ラグビーワールドカップでグループリーグに3連勝し、史上初のベスト8入りに大きく近づいた日本代表。グループリーグ最終戦となるスコットランド戦は、10月13日夜、横浜国際総合競技場で行われる。
一方で気になるのは、次第に日本列島に迫る台風19号だ。
台風19号は大型で、非常に強い勢力を保っている。
このまま気象庁の予想通りの経路を進めば、10月12日の午後から夜にかけて日本列島に上陸し、西日本から東日本方面に進む可能性がある。
気象庁発表の台風19号予想経路(8日6時現在)
13日午前3時の中心付近の最大風速は40メートル/秒という予報が出ている。
千葉県の山間部で今も続く停電など、大きな被害をもたらした台風15号の記憶はいまも新しい。
強い風雨や高潮、高波、そして土砂災害への備えと早めの避難が必要だ。
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台風のW杯への影響は
W杯の運営規程では、グループリーグで試合が行えない状況と判断された場合、「中止」となり、両チームは引き分けの扱いで、ともに勝ち点2が加算される。観客のチケットは払い戻しされる。そうなれば、公式サイトで払い戻しに関する情報が発表されることになる。
ラグビーW杯グループリーグの勝ち点規定
- 勝てば勝ち点4
- 引き分けで2
- 4トライ以上を決めて勝った場合は勝ち点にボーナスポイント1が加算。負けた場合も、7点差以内で負ければボーナスポイント1
ラグビーW杯は通常、雨でも試合は行われる。台風で中止するかどうかは、風雨の強さや、観客を運ぶ公共交通機関への影響など、試合と観戦の安全性を巡る総合的な判断のもとで行われることになる。
日刊スポーツなどによると、W杯組織委員会は10月7日、台風の進路等を見極め、試合開始6時間前までに試合の可否を決めると発表した。
もしも試合中に危険な状況になった場合、ハーフタイムや後半で中止となれば、その時点のスコアで勝敗が決まる。前半で中止になれば、引き分け扱いになる。
なお、キックオフ後に途中で試合中止となった場合、チケットの払い戻しはない。
組織委は9月29日、台風18号の接近でフランス対米国戦(10月2日、福岡)が実施できない可能性があると両チームに連絡したが、台風がそれたことで、試合は予定通り行われた。
日本代表はどうなる?
ラグビーW杯で、日本が入っているグループリーグA組の順位表は以下の通りだ。上位2チームがベスト8(準々決勝)の決勝トーナメントに進出する。
- 日本 3勝0敗 勝ち点14
- アイルランド 2勝1敗 勝ち点11
- スコットランド 1勝1敗 勝ち点5
- サモア 1勝2敗 勝ち点1
- ロシア 0勝3敗 勝ち点0
今後、A組で予定されているのは、以下の3試合だ。
- 【9日】スコットランド対ロシア(静岡)
- 【12日】アイルランド 対 サモア(福岡)
- 【13日】日本対スコットランド(横浜)
静岡・エコパスタジアムでのスコットランド対ロシア戦で、スコットランドが引き分け以下ならば、スコットランドの勝ち点が日本を上回る可能性はなくなり、その時点で日本のベスト8進出が決まる。
スコットランドが勝ち、12日のアイルランド・サモア戦でアイルランドが引き分け以下になるか、台風で試合中止となった場合、現在11のアイルランドの勝ち点は13以下に留まり、日本のベスト8進出が決まる。
とはいえスコットランド、アイルランドのいずれも、総合力でサモアやロシアを上回っており、試合が行われれば、勝ってベスト8進出を最後まで日本と争うと考えるべきだろう。
では、アイルランドがサモアから4トライ以上を奪って勝ち、勝ち点を16に積み上げた場合はどうなるか。
日本がスコットランド戦で引き分け以上となるか、試合が中止になれば、日本の勝ち点は最低でも16となり、直接対決でアイルランドを下している日本がA組首位でベスト8に進出する。
まとめ・日本がベスト8に進出する主なパターン
1)スコットランドが9日のロシア戦で敗れるか引き分ける
2)アイルランドがサモア戦(12日)で敗れるか、3トライ以下で引き分けか、台風で中止(=引き分け)
3)日本が13日のスコットランド戦に勝つか、引き分けるか、中止(=引き分け)
(スコットランドがロシア戦に勝ったうえで、日本がスコットランドに敗れても、得点差やトライ数などボーナスポイントによって、日本がベスト8に進出の可能性がある)
日本がベスト8に進出すれば、準々決勝の対戦相手は、日本がA組を1位で通過した場合はB組2位(20日、東京)。2位通過だった場合はB組1位(19日、東京)となる。
B組では10月7日現在、W杯3連覇を狙う優勝候補筆頭のニュージーランドが3勝(勝ち点14)で1位。2位は2勝1敗(勝ち点10)の南アフリカ。勝ち点は南アと同じだが直接対決で敗れているイタリアが3位だ。
準々決勝の相手はオールブラックスか南アか
NZが残すのはイタリア戦(12日、豊田)。南アはカナダ戦(8日、神戸)。各チームの実力を勘案すれば、このままNZが1位、南アが2位で通過する可能性が高い。
南アがカナダに圧勝して勝ち点を15に伸ばしても、NZがイタリアに引き分け(もしくは試合中止)以上で1位となる。
日本は2015年W杯で南アに勝ち、世界を震撼させた。そして、この伝説的な勝利から、今に続く日本代表の快進撃が始まっている。
日本がA組首位でグループリーグを突破すれば、10月20日に東京スタジアムでの準々決勝で南アと対戦し、この強豪を再び倒してベスト4に進出するという可能性も見えてくる。
日本にとって最善のシナリオは、台風19号が日本社会に大きな被害をもたらさず、かつ日本代表がスコットランドに勝ち、首位でグループリーグを突破することになる。