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「髪を切れ。切らないなら理由を言え」「スカートを履きなさい」理解ない教師や親に苦しむ若者。居場所をつくる思いを聞いた

LGBTや、そうかもしれない若者のための居場所をつくっている「にじーず」。各地に拠点を増やし、活動の輪を広げています。

「ここにいる時は『トランスジェンダーの〇〇さん』ではなく、1人の人間としていられるのがよかった」

ある若者の言葉です。

いま、LGBTや、そうかもしれない若者のための居場所「にじーず」が、各地に広がっています。

安心して自分らしくいられ、信頼できる大人に相談できる場所づくりをーー。

そんな思いで開催される「にじーず」について、話を聞きました。

一般社団法人「にじーず」は、10代から23歳までのLGBTやそうかもしれない若者のために、定期的に集える居場所づくりをしています。

発足から約6年で延べ2千人の若者が参加しました。

家族のLGBTへの不理解や学校での制服や髪型をめぐる問題ーー。若者たちが抱える問題は様々です。

しかし、ジェンダーやセクシュアリティを気にせずに安心して集える場所を設けることで、若者の不安や孤立を防ぐことを目指しています。

にじーずは、2016年に東京でスタートし、北海道から岡山まで様々な拠点で定期的に開催してきました。今年の4月には新潟県、5月から多摩地域、6月からは大阪での開催も始まり、拠点を拡大しています。

「男子だから髪を切れ」「スカートを履きなさい」理解ない教師に苦しむ若者

参加者アンケートによると、参加者の約50%が高校生で、約40%が18歳以上、約10%が中学生や小学校5、6年生です。

にじーず代表の遠藤まめたさんは、こう話します。

「家族や学校で悩みを抱える子が多いです。性別違和に悩んでいる子が、教員から『スカートを履きなさい』『男子なら髪の毛を切れ、切らないなら理由を言え』と言われたケースもありました」

「にじーずは自分の権利を知る場所でもあると思います。本当に仲間がいて、『嫌と言ってもいい』『自信をもっていい』『私が悪いんじゃない』と知れる場所です」

「にじーずでは、呼ばれたい名前で自己紹介をします。自分のセクシュアリティやジェンダーについては、言いたければ言ってもいいし、言いたくなければ言わなくていいです。世の中では、そういう前提の場所が少ないから、毎日苦しく感じる人が多いのだと思います」

大人向けのLGBTの居場所や支援団体などは全国各地に存在する中で、10代、20代前半向けの居場所はなかなかありません。

「LGBTの子ども・若者が安心して思春期をサバイバルできるつながりを作ること」を目標に、少しでも拠点を増やそうと、自治体などとも連携しながら活動の輪を広げています。

本日、東京と新潟でにじーずでした! 参加してくれたみんなありがとう😊

Twitter: @24zzztw

にじーずでは、ゲームをして交流したり、テーマトークでは、ジェンダーやセクシュアリティに関すること、そしてその他の日常のたわいない会話などに分けて、気軽に話したりできるよう工夫しています。

月1回や隔月など、拠点によって開催頻度は異なりますが、開催日には、今では保護者が習い事のように送り迎えをする参加者もいるといいます。

きっかけは、「場所がない」と気付いた“矛盾”

活動を始めたきっかけは、遠藤さんが感じた、ある「矛盾」にありました。

遠藤さんは、こう話します。

「2010年代、LGBTのユースが集まれる居場所が、なかなかありませんでした」

「少しはあったのですが拠点が少なく、参加者が交通費のためにアルバイトをしていると聞き、もっと多くの拠点で居場所を作る必要性を感じました」

「自分自身も、講演などでは『安心していられる居場所が必要です』と話していたのですが、その居場所がなかったんです。矛盾していると感じました」

2016年に池袋で活動を始めてから約6年が経過。今では、参加者から「困った時はにじーずにきて相談すればいいと思えた」「日々がんばるエネルギーになった」という声が寄せられています。

「その一歩は自分の人生において、とても大きかった」

埼玉のにじーずでスタッフを務める古堂達也さんも、学生時代に自分以外の当事者に会い、人生が大きく変わった経験がありました。

古堂さんはこう語ります。

「私自身も10代の時、大学進学で上京してきて、自分以外の当事者と知り合える場に行きました。すごく世界が開けました。その一歩は、自分の人生においてとても大きかったなと思います」

「新潟出身なのですが、地元では自分以外の当事者に会おうと思っても、当時はそのような場所がありませんでした」

「今、少しずつ、LGBTのユースのための居場所が増えてきているということがうれしいですし、その一つとしてにじーずも続けていければと思っています」

もし自分自身のように、周りに当事者がいなくて孤独を感じている人、またはにじーずに行ってみようか迷っている人がいたらーー。

古堂さんはこう呼びかけます。

「にじーずのことを知っていても、参加を迷っているユースの方も結構いるのではないかと思っています。しかしそんな人にこそ、にじーずの『ゆるさ』がマッチするんじゃないかなと思います」

「セクシュアリティを問われることもないし、決めなきゃいけないわけでもないです。他の人の話を聞いたり、ジェンダー・セクシュアリティに関して安心できる場の雰囲気を味わったり……。その場にいて、感じるだけでも、何かクリアになるものがあったり、励まされるものがあったりすると思います。ぜひ一度遊びに来てください」

にじーずの開催拠点などの詳細は、にじーずのウェブサイトから。