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「異性にモテる髪型にします!」「結婚は?」そんな会話で嫌な思いをしている人たちがいる。ヘアサロンが今、変わろうとしている理由

ヘアサロンでのカット中の会話や行動で、LGBTの来店客が傷ついたり、嫌な思いをしないように…。ヘアサロン側が学び接客などを変えていけるよう、P&Gのヘアケアブランド「パンテーン」が中心となり「#PrideHairサロン」プロジェクトが立ち上がっています。

「女性にモテる髪型にします!」「彼女はいるんですか?」

ヘアサロンでのカット中の会話で、あるゲイ男性が美容師にかけられた言葉だ。

美容師から、異性のパートナーや結婚などについて聞かれたり、異性への「モテ」を強調されたり…。トランスジェンダーの人も自分が望まない性別の「らしさ」を押し付けられるケースも。

ヘアサロンで美容師の「無知」によりLGBTのお客さんを傷つけたり、居心地が悪くなったりすることがないようにと、ヘアサロン側が学び、業界の内側から変えていくためのプロジェクトが立ち上がっている。

P&Gのヘアケアブランド「パンテーン」は、日本各地のヘアサロンと共に「#PrideHairサロン」プロジェクトを展開している。

LGBTの団体代表や美容師などから意見を聞き、共にワークショップを開いた上で、ヘアサロンで使える「LGBTQ+フレンドリーマニュアル」を作成した。

全24ページの冊子にまとめられたマニュアルでは、LGBTについての基礎知識の他、接客中の会話内容での言葉遣いや、店の設備の心得などについて、どうあるべきかがまとめられている。

賛同サロンは、マニュアルを使って社内研修を実施するなどして、誰もが心地よく、そして働きやすいサロンを目指す。

プロジェクトでは昨年12月中旬にマニュアル作成のワークショップを実施。今年1月末にマニュアルを公開し、賛同サロンの本格募集を開始した。

パンテーンはこれまでにも「#HairWeGo さあ、この髪でいこう。」のブランドメッセージを掲げ、広告やキャンペーンを通して、学校などでの地毛証明書や、就活や内定式での髪型への問題提起をしてきた。

昨年10月には、トランスジェンダー女性とトランスジェンダー男性が就活中の髪型について自身の経験を語る動画広告を打ち、広く話題となった。

この広告には、SNS上でたくさんの反響があり、LGBTの人々がヘアサロンで経験してきた困難などについての声も多く寄せられた。

その中で、ヘアケアブランドとしてできる取り組みについて考え、今回のプロジェクトに至ったという。

プロジェクトは、LGBTの求職者向けサービスを展開するJobRainbowと共に実施している。

例えば、マニュアルで接客時の会話の心得としてあげられているのは以下のような点だ。

・「結婚しているんですか?」「彼氏/彼女いるんですか?」に困る人がいます

・「この人は”見た目的に”男性 / 女性だ」はNG

・「オトコ / オンナらしい」は褒め言葉?

・出す雑誌、見た目で決めていませんか?

それぞれの項目には、LGBTの人々の声や、どうすれば良いかの説明などがまとめられている。

「カミングアウトを受けたら?」という項目もあり、来店客にジェンダーやセクシュアリティーについて打ち明けられた際の対応についても注意書きや説明がある。

「本人に代わって他のスタッフに(その情報を)共有するのはNGです」と、アウティング行為を絶対にしないようにとも強調している。

このプロジェクトは、来店客にカミングアウトを推奨するものではない。もしカミングアウトした際にどう対応するべきかを示し、来店客を傷つけず、不快にさせない接客を目指している。

P&Gの大倉佳晃・ヘアケア シニアブランドディレクターはBuzzFeed Newsに対し、こう語る。

「LGBTQ+の方々からは『これをきっかけに、ジェンダーに関わらず自分らしい髪になれる美容院が広まっていってほしい』『自分たちの悩みを、ヘアサロンの方にも知っていただけるのはうれしい』という声が寄せられています」

「一方で、マニュアルをご覧いただいた賛同サロンの方からは『今まで気付いていなかったことを知れてよかった。これを機に、LGBTQ+のお客様に対しての理解を深めたい』といった声もいただきました」

プロジェクトを共催するJobRainbowの社長で、ゲイであることを公表している星賢人さんは、ヘアサロンで「女性にモテる髪型にします!」「彼女はいるんですか?」などと聞かれ困ったことがある。

「ゲイの自分にとってヘアサロンは自己表現の場でありつつも、偽りの自分でいなくてはならない場でもある」という星さん。

「もし日本に、LGBTQ+フレンドリーなヘアサロンが増えれば、こうしたLGBTQ+だけでなく全ての人にとって、安心して『その人らしさ』を実現できる場所になるはず…そんな想いから、プロジェクトに参画しました」

「世の中の価値観は変化し続けるからこそ、マニュアルも同時に、アップデートを繰り返していく必要があると思います。このマニュアルがヘアサロン業界に変化を与えるきっかけとなり、そして皆さんと一緒に、さらにより良いものにしていけることを楽しみにしています」

今後は、全国でプロジェクトに賛同する店舗を募っていく。

国の調査によると現在、日本全国にある美容室は25万店舗以上。LGBTのアライ店舗を増やすことで、日本全体でアライを増やしていくことを目指している。


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