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「解雇された」「1日に1食」コロナ禍で困窮するベトナム人。就職セミナー実施で緊急支援

JICAなどが設立した「責任ある外国人労働者受入れプラットフォーム(JP-MIRAI)」が、コロナ禍で失業したり帰国困難になったベトナム人を対象に、キャリアセミナーを開きました。

ベトナム人技能実習生や留学生、労働者などがコロナ禍で仕事やアルバイトを失い、入国規制により帰国もできず、日本で困窮するケースが多発している。

そのようなベトナム人への緊急支援として、国際協力機構(JICA)などが2月、オンラインでキャリアセミナーを開いた。

セミナーの主催は、JICAが2020年11月に関係者と共に設立した「責任ある外国人労働者受入れプラットフォーム(JP-MIRAI)」で、駐日ベトナム大使館と共催した。

セミナーには、技能実習生や高度人材、特定技能、留学生などのベトナム人100人以上が参加した。

駐日ベトナム大使館によると、日本からの帰国が困難になったベトナム人は、2020年12月時点で約2万人に上る。

特例措置によって在留資格を延長することはできたものの、新たな仕事が探せずに困窮する人が続出した。大使館も、この問題を重くみて、セミナーを共催した。

セミナーにはベトナム語の通訳が入り、民間企業が仕事の内容を説明。弁護士が在留資格について解説したり、医師が新型コロナウイルスの感染予防方法を紹介したりした。

参加者にビザや日本での仕事について正確な情報を知ってもらい、企業側とマッチングさせ、就職につなげることが狙いだ。

セミナー冒頭、JICAの穴戸健一上級審議役は「今回のコロナウイルスの流行によって、皆さんも大変な目に遭われたと思います」と前置きし、このように話した。

「(セミナーに)参加しているメンバーは、ベトナムの皆さんのことを非常に大切に思っています。良い仕事を見つけて、楽しい生活を過ごしてください」

「皆さんの残りの日本生活が楽しく、意味のあるものになればと心から思っています」

外国人技能実習生や労働者をめぐっては、受け入れ先で暴言や暴力を受けるなどのケースも多発している。

コロナ禍で帰国もできず、仕事探しにも困る参加者らに、主催側の「安全、安心に生活してほしい」「日本を好きになって帰国してほしい」との思いが伝えられた。

JP-MIRAIは、技能実習生らへの差別や人権侵害などの問題を調査し、外国人労働者を支援する目的でつくられた。

「コロナ禍で失業。就職活動、なかなかうまくいかない」

神奈川県在住で、現在求職中だという、ディン・バン・チュンさん(31)は、報道陣にこう語った。

「エンジニアとして仕事をしていましたが、コロナ禍で失業しました。就職活動をしていますが、なかなかうまくいきません。生活が大変です」

「ビザの制度などをもっと詳しく知りたいと思って参加しました。今の状況について詳しく分かりました」

セミナーでは、ビルメンテナンス、農業、介護業界の企業からそれぞれ仕事内容の紹介があった。

企業側が登録した求人情報をもとに、セミナー参加者が応募する仕組み。

会員企業19社から、飲食料品製造、農業、畜産・酪農、製造業、介護、ビルクリーニングなど約1千人分の求人があったという。

セミナーで紹介された情報は後日、JP-MIRAIのウェブサイトにも掲載される。

「1日に1食」10.8%。困窮状況浮き彫りに

セミナー参加者を対象にした事前アンケートでは、99人の40.2%が「仕事を解雇された」と答えた(回答期間:1月20日〜2月2日)。

食事の状況に関しては「1日3食満足に食べている」が51%にとどまる一方、「1日に2食」が38.2%、「1日に1食」も10.8%を占めた。

また、「今の生活を続けると、あと何ヶ月でお金が無くなってしまいますか?」という質問には、「あと6ヶ月以内」が21.7%、「あと3ヶ月以内」が32.6%、「あと1ヶ月以内」が39.1%、「お金はもうない(ごはんも買えない)」が6.5%だった。

日本で働く技能実習生などの若者は、収入の何割かを母国に住む家族の生活費として送金したり、来日費用の借金返済に当てたりしていることが少なくない。貯金も乏しいため、収入が途絶えるとすぐに困窮してしまう。

実際、アンケート結果でも、これからも日本で働きたい理由の17.8%が「たくさん借金があるから」だった。

アンケートの自由記入案には、「今の会社では1週間に1日だけ働いています。生活費と家族の借金の返済には足りないです。新しい仕事を探したいです」といった声が寄せられている。

「組合は帰国するための書類に署名するよう強制しようとしてくる」「実習3年間満了で他の会社に行きたいが、組合が私の書類を返さなくて難しい」など、監理団体など受け入れ側の不適切な対応も見受けられた。

セミナーでは、グローバルHRストラテジーの杉田昌平弁護士が在留資格や相談窓口、相談方法について説明。

日本語に不慣れな外国人労働者に、自己都合退職を迫る企業もあるとして「本当に納得して自分からやめる以外、会社に頼まれたとしても、署名しないでください」「相談できる窓口もたくさんあります」と呼びかけた。


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