実の妻とのベッドシーンでも「調整役は必要」。『スター・ウォーズ』俳優が発言

俳優のユアン・マクレガーが、実の妻とのベッドシーン撮影に言及。インティマシー・コーディネーターの重要性にふれました。

『スター・ウォーズ』シリーズの俳優ユアン・マクレガーが、実の妻とのベッドシーン撮影の裏側を語りました。

Jesse Grant / Getty Images for Disney

ユアンは英ラジオ・タイムズ誌とのインタビューの中で、撮影時のインティマシー・コーディネーターの重要性にふれました。

インティマシー・コーディネーターとは、ベッドシーンの撮影で、俳優の心身の負担への配慮と、制作者の演出意図の実現を両立するために、両者のあいだで調整を行う人のこと。

ベッドシーンの段取りなどを決め、場面を演じる俳優だけでなく、作品に関わるすべての人が気持ちよく撮影に参加できるようにする役割を持ちます。

ユアンは新作ドラマ『A Gentleman in Moscow（原題）』で主演を務め、妻のメアリー・エリザベス・ウィンステッドも出演しています。

Gotham / WireImage

今作では、ユアンとメアリーのベッドシーンが描かれています。

インタビューの中でユアンは、たとえ実の妻とベッドシーンを演じるとしても、インティマシー・コーディネーターは撮影現場で必要な存在だと語りました。

「（ベッドシーンの相手が、実の妻だとしても）インティマシー・コーディネーターは必要です。なぜなら、スタッフのことも考える必要があるからです」

「人前で裸になるのは、変わったことですし、カメラの前で相手との親密さをさらけ出すのも特殊な状況なんです」

「ダンスシーンの撮影には振付師がつきますよね」

「インティマシー・コーディネーターは、監督と俳優の中間地点に立ってくれる存在です。今では作品の重要な一部となっていると思います」

ユアンは続けて、22歳の娘エスターを例に話を続けました。

Rodin Eckenroth / Getty Images for Amazon Freevee

エスターは、ユアンと元妻イヴ・マブラキスとの子どもで、モデル・音楽活動を行う22歳。

エスターは、数々の映像作品にも出演しており、父ユアンの主演するドラマ『オビ＝ワン・ケノービ』へのカメオ出演も果たしています。

「私の娘は22歳です。自分よりずっと年上で、有名な監督が『このシーンで脱いでほしい』と22歳の俳優に言ったら、何が起こるでしょうか」

「その俳優は『どうしよう。やらなきゃ。私のキャリアがかかってるんだから』と思うでしょう」

「でも5年後、彼女はこう考えるかもしれません。『あんなことしなきゃよかった。なんであのシーンで裸になったわけ？脱ぐ必要なんてなかった』とかね」

「でも今では、自分のキャリアの命運を握る人ではなく、インティマシー・コーディネーターに相談することができるんです」

インティマシー・コーディネーターについては、俳優の中でもさまざまな意見があります。

Sutiporn Somnam / Getty Images

2020年には、SAG-AFTRA（映画俳優組合・米テレビ・ラジオ芸術家連盟）が「製作現場におけるインティマシー・コーディネーターの導入を奨励するため」の新しいガイドラインを発表しています。

一方、性的なシーンの撮影に、第三者が入ると気まずくなる、あるいは俳優の自発性を重視したいという理由で、あえてインティマシー・コーディネーターを置かない俳優がいるのも事実です。

『タイタニック』などで有名な俳優のケイト・ウィンスレットは、米ニューヨーク・タイムズ紙のインタビューに応じ、自身のキャリア初期をこう振り返っています。

Dave Benett / Dave Benett / Getty Images for NET-A-PORTER

インティマシー・コーディネーターの重要性を認めるケイトは、ユアンが指摘した、若い俳優ならではの立場上の問題について、次のように語りました。

「まだ若い俳優たちは、誰かを怒らせてしまわないか、（撮影時に）そういう要望を口にすることで、失礼だとか、情けない人だと思われないかと心配するものです」

「ですから、そのような環境の中で、自分の意見をしっかりと発言できるようになるのは、とてもとても大変なことでした」

この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳：大久保 拓哉