「マスクで口元が見えず、相手の言っていることを予測できない」ーー。
新型コロナウイルスの感染防止対策として現在、皆がマスクを着用しています。
その結果、聴覚障害があり、口元の動きを見る「読唇」で相手の言葉を予測している人たちのコミュニケーションに、困難が生じています。
そのような難しさを、聴覚障害がある当事者が漫画に描き、Twitterで話題になっています。
これまでは、口の形や状況で予測していたけど…
マスクで口元が見えず、さらにビニールシートも…
レジ袋有料化で、袋に関するやり取りも増え…
みなさんに、知ってほしいこと
漫画を描いたのは、2018年3月に生まれた耳が聞こえる娘さんと、耳が聞こえない夫婦の日常についての育児漫画を描き、TwitterやInstagramで発信している、うさささん(@usasa21)です。
なぜ今回、コロナ禍での経験を漫画化したのか、BuzzFeed Newsは、うさささんに話をききました。
マスクで「読唇」ができなくなった
新型コロナウイルスの感染が拡大し、皆がマスクを着用するようになってから、買い物の際などに相手の言っていることが予測できなくなったといいます。
聴覚障害にも、様々な種類があり、聞き取り方なども様々です。
うさささんは、「補聴器を使用して相手の言っていることを聞くタイプではなく、『読唇術+状況+予測』で相手が言っていることを判断」しているそうです。
マスクやビニールカーテンで相手の口元やレジの金額表示が見えにくくなったと話します。
そのような人がいること「知ってほしい」
聴覚障害を持ち、口元を見て相手の言っていることを予測している人たちにとって、コロナ禍でコミュニケーションを取ることは難しくなりました。
しかし、マスクやビニールシートは、働く人たちや客をコロナから守る大切な対策です。
この漫画を描いた理由は、「知ってほしい」、そのような思いだと、うさささんは話します。
「お店に察してほしい、あれこれしてほしい、という漫画ではないんです。お店側も沢山のお客さんに対応しなければなりませんし、私たち耳がきこえない人も色々な対策を考えています」
「ただ、こういう人がいることを知ってほしいのです。沢山いるお客さんの中に、なかなか伝わらない・なかなか気付かない方がいましたら、それは私と同じ耳がきこえない方なのかもしれません」
「筆談に切り替えての対応ができた」
うさささんが、自身の経験などをもとに漫画を描き、Twitterにアップすると、7万リツイート、14万いいねという、想像を超える大きな反応があったといいます。
「知ってほしい」、そんなうさささんの気持ちは、実際に商店で働く人にも届きました。
うさささんによると、聴者の店員さんからDMが届き、「耳が聞こえないお客さんが来られ、ゆっくり話したけれど自分がマスクをしていることに気付き、筆談に切り替えての対応ができた」との報告もあったといいます。
手話通訳者などは、口元が見えるような透明のマスクなどを着用する人もいますが、一般的には不織布マスクや布マスクを使用する人が多いのが現状です。
意思表示カードも作成
コロナ禍はしばらく続くことが予想されます。
マスクやビニールシートなどがあっても、聴覚障害を持つ人が商店などでよりスムーズなやり取りができるように、うさささんは「意思表示カード」も作りました。
意思表示カードは、全4種類あり、スマホにダウンロードして商店で画面を見せたり、印刷して店員さんなどに見せ、伝えることができます。
「耳が聞こえません」という文章に、「筆談をお願いします」、「スマホに向かって話してください」、「袋をください」、「袋はいりません」との言葉が添えられています。
親しみやすい、ポップなデザインで作られた意思表示カード。実際に聴覚障害がある人が、商店で使い、すんなりと伝えたかったことが伝わったといいます。
意思表示カードのダウンロード等は、うさささんのツイートからできます。イラストの二次配布や加工等を除いて、自由にダウンロードして、使うことができるということです。