• lgbtjpnews badge

「わたしたちは大事な命。人間」「差別許せない」自民党本部前で伝えた思い

自民党議員によるLGBTQの人々への差別発言に対し、ろうのLGBTQの人たちが手話で抗議をしました。

自民党議員による「道徳的にLGBTは認められない」などの差別発言に、強い批判が集まっている。

自民党本部前(東京都千代田区)に5月23日、聴覚障害があるLGBTQの人々が集まり、手話で抗議した。

参加者は「LGBT(への)理解が酷すぎる」「トランスジェンダーに対する差別をなくしてほしい」と書かれたプラカードや、トランスジェンダーの人権や多様性のシンボルである水色とピンク、白の旗を掲げた。

感染予防対策のため、人数を絞って実施した。

呼びかけ人は、ろうのLGBTQの人々の可視化や支援の活動をする野村恒平さん。

「今回の一部の自民党の差別発言はろうLGBTQ当事者、その家族、パートナー、たくさんの方を傷つけた」と、手話で抗議した。

批判が殺到しているのは、5月20日に開かれた「LGBT理解増進法」をめぐる自民党の会合で、出席した議員による差別発言。

「LGBT理解増進法案」は、自民党の「性的指向・性自認に関する特命委員会」(稲田朋美委員長)が主導し、今国会での成立を目指している。

報道によると、会合に出席した議員から反対意見が相次ぎ「道徳的にLGBTは認められない」「人間は生物学上、種の保存をしなければならず、LGBTはそれに背くもの」などの発言がなされた。

発言が報道されると、SNS上などで抗議の声が殺到。発言した議員に撤回や謝罪を求める署名活動も始まり、8万筆を超える賛同が集まっている(5月24日午後4時現在)。

また、山谷えり子・参議院議員は会合後、トランスジェンダー女性を念頭に、「アメリカなどの国では学校のトイレで問題になったり、女子の競技に男性の身体で『心は女性だから』と言って参加してメダルを獲ったり、そういう不条理なこともあるので、慎重に。社会運動化・政治運動化されると、いろんな副作用もあるんじゃないでしょうか」と、報道陣に対して語った

「発言の撤回と謝罪、差別を禁止する法律を」「差別許せない」

野村さんは差別発言を受け「ろうのLGBTQの人々の抗議の『声』も届けたい」と、オンライン上で自民党に対する要望や抗議を呼びかけた。

野村さんは、全国各地の53人から集まった以下のようなメッセージを、自民党本部に向かって手話で代読した。

《発言の撤回と謝罪を求めます。そして、LGBTQへの差別を禁止する法律の成立を強く求めます》

《当事者たちは傷つきました。人はそれぞれ違う。違っていい。LGBTQ+の人でも生きやすい社会を作ってください》

《私たちは、大事な「命」だから。人間だから。差別は許せない。ありのままで生きたい》

《やっといろんな企業や団体がLGBTのコミュニティにサポートをし、声をあげて少しでも差別のない世の中を築いていこうとしているのに、それを崩そうとするのが国のリーダーのやることなのでしょうか?》

《私は子どもを産むことはできなくても、子どもを育てることはできます。ちなみに私は里子でした。血のつながりがない家庭で育ちましたが愛されていて幸せでした。私にも生きやすい居場所をください。突き放さないでください》

野村さんがメッセージを手話で読み上げる様子は、YouTubeで公開されている。

野村さんは言う。

「(差別発言は)生きる力もなくなってしまいます。でも、声をあげ続けていきます。カミングアウト出来ない、社会からの抑圧で声をあげられない当事者もたくさんいます。当事者の想いや声を届けたいと、自民党本部前にきました」

「これまで、たくさんの差別発言を受けるたびに、ろうLGBTQ当事者のたちの状況を心配していました。ろうLGBTQはダブルマイノリティのため、地域性の影響からカミングアウト出来ない人も少なくありません。性自認・性的指向が揺らいでる方、情報がうまく得られない方は、(差別発言によって)間違った認識を持つなど、様々な影響を受けてしまいます」

また、抗議に参加したShotaさんは、自民党議員による差別発言で傷ついたり、不安に思ったりしたLGBTQの子どもや若者に対して、「LGBTは病気じゃない。自分らしく生きていればいい。一人じゃない。私たちがいるから大丈夫」と語りかけた。

【動画】野村さんが代読したLGBTQのろう者のメッセージ

YouTubeでこの動画を見る

youtube.com

UPDATE:動画を追加しました。

野村さんが自民党本部前で手話で代読した、LGBTQのろう者によるメッセージ動画を追加しました。