聴覚に障害がある人たちが、コンビニやスーパーなど商店のレジで、スムーズにコミュニケーションが取れるようにと、スマホで見せられる「意思表示カード」ができました。
紫色の背景に、うさぎのキャラクターが話しているようなポップなデザイン。
親しみがわくデザインにしたいと、ある当事者が作りました。作者に話を聞きました。
意思表示カードの公開後、うさささんのもとには、聴覚に障害がある人からも「デザインが可愛い」「文字レイアウトが見やすい」などとの声が寄せられたといいます。
1万を超えるリツイートや「いいね」、当事者からの反応を受けて、うさささんはBuzzFeed Newsに対しこう語ります。
「こんなにも同じように悩まれてる方がいたんだなと驚きました。また、早速使ってみた方もいらっしゃり、すんなりお買い物ができたと喜ばれました。デザインして良かったと思いました」
店員さんとスムーズにやり取りできるように
今回、うさささんが作った意思表示カードの4種類には、「耳が聞こえません」という文章に、このような言葉が添えられています。
「筆談をお願いします」、「スマホに向かって話してください」、「袋をください」、「袋はいりません」
これらの意思表示カードの画像は、スマホなどにダウンロードして、店員さんに伝えたいことがある時に、画面を見せて使うことができます。
「スマホに向かって話してください」のカードは、音声文字変換アプリや音声認識アプリなどを利用する時に役立ちます。
コロナ禍、マスクで見えない口元
特にコロナ禍では、皆が感染予防対策のためにマスクを着用しているため、相手の話していることを、口元の動きを見て理解する「読唇」などができません。
買い物時などのやり取りで、相手の口元が見えず、コミュニケーションが取れずに困っている聴覚障害者も多くいるということです。
うさささん自身もコロナ禍では、そのような難しさを感じていたと話します。
「私は補聴器を使用して相手の言っていることを聞くタイプではなく、『読唇術+状況+予測』で相手が言っていることを判断しています。マスクによって読唇術ができず、ビニールカーテンによって状況が見えづらくなってしまいました」
「それに加えてレジ袋の有料化。相手が言っているであろう予測ワードが増えてしまい、コミュニケーションを取るのが難しくなってしまいました」
マスクを着用していても、意思表示カードを見せることで、やり取りをスムーズにすることができます。
より親しみやすいデザインで
商店などでのコミュニケーションがスムーズにできるようにと、考案された既存のマークもあり、意思表示カードなども販売されています。
しかし、もっとポップなデザインのものを使いたいという当事者からの声もあったといいます。
「Twitterのフォロワーさんから、私が描く絵のポップな雰囲気を活かした耳が聞こえない意思表示カードを作ってほしいというご相談がありました」
「世の中にある意思表示カードは、シンプルだったり『助けてください』というヘルプ感が強かったりと福祉色が強いと悩まれていましたので、協力したく、あのカードを作りました」
また、作者として、親しみやすく、ポップなデザインに込めた思いをこう語りました。
「(既存のカードは)シンプルで、真面目なものが多いです。それが普通ですし、幅広い年齢で使えるデザインであることも十分理解しています。でも、真面目な故にちょっと相手に緊張感を与えてしまうのです。なのでその緊張感を和らげたく、あのデザインの意思表示カードを作成しました」
意思表示カードのTwitter投稿には、聴覚に障害がある人たちから「ぜひ使わせてください」とのリプライがありましたが、コンビニでレジを担当する店員や、タクシー運転手をしているというユーザーからも、「このようなカードがあれば便利ですね!」との声が寄せられたといいます。
また、スマホを使わない人たちに向けては「印刷してプレゼントしようと思います」という友人や家族からのリプライもありました。
意思表示カードのダウンロード等は、うさささんのツイートからできます。イラストの二次配布や加工等を除いて、自由にダウンロードして、使うことができるということです。