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客室乗務員「ヒール規定の廃止、すごく嬉しい」。ANAの靴規定見直しで歓迎の声

客室乗務員などの女性スタッフの靴の規定について、ANAがヒールに関する規定を廃止しました。現役の客室乗務員や腰痛に苦しんだ元職員らの声を聞きました。

客室乗務員や地上職などの女性スタッフの靴の規定について、日本航空(JAL)に続き、全日空(ANA)がヒールに関する規定を見直しました。

これまで「ヒールの高さ・幅は3〜5cm」とされていた女性スタッフの靴の規定を「ヒールの高さは~5cm程度(下限の設定なし)」に変更しました。ヒールのある靴の着用を求めていた規定は事実上、なくなりました。

ANAの広報担当者はBuzzFeed Newsの取材に対し、規定の変更理由を「制服着用部門にて業務を行う社員のヒール着用による足への負担や、また長く勤め続けられる職場環境づくりの一環」と説明しています。

日々、ヒールで業務にあたっていた同社の客室乗務員の女性は、規則変更を「すごく嬉しい」と歓迎しました。

ANA広報によると、今回、靴の規則変更の対象となるのは、客室乗務員、ラウンジスタッフ、地上職スタッフなど制服着用部門の係員で、5月1日から運用を始めました。

4月1日には、JALが新制服を導入し「ヒールは0cmから」と、これまで「3〜4cm」としていたヒールの規則を廃止していました。

ANAでの規則変更のきっかけについては、「働き方、職場環境、制服なども含めた社内ルールなどは、改善点があれば随時変更を行なっています」と説明。

その上で、2019年から始まった、職場でのヒール・パンプスの着用強制に反対する運動「#KuToo」の動きや、JALのヒール規則廃止の影響について聞いたところ、広報担当者はこのように話しました。

「社外の状況なども検討のきっかけや、検討要素の一部になりますが、基本的には働きやすく長く勤め続けられる職場・業務環境の改善活動の一貫と考えています。今後も変更点が必要ないか、随時社内で検討をしていきます」

今回の規則変更は、ANAの職員が対象で、ANAホールディングス傘下のピーチ・アビエーションは対象外ということです。

ピーチは以前、BuzzFeed Newsの取材に対し、女性スタッフの靴の規則を「ヒールの高さは3〜5cm」と説明していました。

「ヒールない靴だと準備しやすい」

今回のANAのヒール規定変更を受け、現役で同社の客室乗務員として働く20代の女性は、BuzzFeed Newsの取材に対し、 「ヒールの規定を廃止する決定は、すごく嬉しいです」と歓迎の思いを語りました。

長時間のフライトや、一分一秒を争う離陸前の準備を、靴擦れや足の浮腫みなども経験しながらヒールでこなしていた女性は、こう話します。

「お客様の前ではあまり忙しい姿を見せる事はないのですが、フライトが始まる前の地上での準備段階など、飛行機を定時に出発させたり、少しでも早く上空でサービスが始められるために限られた時間の中でCA一同、必死に準備をしています」

「そういう時にヒールがない靴だと準備もしやすいですし、少しでも早く出発の準備ができます。長距離のフライト後も、やはり足が1番疲れてるといつも感じるので、ヒールがなくなることで浮腫や疲労感が軽減されるのではないかと期待しています」

「働きかけにより、少しずつ『当たり前』が見直される」

また、以前、BuzzFeed Newsの取材に対し、「少しでも彼女たち(現役職員)の労働環境の改善につながれば」と経験談を話してくれた元地上職職員は、規則変更について、こう語りました。

「本当にいいニュースです。このような働きかけによって、少しずつこれまでの男性中心社会の『当たり前』が見直されて、皆が、そして特に女性が、働きやすい世界になっていけば嬉しいです」

この女性は以前、ヒールを着用しながらチェックインカウンターで重い荷物を持ったり、空港中を移動したりしたことで、元々抱えていた背中の痛みが悪化していました。整体では「ヒールを履かない方がいい」と言われましたが、規則なので履き続けていたといいます。

地上職の仕事では、チェックインカウンターから搭乗口まで一日中、1万歩をヒールで歩いたり、走ったりする日もあり、「本当に辛かった。足が痛いだけでなく、足の形が変わってきます」と話し、このように指摘していました。

「地上職の他の男性は心地好さそうな靴を履いていて羨ましかった。もっと女性の足の健康に気を使ってほしい。妊娠している同僚もヒールを履いていたので怖かった。なぜヒールを履くかと考えても、正当な理由が見当たりません。この仕事は本来はスニーカーでやるべき仕事です」

女性は現在は退職していますが、今回のヒール規定見直しを「本当によかった」と歓迎します。

また女性は、今回のヒール規定の廃止を受け、職場や社会に敷かれた「規則」についてもこう語りました。

「学校でも、地毛が明るいから黒染めをさせられるなど、納得がいかない校則もたくさんあったと思います。学校も含め、職場など社会全体で『本当に必要な規則は何なのか』、もう一度見直し、不要なものは廃止するという動きが必要です。その繰り返しにより、皆にとって、より効率的で納得のいく住みやすい社会になっていくと思います」


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