フィリピン・マニラ市にある大通りに出現したのは…レインボーカラー🏳️🌈の横断歩道!
マニラ湾に沈む夕日が臨めるロハス大通りの横断歩道が12月、6色に塗られました。
赤、橙、黄、緑、青、紫の6色のレインボー、またはレインボーフラッグは、LGBT+(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーなど)の人々の尊厳と、LGBTの社会運動を象徴しています。
虹色の横断歩道は、マニラ市でLGBTの人々への差別を禁じる反差別市条例が制定・施行されたことを記念し、設置されました。
マニラ市のイスコ・モレノ・ドマゴソ市長は12月9日、「マニラ市は全ての人を歓迎します」との言葉を添え、写真をツイート。
マニラ市で活動するLGBT団体のメンバーと市長が、虹色の旗や傘を持って横断歩道を渡っている写真も投稿されました。
LGBTの人々へのあらゆる差別を市条例で禁止
この反差別市条例では、職場や学校、医療機関、地域においてLGBTの人々に対する差別的な言動や暴力、ハラスメントなどを禁じ、違反者には罰金や禁固の刑が科せられます。
市条例では、アパートや寮の契約、ホテルへの宿泊、職場での採用活動や昇進、学校への受験、進学などで、ジェンダーやセクシュアリティを理由にその人を拒否したり差別するは許されないと決められています。
市長は市条例の施行に際し「小さな一歩かもしれませんが、市条例によって、マニラ市では差別は許されないことを知ってほしい」と話しています。
フィリピンでLGBTの人々が置かれる現状。日本では…?
今回、マニラ市で施行された市条例は、フィリピン国内でも画期的なものだとして話題になっています。
背景には、フィリピンでLGBTの人々が置かれる状況があります。
LGBTにオープンなイメージがあるフィリピンですが、国民の8割以上がカトリック教徒のため、宗教上の理由からLGBTの人々を否定し、差別意識を持つ人は少なくありません。
若い世代を中心に、少しずつLGBTの人々への理解も深まり、2016年の下院選挙ではフィリピンで初となるトランスジェンダーの国会議員も当選するなどの変化も見られます。
一方で、トランスジェンダー女性などを標的にした、殺人事件や暴力事件などが頻発していることも事実です。
マニラ市では反差別市条例が施行されましたが、国政レベルでLGBTの人々への差別を禁じるSOGIE法案をめぐっては、審議が難航してきました。
SOGIE(SOGI)とは、恋愛感情や性的な関心を抱くのはどんな相手かという「Sexual Orientation」(性的指向)と、自分の性別をどう認識しているかという「Gender Identity」(性自認)の頭文字をとった言葉です。
SOGIE法案は、メトロマニラ・プライドにも毎年のように参加しているホンティベロス上院議員が、成立を目指して働きかけていますが、カトリック教会などと強い繋がりを持つ保守派議員たちによる反対が強い状況です。
日本でも現在、性的マイノリティに対する差別を禁じる「LGBT平等法」の制定を求めるキャンペーンが始まっています。
IOCのオリンピック憲章には「性別や性的指向に基づく差別」を禁じると書かれており、東京オリンピック・パラリンピックを前に、LGBT平等法の制定を求めて署名活動が行われています。