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「私たちの地球を壊さないで」子どもから大人への叫び。アクションを起こした若者たち

「地球の未来守ろう」渋谷で実施されたグローバル気候マーチに、多くの若者が参加しました。

例年の猛暑。毎年のように出る「50年に1度の豪雨」の警報ーー。

日本列島に暮らす誰もが、気候変動がいま、わたしたちに大きな影響を与えつつあると感じている。しかし、それが実際の行動につながることは少ない。

気候変動で悪化する自分たちの将来に危機感を抱く、高校生や大学生などの若者ら2800人が9月20日、表参道に集まり、原宿、渋谷の路上を行進をした。

実はこの「グローバル気候マーチ」は9月、世界各国で行われている。9月23日の国連気候サミットに向けた動きだ。

気候変動への緊急対策を求めるマーチやイベントは、130カ国以上で実施される。日本では20日、北海道から沖縄まで、全国20カ所以上でマーチが行われた。

参加者の約半数は、高校生や大学生などの若者だ。中には小学生もいた。

「地球を守れるのは人間です」「今ならまだ間に合う。行動しよう」ーー。

多くの若者が自作のプラカードを持って集まった。

今回、高校の友人たちと初めて気候マーチに参加した高校1年生のななみさん(16)は「大人にも、同世代の若者にも、環境問題について伝えたいから」と参加した理由を話す。学校では国際ボランティア部に所属している。

「今、メディアでも温暖化などが取り上げられたり、ビニール袋が有料になったりと環境問題に目が向けられていると思う。同世代や色んな世代にもっと関心を持って欲しいと思って参加しました」

一緒に参加した、しのさん(16)は「高校生だからマーチに参加することくらいしかできないけど、できることをしたい」という。

好きなタピオカも、ストローや容器がプラスチックだから気になる。

「友達は水筒を持って行ってタピオカを入れてもらっていました。そうやって意識をして、行動していきたいです」

山梨県から気候マーチに参加した中学校1年生のひなさん(12)は「日本の大人たちにも温暖化や気候変動の大変さに気づいて、行動してほしいです」と言葉に力を込める。

フリースクールのクラスメートや教員、家族と総勢30人以上で山梨からバスで来たという。これまでも、環境問題を題材にしたミュージカルなどに取り組んできた。マーチ行進中にはスクールの仲間と、環境保護などをテーマにした歌を合唱しながら歩いた。

「私の住んでいる山梨は山や川、森がとてもきれいです。それでもゴミが捨てられていたりします」と話した。

今回のマーチでは、若者の参加も多くみられたが、日本在住の外国人の多さも目立った。

アイルランド出身で東京在住のデイミアン・ペンストンさん(44)は、5歳の娘とマーチに参加した。

「娘の世代に未来ある地球と自然を残したくて気候マーチに参加した。冗談でなく本気で心配している。気候変動は危機的なのに、十分な対策は取られていない」

「今日なんでマーチに参加したの?」とペンストンさんが娘に問いかけると、少女は「To rescue our planet. Amazon is burning.(私たちの地球を救うために。アマゾンは火事で燃えてるんだよ)」と答えた。

東京でのマーチを主催したのは若者らが構成するネットワーク「Fridays For Future Tokyo」。

気候変動の危機を訴えて、スウェーデンの高校生、グレタ・トゥーンベリさん(16)が2018年8月から毎週金曜日に自国の国会前で抗議活動を始めたことが、世界的な動きの始まりだ。

金曜日に気候変動への対策を政府に求める運動は各国に広がり、Fridays For Futureによると、数百万人の人が参加しているという。

トゥーンベリさんは今、国連気候サミットに参加するためにアメリカにいる。米下院議会の公聴会で18日に行なったスピーチでは「科学者の声を聞いてください」「科学に基づいて団結して、行動してほしい」と訴えた

スウェーデンからアメリカへ渡航する際も、温室効果ガスを排出する飛行機を利用することを避けるため、太陽光パネルと水中タービンで発電できるヨットで約2週間かけて渡米した。

気候変動に関する動きは欧米諸国を中心に活発化している。金曜日に実施される気候マーチに関しても、カナダのモントリオールや、アメリカのニューヨークでは、学校を休校にしてマーチへの参加を促したり、マーチ参加生徒に関しては学校を休むことを許可するなどして、教育機関自体が全面的に支持をしている。

20日にオーストラリアのシドニーで行われた集会には、公園を埋め尽くすほどの人が参加した。

This is Sydney, Australia. On strike. For the climate. https://t.co/5siJcj9rwF

環境団体「350 Japan」の渡辺瑛莉さんは「グレタさんの活動などの影響もあり、日本でも関心は高まっていると思います」と話す。

今回、Fridays For Future Tokyoは東京都に対して、「気候非常事態宣言」を発令するよう求めている。9月13日には都議会に対して要請書も提出している。

渡辺さんは、日本政府が早急に取り組むべき課題として、石炭火力発電の問題を挙げる。

「世界的に、二酸化炭素(CO2)の排出量が多い石炭火力発電をやめようという動きなのに、その中で日本は推進しており、取り残されています」

グテーレス国連事務総長は、国連気候アクションサミット参加国に対し、2020年までの新規の石炭火力発電所の建設停止、化石燃料補助金の削減、2050年までのゼロエミッションの公約を求めている。

渡辺さんはこう指摘する。

「日本は再生エネルギーでも十分な技術はあります。ないのはそれを支持する政治的意志です」