「鳥肌がたって、嬉しくて泣いてしまいました」
同性婚の実現を求める「結婚の自由をすべての人に」訴訟。福岡地裁での裁判の原告、こうぞうさんは札幌地裁の判決を受け、喜びをあらわにした。
同性カップルが国を相手取って起こした訴訟で、札幌地裁は3月17日、同性婚を認めない民法の規定を「違憲」とする司法判断を下した。
この訴訟は判決が出た札幌以外に、東京・名古屋・大阪・福岡でも裁判が続いている。
同日夜に開かれたオンライン報告会で、他地域の原告6人が、札幌での判決を歓迎し、裁判への思いを語った。
各地から見守った、札幌の判決
こうぞうさんは「(札幌での判決が)ずっと気になって眠りが浅く、裁判の夢を見た」と振り返る。
判決が出たのは17日午前11時過ぎ。「午前中からSNSに張り付いて、見守っていた」。
まず「賠償請求は棄却」の速報が届き、その後「憲法14条(法の下の平等)に反し違憲」との報道を目にした。
「14条について違憲と出たときには、自分も鳥肌がたって、嬉しくて泣きました」
福岡での裁判は、5月10日に第4回口頭弁論がある。こうぞうさんも法廷で陳述する予定だ。
札幌地裁の武部知子裁判長は、同性カップルが婚姻による法的効果を得られないことは憲法14条に反するとの初判断を下し、同性婚実現に向けた法整備の必要性を示唆した。
原告側にとっては実質的に勝訴に近い判決だ。必要な法整備を怠った「立法不作為」があったとまでは言えないとし、賠償請求は棄却した。
大阪訴訟の原告である田中さんは「賠償請求の方はダメでしたけど、そもそもそれは目的にしていない」「法の下の平等という部分で違憲判決が出たのは、すごく嬉しかった」という。
パートナーの川田さんも「まだまだ時間はかかりそうですが、まず札幌の結果が出て嬉しいの一言につきます」と話した。
「裁判長の誠実な思いが、降りそそぐよう」
東京訴訟の原告の西川麻実さんは、札幌に駆けつけ、傍聴席で判決を聞いた。
「裁判長の言葉を聞いて、誠実な思いが矢のようにふりそそぐというか、本当に社会や少数者のことを考えているんだなと感じました」
一方、東京地裁(田中寛明裁判長)は原告の思いを直接、法廷で聞く必要はないという見解だ。
原告側は昨年12月に抗議の会見を開き、「本人尋問の機会を奪わないでください」と訴える約1万8千筆の署名を東京地裁に提出している。
札幌の判決を傍聴した西川さんは「東京とは違うなと思いました」と話す。
東京地裁での第7回口頭弁論期日は、6月30日に開かれる。
「影響、勇気を与えた日」「当事者じゃない人にも話題に」
福岡訴訟の原告まさひろさんは、仕事を休んで札幌地裁の判決報道を待った。
「『自らの意思で同性愛を選択したわけではない同性愛者の保護に』と言っていて、歩み寄ってくれている判決でした。今でも泣きそうです」
「当事者ではない方々、若い世代や年配の世代もSNSなどで話題にしていました。ニュースでも流れてきましたし、大きな影響、勇気を与えた日だったなと思います」
パートナーのこうすけさんは「その場にいませんでしたが、判決文を読んですごく胸がしめつけられました」と明かす。
「差別や他の人と違うことも、『同性愛者だから仕方ない』とあきらめていたのだなと感じました」
「人の心、血の通った判決を出していただいて、うれしかったです。福岡でも裁判は続きますが、勇気をもらって、これからもがんばっていこうと思いました」
【動画】結婚の自由をすべての人に北海道訴訟 判決 オンライン集会
(サムネイル:時事通信)