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ピル服用をアプリでサポート。「ルナルナ」にピルモードができた理由

生理アプリ「ルナルナ」に、低用量ピルを服用している人のための、ピルモードができました。ルナルナ事業部長に開発の背景を聞きました。

生理の周期などを管理するアプリ「ルナルナ」に、低用量ピルを服用している人のための、「ピル(OC/LEP)モード」ができた。

医療機関でピルを処方されたユーザーがピルモードを選択すると、ピル服用中の体調を記録したり、また希望する場合は医師に記録を共有することもできる。

なぜ、ピルモードができたのか。ルナルナを運営するエムティーアイ(東京都新宿区)のルナルナ事業部長に話を聞いた。

「(ルナルナとしては)ピルを飲み始めることを応援したいのに、飲み始めるとユーザーはルナルナを卒業していってしまう」

事業部内のそんな思いが、ピルモード開発のきっかけだったと、ルナルナ事業部長の日根麻綾さんは語る。

もともとあったアプリの避妊・妊娠希望ステージでは、自身の生理日を登録したら生理周期や排卵日の予測をアプリ内のカレンダーで確認できた。しかしピルを服用していると、出血が始まる日程がピルのシートで分かるので、そもそもアプリのコア機能であった生理予測がいらなくなる。

そこでピル服用をサポートするピルモードでは、副作用で表れることがある吐き気などの体調を自らアプリに記録することで管理したり、担当医と症状や体調を共有することがメインの機能となっている。

副作用によるピル離脱率の高さ

ルナルナ事業部の日根さんは、ピルを「PMS(月経前症候群)などの波をコントロールしてくれて、女性が生きやすくしてくれる薬」と表現する。

ピルは服用目的が、避妊用(OC)と月経困難症や子宮内膜症の治療(LEP)の2つあるが、ピル服用によって月経痛を軽くしたり、月経前にイライラしたり落ち込んだりするPMSをやわらげる作用がある。

しかし、副作用を理由に、自己判断で勝手にピルの服用を止めてしまう人が少なくないのだと、日根さんは語る。

「アプリ開発時のルナルナのアンケートや、製薬会社のデータによると、新しくピルを飲み始めても半年で止めてしまう人が全体の約半数だとわかりました」

新しいピルを飲み始めた時には吐き気や頭痛、不正出血などの副作用がでることがある。通常はピルを処方される際に医師は患者に副作用について伝え、薬が合わない場合は他のメーカーのピルに変えたりすることもある。

服用を止める際にも医師に相談して止めるべきだが、医師の診断も受けずに服用をやめる人が少なくないのだという。

そこでルナルナのピルモードでは、どうすれば医師に副作用などピルによる症状の不具合を的確に伝えられるかを考え、アプリで体調を記録する機能を作った。

アプリが患者と医師の情報の架け橋に

ピルモードは、東京大学医学部附属病院・産婦人科の甲賀かをり准教授の監修を受けている。甲賀氏はピルモードのリリースに際し、こうコメントを寄せている。

「避妊用ピル(OC)や、生理痛緩和・子宮内膜症治療のためのエストロゲンプロゲスチン(LEP)製剤は、避妊効果も治療効果も高くとても良い薬です。一方、毎日決まった時間に飲まないと効果が下がってしまう、吐き気や血栓などの副作用を心配する服薬者が多い、などの理由で、せっかくの良い薬を効果的に服薬できなかったり途中でやめてしまったりする女性も多いです」

アプリには「ルナルナ メディコ」という機能がある。日々、副作用などの体調を記録していくと、メディコと契約している全国数百カ所の医療機関にかかった時に、その情報を共有できる。ユーザーは6桁のパスコードを医師に伝えると、医師は症状をデータで見ることができるという。

「医師は診断の時しか患者さんのサポートができないので、それ以外の時はアプリでサポートできればと思います。そこを組み合わせていくと、誰もできなかったケアやサポートができるのではないのかと考えています」(日根さん)

ピルモードには、吐き気や頭痛、腹痛、むくみなどの体調を毎日、入力する箇所があり、またまれではあるが重篤な副作用として血栓症などもあることから、手足の麻痺や痛みなどの項目もある。

ピルに対する誤解や偏見を解くために

ルナルナが10〜50代以上の女性5510人を対象に行なった調査(2019年9月10〜13日)では、「これまで日常生活に支障が出るほどの生理痛を経験したことがありますか」という質問に52.0%が「ある」と答えていたが、「低用量ピルを服用したことがありますか?」という質問には70.3%が「ない」と答えていた。

これに対し日根さんは「生理での女性のリズムは、良い時もあれば悪い時もある。落ち込む波というのを薬でコントロールしていくというのも一つの手段だと思います」とし、ルナルナとして「ピルを世の中に積極的に推奨していく立場をとっていきたい」と話す。

調査では、低用量ピルに対するイメージも聞いており、複数回答で「副作用がある」が49.5%、「なんとなく怖い」が31.8%と、ネガティブなイメージも少なくなかった。

同社のアンケートには、ユーザーから「親にはしたないと言われた。理解してほしかった」「性に奔放だから飲んでいると思い込まれ周りに言いふらされた」などという声も寄せられたという。

日根さんは「ピルについては誤解や偏見も多いので、そこについてもアプリで正しい情報を広めていきたい」とする。

今回のピルモードでは「ピルに関する基礎知識」という、ピルなどの情報が読めるコーナーもできた。

アプリではこれまでも、避妊用としてのピルについてコラムを配信していたが、今後はピルモードでないユーザーも、「ピルに関する基礎知識」のコーナーで、ピルや月経困難症治療に関する情報にアクセスできる。

日根さんや広報担当者によると、ピルにも複数メーカーから出ているものがあるために、今後は医師の監修のもと、薬剤別情報を増やしていく予定。

また、ピルは毎日決まった時間に飲まないと効果が下がるため、ピルモードを利用したユーザーからは、アプリに薬服用リマインドのアラーム機能をつけてほしいとの要望も多く寄せられたという。

ピルモードの意義について日根さんはこう語る。

「ピルを処方された人というのは、産婦人科に行ったり、ピルを飲み始めたりという『ハードル』を乗り越えた人たちです。やっと生理の辛さから解放されたのに、少しの知識のなさや不安な気持ちでやめてしまうというのは、ものすごく勿体無い。アプリでサポートしていければと思います」

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