• electionjp badge

「生活が苦しい」が半数。聞こえてきたのは「政治でどうにか変えて」と願う切実な声だった

秋に実施される衆議院議員選挙。投票は「推し」に思いを託すということ。投票率75%を目指すプロジェクトの実行委員はそう語ります。

投票とは「推し」に、自分が望む社会への思いを託すということーー。

秋に実施される衆議院議員選挙で、若年層などの投票率アップを目指すプロジェクトの実行委員はそう語ります。

子どもや若者、貧困、LGBTQなどの問題に取り組む有志が、選挙に向けて立ち上げたプロジェクト「目指せ!投票率75%」では、若者らが関心を持っている「争点」を知るために、アンケートを実施。

回答からは、若年層や女性の多くが経済的に困っている現状や、労働環境の改善やハラスメントなどについて政治の役割に期待する声が浮かび上がってきました。

なぜ今、投票率をあげる運動を始めたのか。プロジェクトの実行委員で、子どもの支援などを行うNPO法人「キッズドア」理事長の渡辺由美子さんに話を聞きました。

衆院選の「あなたの争点」を聞いたアンケート結果については、こちらの記事から。

ーー投票率75%を目指すプロジェクトを立ち上げた理由を教えてください。

プロジェクトを「やろう」と言い始めたのは私です。

キッズドアは、コロナ禍が始まった2020年春の一斉休校の頃から、子どもの貧困問題に取り組む団体と一緒に、子どもたちの支援を呼びかけてきました。

「お金がなくてごはんが食べられない」という状態がずっと続いている家庭があるため、給付金を出してくださいと言い続けてきましたが、なかなかスムーズにはいきませんでした。

各政治家や政党の方にお話すると「これは大変だから動きます」と言ってくださるんですが、結局なかなか実現しません。

今回、プロジェクトに参加している実行委員のメンバーは様々な分野で活動をしている人たちですが、皆も同じようなことを思っていました。

なぜかと考えた時、意見の一つとして「そうは言っても若い人は選挙行かないから、結局、選挙行く人の層への政策が優先されちゃうんじゃないの?」という話がありました。

そうならば投票率を上げて、「私たちの声も聞いてほしい」ということを行動で示していくことが、自分たちが求める国をつくる上で重要なのではないか、と考えました。

ーー選挙に向けて「あなたの争点」を聞いたアンケートでは、生活の余裕のなさや労働環境の改善の必要性を訴える若者の声が多くありました。予想と実際の結果は、異なる点はありましたか?

(アンケートはGoogleフォームを通して2021年8月26〜31日に実施)

予想とは、全然違いました。ハラスメントの問題などが、ここまで上位に上がってくるとは想像もしておらず、ものすごく苦しんでいる人が多いんだなということがわかりました。

女性からの回答が多くありました。(回答者の80%が女性)女性の方たちが実はすごく大変な思いをしていて「もっと政治で社会を変えてほしい」と思っている。

争点の上位にも、選択的夫婦別姓や子育て支援の拡充など、全体的に生活に身近なテーマが多く、「生活が逼迫していて今、大変」「だからここを具体的に変えてください」という切実な声が多かったです。

「生活が苦しい」と答えた人が約半数でした。(「とても苦しい」が8%、「苦しい」が16%、「少し苦しい」が29%)

次の選挙で投票すると答えた人の中で「最近、政治への関心が高まり選挙に行くことが重要だと思うようになったから」と回答した人が多かったので、コロナ禍の影響もあると思います。

ーーアンケートは開始当初は回答数5千人を目標にしていたところ、4万4千人分も集まりました。

なかなか自分たちで声をあげる術がない人たちが多い中、アンケートに答えれば届くかもしれないと思って回答してくれたのかもしれません。

今回のアンケートは、広告費や調査費などを出して行ったのではなく、回答の呼びかけとSNSでの拡散などで集まりました。その積み重ねの4万5千の回答でした。

未婚で子どものいない20代、30代の女性の層が多かったのは、(プロジェクトに参加する)各団体が関わっている層にとどまらない方たちが参加していただいたのだと思います。

「自分たちだけではどうすることもできないので、政治にどうにかしてほしい」という声が、アンケートに寄せられたのではないでしょうか。

ーー今まで選挙に行ったことがないけど、今、政治に言いたいこと、届けたい声がある人に対して、伝えたいことはありますか。

投票に行かない人の中には、自分が行っても変わらない、という方がいらっしゃるかもしれません。

しかし、投票するということは、政治へのラブレターを届けるということだと思っています。

プロジェクト「目指せ!投票率75%」にも「あなたの推しは誰?」というサブキャッチがついています。

自分の思いを政治家の人に託して実現してもらうということだと思うので、投票権を持っている人には、ぜひそれを行使してもらって、自分の思いを実現するという行動をぜひ取ってほしいと思います。

無駄かと思うかもしれませんが、無駄なことは一個もないです。

より多くの人が選挙に参加することが、自分たちが求める国づくりにつながっていくと思います。

(サムネイル:Getty image)