米イリノイ州ボーリングブルック在住のマリア・トレッツァさん(56)は、小学校の教員助手として働いていた。
しかし、新型コロナウイルスの影響により学校は一時休校に。マリアさんは働けなくなってしまった。
収入が無くなってしまったマリアさんは、とあるビジネスを始めようと決意する。
きっかけは、マリアさんの友達が「リスのためにピクニックテーブルを購入した」とフェイスブック上に写真を投稿したことだった。
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新型コロナウイルスによる外出自粛を受け、野生のリス用のテーブルを自宅の庭に用意する人がSNS上に多く現れた。写真も多く出回っている。
マリアさんもまた、リス用テーブルが欲しかったそうだ。友達に値段を尋ねたところ「20ドル(日本円で約2000円)」と返ってきた。
「解雇されて数週間たっていたので、リス用テーブルのために20ドルを支払う余裕はありませんでした」
彼女は近所に住むロブさんに軽い気持ちでテーブルのことを話した。
その2日後。ロブさんから「手作りのリス用テーブル」のプレゼントが届いた。
マリアさんはときどき、手作りの料理をロブさんに届けていた。
そのお返しとしてテーブルをプレゼントしてくれたのでは、と彼女は語る。
「私は貰ったテーブルに、テーブルクロスや小さな花を付けてフェイスブックに写真を投稿しました」
「すると、友達から『私もテーブルが欲しい』とお願いされるようになったのです」

そこで、マリアさんはロブさんを説得し、リス用テーブルの販売を始めた。
売り上げは順調だった。1週間もたたないうちに、彼女は130台のリス用テーブルを地元の人に向けに販売した。
マリアさんの息子であるドミニクさん(28)は、苦境にも負けず、斬新なアイディアで新しい仕事を見つけた母を応援するべく、ツイッターでこう呟いた。
「ボーリングブルックの近くまで来たら、母のリス用テーブルを買ってくれたら嬉しい。今、母は失業中なんだ」
If you’re in/near Bolingbrook , buy a squirrel table from my mom. She’s out of work right now
つぶやきは注目を集め、1万6000回以上リツイートされている(5月11日現在)。
世界中からドミニクさん宛てに、「マリアさんのリス用テーブルを買いたい」という内容のダイレクトメッセージが350件も届いたという。
BuzzFeed Newsとの電話取材中にも、オートバイクで1時間かけて、マリアさんのリス用テーブルを購入しに来た客がいた。
彼もまた、ドミニクさんのツイートをみて買いにきたそうだ。

ドミニクさんは、母親の新しいビジネスを「面白いと思った」と語る。
「単に、私の友達の中に欲しい人がいるかなと思ってツイートしたんです」
「理由は分かりませんが、そのツイートが大きな反響を呼びました」
現在ドミニクさんは、シアトルの近くに住んでいる。ツイッター上での客からの問い合わせに対応するなどして、母親を手伝っている。
遠方に住む人もテーブルを届けられないか、方法を模索中だという。
「私のつぶやきに対し、好意的な反応をもらえるのは嬉しいです」とドミニクさん。
「リス用のテーブルをみて、誰かが笑顔になったり、誰かの1日がより良くなるならば嬉しいです」
現在、マリアさんのテーブルは2000円ほどで販売されている。追加料金で200円を支払えば、ミニ・レジャーシートとリボン付きのピーナッツが付いてくるそうだ。
マリアさんは、このアイデアは自分の考えたものではないと強調した。
テーブルの供給元であるロブさんの大きな助けを借り、外出自粛期間中にビジネスを運営しているだけだ、と。
ロブさんは、ある週末だけで27台ものテーブルを作り上げた。
「テーブルを受け取った客は、とても喜んでいました」とマリアさんは語る。
「本当に食べてる!」
@DominickTrezza He really do be eating tho
マリアさんは、なぜ自分のリス用テーブルだけがこんなにも注目を集めているのか、分からないという。
収入よりもお客さんの喜ぶ姿をみることに、何よりもやりがいを感じる。そう彼女は語った。
「大勢の方々が息子のツイートにコメントを残してくれて…信じられないです」
「社会的距離を保ちつつですが、お客さんと会うことができるのは嬉しいです。みなさん、とてもフレンドリーで」
「この状況下で、みなさんが喜んでくれるところをみると、幸せな気持ちになります」
マリアさん宛に感謝の手紙が届くこともあるそうだ。


「みんな、喜びの気持ちを手紙に綴ってくれます。リス用テーブルがこんなにも人々に喜びを与えているとは…面白いですね」とマリアさんは笑った。
この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:オリファント・ジャズミン