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バイ菌扱い、タクシー乗車拒否などの差別や中傷が発生。新型コロナ感染者の出た病院で

2名の医師と2名の看護師の新型コロナウイルス感染をうけ、現在、当該病院では外来、入院、救急の受け入れを停止している。

兵庫県三木市、小野市の総合病院・北播磨総合医療センターが3月23日、「新型コロナウイルス感染症の影響による誹謗中傷・風評被害について」という声明を発表した。

声明の中では、職員への「バイ菌扱い」、「引越し時に引越し業者からキャンセル」、「タクシー乗車拒否」といった誹謗中傷・風評被害があったと説明している。

このような感染症に対する差別や中傷は、いかなる事情があったとしても許されるものではない。

被害は家族や親族にも

北播磨総合医療センターでは3月10日から16日の間に2名の医師と2名の看護師の新型コロナウイルス感染を確認。3月12日から外来診療や救急、新規入院の患者受け入れを取りやめていた。

感染した4人の接触者はすでに特定されており、現在は経過観察を行っているという。

 感染が確認された4人の職員と接触した方々はごく少数(特定済:現在健康観察中)であり、当院の患者さん及び職員の多くは接触していません。
 当院職員に対する誹謗中傷・風評被害の事例では、“バイ菌扱い”、“引越時に引越業者からキャンセル”、“タクシー乗車拒否”などがあります。
 酷い場合は、“接触していないのに家族が勤務先から有無を言わさず出勤停止を言われる”、“親族が介護施設の利用を見合わせるよう言われる”の事例もあり、実害も発生しています。
 これら誹謗中傷・風評被害に対しては、行政窓口に相談するとともに、内容によっては、名誉毀損、精神的苦痛、経済的損失に対する問題となる場合もあると考えております。

「外部に公表しやすいものだけを公表」

今回、声明を発表した経緯を北播磨総合医療センターの担当者は「こうした誹謗中傷・風評被害が大なり小なり、かなりの数確認されているため」と説明した。

声明で例示した具体的な事例以外にも、3月10日に最初の感染者を確認した直後から医療センターでは様々なケースを確認しているという。中には個人が特定しうる情報などもあるため、外部に公表しやすいものだけを公表したと担当者は語る。

仮にPCR検査で陰性が出たとしても、新型コロナウイルスに感染していない証明とはならないが、医療センターに勤務する職員の家族が勤務先での出勤停止を免れるために、PCR検査の検査結果を提示することを要求されたケースもあるという。

行政窓口への相談は行っていると明かし、「名誉毀損、精神的苦痛、経済的損失に対する問題となる場合もある」としている。

「これは当院だけの問題ではないと認識しています。こうした誹謗中傷や風評被害は全国的に存在しているのではないでしょうか」

当初、北播磨総合医療センターが設定した外来や救急の受け入れの停止期間は3月25日まで。近日中に25日以降の対応についても発表する予定だ。

「外来や入院、救急の受け入れを再開することを望む声があることも理解しています。だからこそ、皆様にご理解とご協力をいただきたく呼びかけをさせていただきました」

こうした誹謗中傷や風評被害を防ぐために、新型コロナウイルスの専門家会議も3月19日に公表した提言で、以下のように発信している。

感染者、濃厚接触者とその家族、この感染症の対策や治療にあたる医療従事者とその家族に対する偏見や差別につながるような行為は、断じて許されません。誰もが感染者、濃厚接触者になりうる状況であることを受け止めてください。

報道関係者におかれましては、個人情報保護と公衆衛生対策の観点から特段の配慮をお願いします。感染症対策に取り組む医療従事者が、差別等されることのないよう、市民等は高い意識を持つことが求められます。