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イスラエル軍による空爆で5月16日、パレスチナ自治区ガザ市のアルリマル地区に住む家族の家が倒壊し、瓦礫の中から6歳のパレスチナ人少女が救出された。少女の母親と4人の兄弟はこの空爆によって死亡した。
ガザ地区内の地下には、イスラム組織ハマスなど武装勢力が使用するトンネル網が存在する。イスラエル軍は、空爆はそのトンネル網などを標的にしたものだとしているが、多くの民間人も巻き込まれ、犠牲となった。
少女の名前は、スージー・エシュクンタナちゃん。倒壊した家の瓦礫の下に7時間もの間、下敷きになっていた。
顔がほこりに覆われ、額から出血しているスージーちゃんは、救急車に運ばれると、泣き出してしまったという。
ロイター通信によると、その後、スージーちゃんは病院に搬送され、すでに怪我の治療を受けていた父親のリヤドさんと再会した。スージーちゃんは打撲などのけがを負ったが、幸い命に別状はないという。
スージーちゃんが隣のベッドに運ばれてきたとき、父リヤドさんは「どうか許してほしい」と彼女に声をかけた。
「『お父さん、助けて』ってスージーが叫んでいたのに、行ってあげることができなかった」
4歳の弟を含む兄弟4人とスージーちゃんの母親は、この空爆で死亡した。
スージーちゃんと父親が病院で治療を受けていた間、きょうだいのダナちゃんが病院に運ばれてきたが、息はなかったという。
「突然、炎に包まれたロケット弾が、家の壁を真っ二つに破壊したんです」と父親のリヤドさんはロイター通信の取材に対し、語った。
慌てて、リヤドさんは妻と子供の様子を見に行ったが、2回目の爆発で天井が崩れてしまったという。
父親のリヤドさんは、ロイター通信に後悔の念を打ち明けた。
「息子のザインが、『お父さん、お父さん』と私を呼んでいるのが聞こえました。声がしたので、ザインは無事だと思いました」
「しかし、私は瓦礫の下敷きで動くことができなかったため、息子の元に行ってあげることはできませんでした」
「私の心は、怒りでいっぱいです。しかし、娘のスージーが生きていたと聞いて、神に感謝の言葉を告げました」
「亡くなった子供たちの分まで、きっとスージーは笑顔をみせてくれると思います」
今回の攻撃は、ガザ地区を実効支配するハマスの軍事拠点などを標的にしたもので民間人の犠牲は意図していないと、イスラエル軍は主張している。
だが、パレスチナ側保健省の発表によると、この空爆で3つの建物が倒壊し、約50人が負傷。10人の子供と16人の女性を含む42人が死亡した。
瓦礫の下にいる生存者の救助活動は続いており、今後も犠牲者の数は増える可能性がある。
今回の衝突のきっかけの一つと多くの関係者が指摘するのは、東エルサレムのシェイフ・ジャラーハ地区でのパレスチナ人立ち退き問題だ。
両方の対立はますます激しくなり、5月10日以降、イスラエル側にはパレスチナ勢力による1000発を超えるロケット弾が降り注いだ。
一方、パレスチナ・ガザ地区では、イスラエル軍が米AP通信やアルジャジーラの支局があるビルまでも空爆され、多くの民間人が犠牲になる事態となった。その半数近くは、女性と子供だ。
ガザ地区の保健省によると、イスラエル軍の空爆により、ガザでは少なくとも232人のパレスチナ人が亡くなり、うち100人以上は女性と子どもだという。また、交戦が始まってから7日間で約1,300人が負傷した。
イスラエル側では、2人の子どもを含む10人の市民が、ガザ地区から発射されたロケット砲によって死亡した。
5月15日早朝には、ガザ市のアルシャティ難民キャンプがイスラエル軍により空爆され、8人の子供と2人の女性を含む10人が殺害された。
モハメッド・アル・ハディディさんは、この空爆で妻と4人の息子たち(それぞれ、5歳、8歳、11歳、14歳)を亡くした。
倒壊したキャンプの瓦礫の中から生きて救出されたのは、生後5カ月の息子、オマール君だけだった、とモハメッドさんはとニューヨークタイムズに語った。
同日、イスラエル軍は米AP通信やアルジャジーラの支局がある12階建てのビルを空爆した。
この攻撃は、「地域の自由報道に対する脅威」として多方面から非難を受けた。AP通信は、今回の件を「極めて不穏な出来事」と話す。
イスラム組織ハマスがこのビルを拠点に活動していた、というイスラエル軍の主張を裏付ける客観的な証拠は示されていない。
衝突の激化で、パレスチナを支援するデモが世界各地で行われるようになり、ユニセフ中東・北アフリカ地域事務所代表のテッド・チャイバン氏は、次のような声明を発表した。
「攻撃の規模は、非常に大きいと言えるでしょう。今回の対立により、危険にさらされているのは子供たちです。速やかに双方が退き、この対立を終息させなければなりません」
本格的な情勢悪化から12日目となる5月21日、イスラエル軍とハマスの停戦が発表された。
ハマスによるロケット弾の発射とイスラエル軍の空爆は止まった。しかし、それをもってパレスチナ問題が解決したわけではない。
これから改めて双方の不満が蓄積していけば、いつ再び、このような暴力が噴き出てもおかしくない。先行きは不透明な情勢だ。
この記事は英語から翻訳・編集しました。