「3日食べてないの声」「餓死や凍死する人が」生活困窮者が直面する状況。年末年始に向け、必要とされる対策は

    年末年始に向け、生活困窮者への支援を強化するよう、14の支援団体が合同で東京都に緊急要請をしました。

    「困窮してもSOSが出せず、水道まで止まってしまうと、もう死ぬしかないと思い詰めてしまう人もいます」

    コロナ禍の影響や前例のない物価高騰の中、14の支援団体がこのほど、生活困窮者への支援を強化するよう東京都に緊急要請を行った。

    都に対しては、ライフラインである水道や住まいについての支援強化を求め、要請書を手渡した。

    「このままでは凍死する人でる」1月からは特例貸付の返還開始

    経済的に厳しい状況に置かれる人たちを支援する団体のメンバーは12月2日、都議会の会議室で都や水道局の担当者と面会。生活困窮者が置かれる現状について話し、必要な支援について説明した。

    一般社団法人「反貧困ネットワーク」や「つくろい東京ファンド」、「あじいる」など14団体のメンバーが参加した。

    コロナ禍では、仕事を失ったり、収入が減少したりした人たちに対し無利子で生活費を貸し付ける「特例貸付制度」があったが、その返還が年明けの1月から始まる。

    特例貸付を利用した人の中には、生活を立て直せず、自己破産の手続きを始めた人もおり、すでに1000人を超えているという。

    反貧困ネットワーク事務局長の瀬戸大作さんは、「返還が1月から始まるが、『支払いもできないし死ぬしかない』という相談が急激に増えています」とし、こう訴えた。

    「このままでは年末年始、本当に凍死する人がでてしまうと心配しています。クリスマスや年末年始、そのようことがないように先に対応することを緊急に検討してほしい」

    この日、小池百合子東京都知事や都の福祉保健局長、住宅政策本部長、水道局長に宛てられた要請書で求められたのは、以下の5点。

    1 家計急変世帯・暮らし臨時給付金(電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援)の周知を求めます。

    2 償還免除付の住居喪失者向けの住宅支援資金貸付制度の新設を求めます。

    3 都営住宅の入居要件を緩和、60歳未満、単身でも入居できるようにすることを求めます。

    4 水道料金の滞納者に対し、安易に給水を停止しないでください。

    5 居所を喪失した方が生活保護を申請した場合、無料低額宿泊所や施設入所を強要しないでください。

    「手持ちが千円切っている」「3日食べていない」相談の声

    炊き出しや生活相談などで日々、困窮者から話を聞いている支援団体のメンバーは、「『手持ちが千円を切っている』『電気がとまった』『3日食べていない』という相談が相次いでいる」と話した。

    年末年始は、役所が休みに入るために、生活保護の申請などもできなくなってしまう。

    「餓死したり凍死したりという人が本当に出てしまう」とし、住居や水道をめぐる対策の強化は喫緊の問題であると指摘した。

    水道の給水停止、例年の2倍のペース

    要請では、水道料金の滞納者に対する給水停止について、改善を求めている。

    都議会では11月4日、給水停止件数が急増しているとの指摘があった。

    2022年4〜9月の半年で、給水停止が約9万件にものぼっており、例年では1年で10万5千件のため、2倍のペースにあたる。

    水道料金が払えない人たちが増えているとみられ、給水停止までのプロセスや通知の方法に工夫が必要だとしている。

    背景には、委託業務等で行っていた未払い者の自宅への訪問がなくなったこともある。これまでは直接、自宅に訪問して、水道料金の支払いを促していた。

    支援者によると、これまでは現場でも、水道料金が払えないほどの困窮状態にある人には、自治体と連携し、生活保護などの支援制度につなげるなどの取り組みが行われてきた。

    しかし訪問がなくなると、今後はそのような連携も難しくなると指摘した。

    2021年度までは、水道料金の支払いがない場合は自宅に訪問して催告しており、それにより86%の料金未納が回収できていた。

    しかし今年度からはその動きがなくなったため、郵便の通知のみで催告をしており、給水停止が増加しているとみられている。

    それに対し、水道局の担当者は以下のように回答した。

    「何か異常があればしっかり福祉につないでいくということは、地区町村と連携して取り組んでいる」

    「水を止めに行くときも現場にいかなくてはならないので、何か異常を察した時は対応します。それはこれまでもやってきたし、これからもやっていく」

    無料低額宿泊所の実態も指摘

    要請では、支援団体のメンバーが、無料低額宿泊所の実態も都側の担当者に説明。

    十分な設備でないにも関わらず高額の住居費や食費などの費用を取られたり、寮長や同居者からの暴力行為があったりすること、ずさんな新型コロナ対策などの問題を指摘。

    住まいを失った人が生活保護を申請した場合、無料低額宿泊所や施設入所を強要しないよう、強く求めた。

    無料低額宿泊所の実態については、「非常に深刻な事態が横行している。早急な実態把握をしてほしい」「施設側だけでなく入居者への聞き取りをしてほしい」と強調した。