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「子どもへの接種をやめろ」Facebookで反ワクチンの“電凸”呼びかけ。法的な問題は?自治体は被害届提出も検討

「電話攻勢は、凄く効果があるようです」「電話抗議で接種をストップさせよう!」ワクチン接種を中止させるため、こんな呼びかけをするFacebookグループが存在する。

子どもへの新型コロナワクチン接種に抗議するため、電話を呼びかけるFacebookグループが発足している。

「電話攻勢は、凄く効果があるようです」

「電話抗議で接種をストップさせよう!」

このグループにはこのような言葉が並んでいる。

ワクチン接種に抗議する“電凸”に、自治体側はどのような対応を検討しているのか?法的な問題点はないのか?

BuzzFeed Newsは自治体や弁護士に取材した。

Facebookで“電凸”呼びかけ

新型コロナウイルス感染症に関しては、従来のウイルスに比べ感染力が高い変異ウイルスも確認されており、子どもも大人と同程度に感染しやすいということが報告されている。

こうした新型コロナへの感染を防ぎ、発症と重症化を予防する効果があるのがワクチンだ。

日本ではファイザー社製のmRNAワクチンの対象年齢が「16歳以上」とされていたきたが、5月31日に「12歳以上」まで引き下げられた。

接種後に起きた健康上の問題はすべて「有害事象」で、そのうちワクチンとの因果関係が確認されたものだけが「副反応」と呼ばれる。

新型コロナワクチンは、副反応として接種部位の痛みや発熱などが起こることがあるとされている。また、まれにアナフィラキシー(強いアレルギー)反応を引き起こすこともある。

現段階でワクチン接種が原因とされる死亡事例はない。

しかし、自治体への抗議電話を呼びかけるFacebookグループには、次のような言葉が並んでいる。

《そもそも治験の終了は2023年。仮に終了したとしても、10年後、20年後にどんな弊害が出るかわからない未知の惑チン。(m-RNA惑チン、動物実験では2年以内に全頭死亡)老い先短いおじいちゃん、おばあちゃんが自分でどうしてもと選ぶなら仕方ない。でも、567にかかっても風邪程度にしかならない免疫力の高い子どもたち(0歳〜19歳の死亡はゼロ)に本当に惑チンが必要?》

(惑チン→ワクチン / 567→コロナと推測される)

自治体による中高生へのワクチン接種について報じた新聞記事をシェアした投稿には、「子ども殺したいの?」「子供たちを助けてください!」といったコメントがついている。

「全国から不特定多数で電話をかけるというのはちょっとマズい気がする」と諫める参加者もいたが、多くは電凸に積極的な声が占めた。

「我々のしていることは攻撃ではない」
「184を頭に入れてから電話すれば、どこからの電話かわかりませんよね」
「このワクチンは日本、世界の問題であり、市や県をまたいで、などど言ってる場合ではありません」

など、抗議を正当化したり、非通知設定を奨励したりするようなコメントであふれかえった。

東郷町「警察へ被害届を提出することも検討していた」

このFacebookグループで名前を挙げられた愛知県東郷町には、抗議の電話が殺到した。

東郷町は6月5日、安心して大学入試や就職試験に臨んでもらうことを目的に、夏休み中に高校3年生にワクチン接種をすると発表していた。

BuzzFeed Newsの取材に対し、東郷町役場の担当者はこう語った。

「抗議の電話が殺到していることについて町長に報告し、今後もこうした状況が続くようであれば警察へ被害届を提出することも検討していました」

「現在は抗議の電話は減少しているため、被害届提出の予定はありません」

総社市「1日100件以上、抗議の電話が」

小6と中学生のワクチン接種について多くのご意見をお聞きし、接種のあり方を再考させます。厚労省が既に接種対象を12歳以上と各自治体へ通達している中、今後、打たない権利をも尊重しながら、接種のあり方について集団なのか個別なのか慎重に協議して参ります。

Twitter / Via Twitter: @souichikataoka

岡山県総社市もこうした電凸の被害にあっている。

総社市役所の担当者は「多い時で1日100件以上、抗議の電話が寄せられた。ほとんど同じような内容の電話で、組織的な何かがあると感じていた」と説明した。

抗議を行うグループに対して、法的な措置をとることや被害届を出すことは現時点では考えていないと語った。

なお、12歳から15歳の子どもへのワクチン接種券はすでに配り終え、今後どのような形で接種を進めるか検討している段階であるとした。

弁護士「威力業務妨害が成立する可能性があります」

Facebookグループで自治体への抗議が呼びかけられ、実際に多数の抗議電話が寄せられている。

こうした電凸は法的に問題ないのだろうか?

インテグラル法律事務所に所属する弁護士の小沢一仁さんは、「このFacebookページの情報だけでは断定できませんが、電話をかけて接種をやめさせるという効果を狙っているようにも見えます。仮にそうなら、これが正当な行為なのかどうか疑問を持たざるを得ません」と語る。

「言論行為としてどこまで許されるのか。あえてみんなで電話をかける必要性・合理性があるのかどうかがポイントになると考えます」

「このページには『電話攻勢はすごく効果があるようです』『今日は●町に皆で電話しよう!みたいなノリで、数十件、数百件から色んな意見の電話があれば~』『小中学生への接種が、非難の電話の嵐で一旦ストップされました』といったことも書かれています。電話という行為は相手に負担をかけるものです。誰かが電話を取り、対応する時間をとられる。それによってその他の自治体業務を停滞させ、本来業務に支障をきたす可能性は十分に考えられます。単に声を届けるだけなら署名等の方法もあり、あえて電話という方法を選択する必要性・合理性があるのか疑問です。自治体側に業務上の負荷を与えることにより、接種を止めさせることが目的であるようにも見えます。仮にそうであれば、威力業務妨害が成立する可能性があると思います」

電凸された自治体の中には、京都府伊根町のようにすでに警察に相談している自治体も存在する。

威力業務妨害などで警察に被害届が提出された場合、罪に問われる可能性があるという。

「近年、抗議の意志を示すために、いわゆる電凸がされる事例が増えていますが、する側にとっては一件一件の電話でも、受ける側はその全部に対応しなければならないので、過大な負担を負うことになります。その結果、署名活動等と比較して、民事上・刑事上のトラブルに発展する可能性が高くなると思われます。目的を達成するために、皆で電話をかけるという手段が適切なものなのか、行動に出る前に考えた方が良いのではないかと思います」

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