge
  • medicaljp badge

新型コロナに感染したらどうなる?  PCR検査、入院、ホテルでの隔離…体験者に聞いた。

「日々、テレビやネット上では医療機関が感染者を受け入れたくないと思っているように報道されてしまっていますが、そうではない、本当に緊急事態なんだということを伝えたいです」

新型コロナウイルスにかかったうえでの経験談、私見」という自身が新型コロナウイルスに感染してからの情報をまとめたツイートが拡散している。

このツイートを投稿した高橋さんは、20代の男性。持病がある。

「よりリアリティを持ってこの病気を知り、外に出ないということがいかに大事か広めたかった」と一連の発信の背景をBuzzFeed Newsの取材に語る。

「今からでも遅くありません、仕事や必要な食材の買い出し以外は家にいることを徹底しましょうということを伝えたいと思いました」

新型コロナに感染してからホテルでの宿泊療養を終えるまで、そしてその後について話を聞いた。

4月8日に発症、16日に入院

感染経路は定かではないが、通勤途中か家の周辺で感染したことが考えられるという。マスクを着用し、アルコールでの消毒、手洗い・うがいなど予防策を行った上で外出する頻度も減らしていた。

高橋さんが発熱や寒気、頭痛、下痢、咳などの症状を確認したのは4月8日のこと。5日後から保健所に問い合わせたが、当初なかなかPCR検査を受けることはできなかった。

その間、5回ほど保健所へ問い合わせたと高橋さんは明かした。

「基本的には37.5度が4日以上続いているか、重篤な咳はあるかを聞かれ、それに当てはまらないうちは自宅待機を命じられました。 自宅療養中に一度熱が下がり(数時間)、その直前に4日間熱が続いていたにも関わらず、更に4日37.5度以上熱が続けて出るか、容体が急変するようならもう一度連絡をしてほしい、それまでは自宅で様子を見てくれと言われました」

「最終的には発症から8日目の深夜に41.7度の熱が出て、翌日にようやく受診する許可がおりました」

なお、こうした受診の目安の変更を厚労省では検討している。また高齢者や持病を持つ人、妊婦などの場合には症状が1つでも確認された場合、4日待たずに相談することが現在では推奨されている。

16日に病院へと搬送されPCR検査を実施、両肺に影があることがCTで判明したため、すぐに入院が決まったという。20日にはPCR検査の結果が陽性であることが確認され、新型コロナウイルスに感染していると診断された。

ホテルで隔離された7日間。その過ごし方

幸い高橋さんの場合は軽症だったため、25日には東京都の宿泊療養施設となっている東横イン東京駅新大橋前へと移送された。

ホテルに滞在したのは7日間。時間の過ごし方はどのようなものなのか。

「陽性反応が出ているうちは毎日午前にPCR検査を日曜以外は実施していました。検温は1日2回実施の上で室内の電話で報告。1日1度看護師から電話で問診を受けるほか、1日3回決まった時間に弁当の配布がありました」

「あとは自由時間です。基本的には弁当の受け取りとPCR検査以外で室外に出るのは禁止とされていました」

PCR検査を行う際は別室へと移動する。「検査時間になるとPCRを行う人は部屋の電話で呼び出される」形で実施されている。

隔離先のホテルへと移送されると聞いた時、「1週間ぶりにようやくお風呂に入れる」と思ったという。

「隔離とはいえとても嬉しかった」と高橋さんは当時の心境を振り返った。

もしもの時のため、備えを

自身が感染した体験から、高橋さんはもしも新型コロナに感染し、入院するとなった時に備え、必要なものは揃えておくことの重要性を強調する。

スマホの充電器や延長ケーブル、ゲーム、水のいらないシャンプー、体拭きタオル、着替え、現金など検査を受ける際に入院を見越して持っておけばよかったものを高橋さんはツイートで紹介している。

「近隣に親戚がいる人、頼れる人がいる場合はこの限りではないかもしれません。しかし、一人暮らしで近隣に親がいない、頼れる人がいない人は感染するリスクが十二分にあることを念頭において、可能な範囲で用意をすることは必要だと思います」

病院ではベッドから基本的に出ることはできず、ものを買うことができたとしても1日1回看護師さんなどに頼んで買うことができるかどうか。宅配便も受け付けることができない場合があるため、こうした備えの必要性を感じたという。

10割負担で届いた請求書。金額は…

ホテルを出たあと、入院中の請求書を見た高橋さんは驚いたという。そこに記載されていたのは55万3280円という請求額だった。

これは4月16日から25日まで入院していた病院での検査費用と入院費用の合計だ。宿泊療養施設は東京都が借り上げているため、滞在費用はかからない仕組みだ。

入院した病院で、「公費負担で後日食事代くらいの請求書がいくかもしれない」と案内を受けていたため、請求が来た当初は驚いたという。

この請求書は入院時に保険証の提示をできていなかったため、10割負担で発行されていた。

だが、高橋さんはこうした対応について、「病院も混乱の中でなんとか運営しているように感じましたので今回のようなことが起きても仕方ないのかなと感じます」と語った。

なお新型コロナに感染した場合の治療にかかる費用は公費負担となることが定められているため、一旦支払いをした後に、保健所に申請すれば返金される。

公費負担を受ければ、新型コロナ治療に対して最終的に支払う金額は0円〜2万円。所得に応じて、支払う金額が変わる。

「今、その人ができる最善を模索しているのだと私は感じました」

新型コロナに感染すると、「とんでもないことを普通に言われまくる」と高橋さんはTwitterに投稿した。

自身の体験を発信すると、「コロナで死ねばよかった」といった誹謗中傷のコメントが一定数寄せられたという。

「皆さん抑圧された状態で心に余裕がなくなってしまっているんだなと思います」とコメントした上で、「 そのため、医療従事者や感染者が責められたりすることが起きるんだなと感じました」と高橋さんは言う。

だからこそ、医療従事者は全力で頑張っている、病院は検査をしたくても無闇にはできないということも理解してもらいたいと語った。

必要な人が速やかに検査を受けられるように、検査拡充はできる限り早く行う必要がある。だが、医療現場が逼迫しているのもまた事実だ。

「私から見る限り、現場はいっぱいいっぱいで混乱しており、病院も保健所も人や物資の制約で現状で全力なんだということを感じました。日々、テレビやネット上では医療機関が感染者を受け入れたくないと思っているように報道されてしまっていますが、そうではない、本当に緊急事態なんだということを伝えたいです」

「保健所はじめ役所のスタッフに対応してもらうたび、入院して看護師さんに日々対応してもらうたび、今、その人ができる最善を模索しているのだと私は感じました。世間の意識が少しでもそういった方のケアをできる方向へ向けばと思います」

高橋さんは最後に不要不急の用事がない人に向けて、改めて外出を控えることが重要だと伝えたいという。

「ステイホームが叫ばれていますが、いま家にいることが一番大事なことだとこの記事を読んで感じてほしいです」