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「生理用品が買えない」が学生生活に不安を生まないように…応募が殺到した「奨学ナプキン」、今年も2千人を募集へ

「奨学ナプキン」としてナプキンの無償提供をしていた、生理用品「elis(エリス)」を展開する大王製紙。今年も奨学生を募集すると発表しました。

「ナプキンを十分に入手できないことで、生理という存在が、あなたの学生生活に不安を与えてしまっていたら…」

生理用品の入手に困っている学生に対し、1年間にわたりナプキンの無償提供をしていた、生理用品「elis(エリス)」を展開する大王製紙。

今年も「奨学ナプキン」の奨学生2千人を募集すると、3月1日に発表しました。

社会問題となっている「生理の貧困」に対する企業側からのアクションを、継続する姿勢です。

「ナプキンの交換回数を減らす」「外出しない」困っていた学生に届けたナプキン

この「奨学ナプキン」のプロジェクトでは、生理用品の入手に困っている小学生から大学生をオンラインで募集し、4ヶ月に1回、ナプキンのセットを届けてきました。

プロジェクト始動時は奨学生1千人を募集しましたが、応募総数は9千人を突破。想定を大きく上回る数の応募が殺到したことから、奨学生数を倍増し、2022年度は計2千人にナプキンを送りました。

応募時のアンケートでは、42%が生理用品購入に「ほぼ毎月苦労している」とし、その理由として69%が「経済的な問題」と回答。「生理の貧困」の深刻な課題が浮き彫りになっていました。

生理用品が入手できなかった時の対応としては、以下のような回答が寄せられていました。

  • トイレットペーパーを何枚も重ねる
  • ナプキンの交換回数を減らす
  • 同じナプキンを繰り返し使う
  • 着られなくなった洋服を使う
  • 外出せずに家で過ごす
  • 兄弟や祖父母のオムツをもらう

エリスは昨年12月、1年間の奨学生期間を終えた学生たちに最終アンケートを実施。

回答した奨学生1076人のうち9割以上が「生活の変化を実感した」とし、以下のような声を寄せました。

「(ナプキンを)気軽に交換できるので部活や勉強に集中できた」

「夜、安心して眠れるようになり睡眠不足が減った」

エリスは「多様性のある社会で、ひとりひとりの生理に寄り添うきっかけ作りをさらに進めていくため」、2023年度も奨学生を募集するとしています。

「エリスは学生たちの生理期間を、できることからサポートしたいと考えました」

「この活動が、ためらうことなく前へとあなたがふみ出せる、小さなエールになりますように」

生理に対する社会の理解、変わった?今後どう変わってほしい?

近年では、自治体も各地で生理用品配布を実施するなど、「生理の貧困」についてニュースになる機会が増えています。

生理痛のつらさやその対応についても、企業で研修が実施されたり、低用量ピルの服用支援を福利厚生制度で行ったりする会社もでてきています。

奨学ナプキンのプロジェクト期間1年を経て、昨年末のアンケートでは、回答者のうち57.6%が、生理に関する社会の理解について「変化があった」と答えていました。

それでも、まだまだ生理をめぐるスティグマや生きづらさがある日本社会。

今後、生理について社会に変わってほしい点をめぐっては、以下のような声があがりました。

「”月経は甘え”のような風潮はなくなってほしい」

「生理痛を理由に学校を休めるようになってほしい」

「生理は毎月あるため、補助金制度を手厚くしてほしい」

「無償で学校のトイレにナプキンを常備してほしい」

奨学ナプキンは、「ツルハドラッグ」や「ココカラファイングループ」など、20の企業・団体から賛同を得て、実施されています。

2023年度の奨学生の募集は、4月11日〜5月19日。募集要項などの詳細は4月11日に特設サイトで発表される予定です。

(サムネイル:getty image)