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「今は、車上生活」「孤独で死にたい」増えるSOS。相談者の貯金の中央値は2万円、3分の1が家賃などを滞納。

コロナ禍が長引き、支援団体が実施する電話相談会への相談内容は深刻さを増している。

新型コロナウイルスの感染拡大から1年以上が過ぎ、社会に困窮が広がっている。

支援団体が開く電話相談会の相談内容も、深刻さを増している。

相談をした人の過半数が減収したと答え、35%が借金や住宅ローン、家賃の滞納を抱えている。預貯金の中央値は2万円と低く、公助がなければ立ち行かない状況だ。

困っている人々の相談を電話で受け付ける「コロナ災害を乗り越える いのちとくらしを守る なんでも電話相談会」が、6月12日(土)に開かれる。

失業、生活苦、孤独…9000件を超えるSOS

8回目の相談会を開く「コロナ災害を乗り越える いのちとくらしを守る なんでも電話相談会」は、昨年4月からこれまでに7回の相談会を行い、計9161件の相談を受けた。

実行委員会で中心的な役割を担う弁護士の猪股正さんは6月8日、記者会見で次のように訴えた。

「支援策が特例貸付などがありますが、回数や期限のあるものが多い。それらを使い切って、蓄えがなく、立ち行かなくなる人が増えている。第4波で3回目の緊急事態宣言が出され、ギリギリまで追いつめられている人が増えています」

生活困窮者支援を続けるつくろい東京ファンドの代表・稲葉剛さんも「都内各地のホームレス支援団体に集まる方も増えています。新宿、池袋でも5月でも過去10年間最多の人数を記録。リーマンショック以降、最も多くの人たちが食糧支援の場に集まるようになっています」とコメント。

「3回目の緊急事態宣言ということもあり、貧困拡大、深刻化という意味では最悪の状況を更新し続けている」と強調した。

相談者の内訳を見ると、月収10万円以下の人からの相談が最も多く、4月24日に開いた7回目の相談会では全体の66.8%を占めた。

相談内容としては、生活費に関する相談が多いという。

・「契約社員として働いていたが3月末で契約更新されなかった。仕事も見つからず孤独で死にたい」

・「食品販売の仕事をやっていたが、コロナで赤字続きで3月に廃業した。一時、姉の世話になっていたがいられなくなり、今は、車上生活」

・「昨年の9月で雇い止め。それ以降、ハローワークで仕事探すもコロナで仕事が見つからない」

こうした声が寄せられている。

生活困窮に陥った際に利用できる生活保護については、忌避感がいまだ根強い状況だ。

相談の窓口にも、「生活保護は受けたくない。プライドが許さない」「生活保護は、弟が世間体が悪いと反対しているので受けたくない」「まだ働けるので、生活保護はいやだ」といった声が届いているという。

専門家は住居を失わないための支援拡充を提言

第3回以降の5回分の電話相談会のデータを分析した立教大学准教授の後藤広史さんは、次のような特徴があると総括している。

なお、電話相談という特性から相談者の平均年齢は56歳だ。

・相談者の55.9%が減収。

・35%に借金や住宅ローン、家賃の滞納がある。

・預貯金の中央値は2万円とかなり少ない。全体の64%が貯金は10万円以下と回答している。49歳以下では預貯金がゼロと回答する人の割合が高い。

・男性は正規労働者の割合が高く、女性は非正規労働者の割合が高い。

・男性の相談の場合、就職 / 支援 / 助成金といった言葉が登場する傾向が強く、女性の相談の場合は息子 / 介護といった言葉が登場する傾向が強い。

後藤さんは「生活保護へのスティグマ(負のイメージ)が強い中で、住居確保給付金はスティグマも少なく、制度へのアクセスビリティが高いことをかえりみると、当面はこれを拡充・持続していくことが必要ではないか」と語る。

「住居を失うと、貧困状態にある人たちへの支援からホームレス支援へと政策のカテゴリーが変わる。住居があるうちに支援する方が、本人にとっても支援する側にとっても楽であり、ホームレス状態を防ぐことが一義的には重要だと考えています」

8回目の相談会を12日(土)に開催

雇い止めにあった、売り上げが激減して店を続けられない、生活保護を受けたい、国の支援制度を使いたいが使い方がわからない、バイトが減って学費が払えない‥

こうしたあらゆる悩みを相談することができる8回目の「なんでも電話相談会」を、6月12日(土)を開く。

時間は午前10時から午後10時まで。弁護士や労働問題の専門家などに無料で相談可能だ。

電話番号:0120-157-930

「私なんかが相談していいのかな?と迷われる人もいると思うが、一人で抱えずにお気軽にご相談いただきたい」と支援者らは呼びかけている。