コロナワクチンの接種会場で、日本語に不慣れな外国人を、スムーズに案内するにはーー?
新型コロナウイルスのワクチン接種会場には、日本に住む様々な国の出身者、そして様々な日本語習得レベルの外国人が訪れる可能性があります。
接種会場での会話の「やさしい日本語」への言い換えを説明する動画が作られました。
動画をつくったのは、医療機関に「やさしい日本語」を普及する活動をしている、「医療×『やさしい日本語』研究会」のメンバー。
やさしい日本語とは、難しい言葉を言い換え、分かりやすい言葉や文法を使った、外国人などにも分かりやすい日本語のことです。
接種会場の受け付けや問診、ワクチン接種の際の会話では、普段使わない表現や医療用語も多く登場します。
そのような難しい単語や表現を、いかに分かりやすく伝えるかを説明しています。
各地の接種会場ですぐに、やさしい日本語への言い換えを実践できるよう、約2分半の動画をYouTubeで公開しています。
接種会場で多言語での通訳を用意している自治体もありますが、ごく少数です。
出入国管理庁が在留外国人を対象に実施した調査でも、8割以上が「日常生活に困らない程度に(日本語で)会話できる」と答えているため、やさしい日本語への言い換えが役に立つと期待されています。
どのように言い換える…?イラストの指さしも効果的
動画で説明されている言い換えには、以下のような例があります。
接種前の問診では「体調はいかがですか?」と医師が聞きますが、「体調」という言葉が分からないことを想定し、より簡単な言葉を用いて「今日は元気ですか?なにか問題はありますか?」と聞いています。
「接種券」や「身分証明書」などの言葉も難易度が高いため、受け付けに予めイラストを用意して、「これとこれを出してください」とイラストを指さしながら伝えます。
医療×「やさしい日本語」研究会の世話人代表で、順天堂大学医学部医学教育研究室の武田裕子教授は、BuzzFeed Newsの取材に、こう話します。
「約1か月前、65歳未満の住民にもワクチン接種が拡大することを受けて、『やさしい日本語』に関するお問い合わせを複数の団体からほぼ同時にいただきました」
外国人のサポートをする支援者や、外国人が多く住む自治体の首長から「接種会場で使える、やさしい日本語でのツールはありますか?」「どのような表現を使えばいいですか?」との質問が相次ぎ、「研究会で今やるべき」と、動画や資料の作成を決めたといいます。
フレーズ集の公開については、日本語学習支援をする団体から「練習に使います」と連絡があり、また、ろう者の関係者からも「手話通訳がいなくても、会場にフレーズ集を持っていけば、指さしをして使える」との声も寄せられました。
武田教授は「やさしい日本語は、外国人だけでなく、高齢者や障がいのある方など、様々な人に伝わりやすいです。この教材も、多方面でお使い頂けるのではないかと思っています」と話しました。