ポップコーンを食べていた幼児が窒息。通行人の救助で一命を取り留める。日本小児科学会は「4歳未満に与えない」ことを推奨

    大型商業施設のゲームセンターにある自動販売機で買った、できたてのポップコーン。ショッピングカートに乗りながら1歳9カ月の幼児が食べていたところ、大変な事態になりました。

    ポップコーンのイメージ写真(Getty Images)

    できたてのポップコーンが食べられる自動販売機は、人気キャラクターが描かれていることも多く、子どもたちに大人気。

    ショッピングモールのゲームセンターでもよく見かけますが、思わぬ落とし穴に注意が必要です。1歳9カ月の幼児が窒息して命の危険にさらされたショッキングな事故が判明したからです。

    この事故を報告した日本小児科学会は、ポップコーンが窒息リスクの高い食品と指摘した上で「4歳未満には与えない 」ことを推奨しています。

    底に残っていたポップコーンを食べようとして、容器を傾けて一気に摂取したところ…

    今回の事故は9月1日発行の日本小児科学会の会誌で報告されたもので、同学会の公式サイトにある「傷害速報」にも掲載されています

    それによると「気道異物」「窒息」と診断されたのは1歳9カ月の女児。2022年12月、大型商業施設のゲームセンターに両親と共に訪れました。人気キャラクターが描かれた自動販売機で買ったのは、できたてのポップコーン。母親が押すショッピングカートに乗りながら、容器を手に持って食べていたそうです。


    傷害速報No.129「未破裂コーンの誤嚥による窒息」に添付されたポップコーン自販機の図面(日本小児科学会雑誌 第127巻 第9号より)

    午後4時40分、ポップコーンの大部分を食べた女児は、容器の底に残っていたものを食べようとして、容器を傾けて一気に摂取しました。直後にむせ込んだため、母親が背部を叩きました。

    女児は破裂していないコーンを数個吐き出したものの、まもなく顔色が悪くなり、全身が脱力して、反応もなくなりました。

    通りがかりの一般人によるCPR(心肺蘇生)の結果、1分後に反応が現れ、救急を呼びました。蘇生から1時間後に医療機関に到着。検査で気管支に破裂していないコーンが見つかり、手術で摘出しました。入院から13日後、後遺症なく退院したということです。

    傷害速報No.129「未破裂コーンの誤嚥による窒息」に添付された女児の気管支で発見された未破裂のポップコーンの写真(日本小児科学会雑誌 第127巻 第9号より)

    「4歳未満の子どもにはポップコーンを与えない」ことを日本小児科学会が推奨

    この事故報告の中で、日本小児科学会の「こどもの生活環境改善委員会」は次のようにコメントしています。

    まず、とうもろこしを加熱させてつくるポップコーンは「加熱する際の油不足や種の入れ過ぎ、種の熟成不足などにより破裂せず残ってしまうことがある」と指摘しました。

    またそもそも「破裂したものであってもポップコーンは窒息リスクの高い食品」とした上で、「未破裂コーンは表面が丸く平滑で、硬くて嚙み切りづらいため、窒息につながる危険性が高くなる」としてさらに危険度が高いと警鐘を鳴らしています。

    未破裂コーンは大人でも噛み砕くことは難しく「そもそも1歳児に未破裂コーンを食べる力はない」と指摘。米国小児科学会も公式サイトで、ポップコーンを4歳未満の子どもの手の届かないところに保管するよう推奨している事例を紹介しました。

    また、「市販のポップコーンのお菓子に関しては、未破裂コーンが含まれている可能性は低いと思われる」としつつも、今回のように「作りながら販売されているもの」や「自宅で作ったもの」に関しては「未破裂コーンが混在していることがある」と指摘しました。

    こうしたことを踏まえて、ポップコーンの窒息事故を未然に防ぐ具体的な予防法として、以下を推奨しています。

    ・4歳未満の子どもにはポップコーンを与えない
    ・ポップコーンを食べるときには、未破裂コーンを取り除いて1個ずつ食べるようにする

    子ども達に人気のポップコーンですが、油断していると大変なことに……。子育て中の保護者の方はくれぐれも注意するようにしてください。