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学会が2年前の注意喚起を改訂。低用量ピル、コロナ感染時は「注意を」→「軽症で継続OK」

新型コロナウイルスに感染した場合の低用量ピル服用・HRTについて、日本産科婦人科学会は以前出していた注意喚起の内容を改訂する文書を発表しました。

新型コロナウイルスに感染した時は、低用量ピルの服用を続けても大丈夫ーー?

日本産科婦人科学会は10月24日、コロナ感染時の低用量ピル服用について、以前出していた注意喚起の内容を改訂する文書を発表しました。

改訂版の文書で学会は、コロナ感染時でも軽症や無症状の場合は、低用量ピルの服用を継続してもよいと明らかにしました。

2年前に出されていた注意喚起の内容は?背景を振り返る

日本産科婦人科学会はウェブサイト上で2020年8月、「OC・LEPやHRTなどのエストロゲン製剤使用に関する注意」を発表

「現時点では十分なエビデンスはないものの」と前置きした上で、アメリカやスペインの学術団体が発表した文書を参照し、重症の場合は服用を中止、軽症や無症状の場合でも他の方法への変更の検討を呼びかけていました。

OCとLEPは低用量ピル(OCが避妊用・LEPが月経困難症治療用)のことで、HRTは更年期障害のためのホルモン補充療法です。

元々、エストロゲン製剤を使う低用量ピルなどでは血栓症のリスクがあり、処方の際などには医師から説明があります。新型コロナ感染では、そのリスクが高まるとの懸念が示されていました。

服用を続けても大丈夫?その内容と改訂の理由は

日本産科婦人科学会は今月、学会会員の医師ら向け、そして一般向けにそれぞれ改訂版の文書を発表しました。

コロナ感染時の低用量ピル服用やHRTに関する要点は以下の3点です。

1 コロナ感染時でも軽症・無症状の場合は、低用量ピルの服用やHRTを継続できる

2 コロナの症状が入院を要するような中等症・重症の場合は、中止すべき

3 新型コロナのワクチンを接種する前も、中止する必要はない

改訂の理由は、元の注意喚起で参照していたアメリカの学術団体が、2022年に改訂版を発表し、WHO(世界保健機関)なども、コロナ感染時の低用量ピルなどの服用で血栓症リスクが上がるというエビデンスは見つからなかったとしているからです。

また海外では、2年前の注意喚起により血栓リスク上昇を懸念し、避妊目的の低用量ピル(OC)の服用を止めた結果、予定していない妊娠が増えたという報告もありました。

日本産科婦人科学会の特任理事で、新型コロナウイルス感染対策担当の川名敬さん(日本大学教授)は10月、BuzzFeedの取材に対し、「新型コロナ感染者も、20代などの若年層が多くなっていますし、低用量ピルのユーザー層とかぶります。軽症や無症状の場合は、服用をやめる必要はありません」と話していました。

【参考】日本産科婦人科学会の川名敬さんへの取材記事

コロナワクチン接種時の対応について学会は、以下の2点を理由に、低用量ピルなどの服用は継続して問題ないと説明しています。

・新型コロナウイルスワクチン接種後の血栓とホルモン剤による血栓のメカニズムは異なる

・ワクチン接種による血栓がエストロゲン製剤を含むホルモン剤や経口避妊薬使用者で増えるというデータはない