危険な子ども向けYouTube動画が後を絶たない リストカットを促す動画も

    子ども向けのユーチューブ動画に紛れ込む不適切な表現。ある動画にはアニメの合間に、とあるユーチューバーの自傷行為を促すメッセージが紛れ込んでいた。

    子どもを持つ親は、「YouTube Kids」のアプリに投稿されたある動画に関して気が気でない。それは、自傷行為を真似する男性の映像が、つぎはぎに埋め込まれている動画だ。

    2018年にもこういった動画は確認されており、YouTubeは、保護者による通報で、少なくとも2本の動画を削除している。

    最近では、『スプラトゥーン』のキャラクターが登場する動画に自傷行為に関する動画をはさみ込んだものがその対象となっている。動画の中では、フィルシー・フランクと名乗る男がリストカットの真似をしながら「いいかい、子どもたち。よーく見るんだ。こうすれば…終わりだ」と呼びかけている。元動画は緑色の背景を前に撮影されたものだが、投稿された動画ではスプラトゥーンの世界に様変わりしている。

    こうした『スプラトゥーン』を基にしたオリジナル動画は、YouTube上で何万回も再生されているものばかりだ。つぎはぎの動画を投稿している者が何者かは、判明していない。BuzzFeed Newsの取材に対して、YouTubeは投稿者に1回目の警告をしたという。規約に違反し続けた場合は、チャンネルを閉鎖するとコメントしている。

    小児科医で子を持つ母でもあるフリー・ヘス氏は、2018年7月にこうした動画の存在を初めて知ったと振り返る。その日、同じく子を持つ友人が「YouTube Kids」に載っている動画をヘス氏に見せた。そこには、フィルシー・フランクの動画も含まれていたという。

    「この緑の背景で撮影された動画は愚かで、非常に攻撃的なものです」と彼女は語る。動画が取り下げられるまでに、その再生回数は60万回を超えていたという。

    この件に関して、彼女はブログにも投稿。ほかの保護者たちに対して、子どもがこうした不適切な動画に触れるリスクを紹介した上で警告した。

    「友人の息子はいくつかのアニメをYouTube Kidsのアプリで見ています。でも、動画を最後まで保護者が事前に目を通すなんてできるでしょうか?」

    ヘス氏は、不適切な動画をしきりにYouTubeへ通報している保護者もいると語る。しかし、直接問い合わせをするまで、削除されることはなかったという。

    フィルシー・フランクのチャンネル登録者数は620万人。BuzzFeed Newsは、チャンネルの運営者にコメントを求めているが、これまでに回答は得られていない。彼のYouTubeページには、「フィルシー・フランクは人々がすべきでないことを体現しています」というメッセージが添えられている。別の動画で彼は自殺をするワンダイレクションのファンに扮している。彼は1年以上前に最後の動画を投稿して以降、活動は止まっている。

    ヘス氏は、再度アップロードされた動画のコメント欄に、数ヶ月前から削除を求める声が投稿されていたことを確認している。しかし、実際に動画が削除されたのはここ数日のことだ。

    彼女は子どもをターゲットにした自傷行為を促す動画は、まだまだYouTube上にあると考えている。動画を管理するYouTubeには、子どもたちがこうした動画を目にする前にこうした動画へ毅然とした態度で対応することを期待している。

    「こうした動画が子どもたちに与える悪影響を認識してほしいです。通報が届いたときに、即座に対応することを求めます」

    「対応は迅速であるとは言えず、またYouTubeがこうした動画の削除に真剣に取り組んでいるとも思えません」

    BuzzFeed Newsの取材に対して、YouTubeの広報担当者は、ユーザーおよび不適切なコンテンツを自動で検出するシステムを信頼しているとした上で、「YouTubeが危険行為を助長しないよう努めていきます。自傷行為を促す動画は、我々の規約で厳格に禁じられています」とコメントしている。

    「我々は日々、規約に違反した100万件以上の動画を削除しており、その多くは1度も再生されていないうちに検出されています」

    この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:千葉雄登