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赤ちゃんギャン泣きの「黄昏泣き」「コリック」 医師に聞く原因と対処法

「泣き止まないだけ」なら受診の必要なし。ただし、注意するべきポイントも。

赤ちゃんが夕方に泣き始め、何をしても泣きやまない状態を「黄昏泣き」と呼ぶことがある。

11月初旬、この黄昏泣きが「コリック」という聞き慣れない言葉とともに、Twitterを中心に話題になった。

きっかけは海外在住のあるTwitterユーザーのツイート。このユーザーは「黄昏泣き」は「コリック」という現象で、その原因は腸に溜まった「ガス」であるとした。

そして、コリックへの対処法として、赤ちゃんのお尻にカテーテル(管)を挿入してガス抜きをすることを、イタリアでは「誰もが知ってます」と紹介したのだ。

このツイートは2万回以上リツイート(拡散)され、まとめサイトにも転載された。しかし、医療関係者らからは、医療の訓練を受けていない人が自己判断で赤ちゃんにカテーテルを挿入する危険性への指摘が続出した。

BuzzFeed Japan Medicalの取材に、小児外科医の松永正訓医師も「勧められません」と断言する。

「そもそも、コリックの原因は不明です。ガスによる腹痛が原因かもしれないし、そうではないかもしれない。効果があるかどうかがわからない状態で、親御さんがカテーテルを挿入するというのは、勧められません」

「黄昏泣き」「コリック」とは? 国立成育医療研究センター医師は「明確な定義はない」と回答。

そもそも「コリック」とは何か。国立成育医療研究センターの小児科専門医・周産期(新生児)専門医の和田友香医師は、この言葉が医師も使う医療用語であると認めた上で「明確な定義はない」という。

「明確な定義がないので、夕方に赤ちゃんが突然泣き出す黄昏泣きという現象そのものを指してコリックと呼ぶことも、黄昏泣きの原因の一つにコリック(腹部の強い痛み)があると考えることも、どちらもあり得ます」

「一般的な定義は前者で、黄昏泣き=コリックでしょう」と和田医師。前述のツイートについては、医師の間でもコリックを巡る議論が錯綜していたが、それはそもそも、この言葉に複数の使われ方があることが理由だったとも言える。

コリックの原因は不明だが「消化管の不調がもっとも疑わしい」。具体的には「腸内ガスの貯留」以外にも以下のような原因が考えられる。

「腸の未熟性(腸が未発達である状態)」「アレルギー」「腸のけいれん」「乳糖不耐(牛乳などに含まれる乳糖を消化できないこと)」など、さまざまな可能性が考えられる、とした。

では、コリックで病院を受診することは必要だろうか。和田医師によれば「受診は必要ない」。

「ただし、他に泣く原因がないか考えることは必要です。太ももの付け根あたりが膨らむ鼠径ヘルニアなど、いつもと違う体の状態に気がついたら、受診するようにしてください」

一方で、泣き止まない赤ちゃんをなんとかあやそうとする母親に、切実な思いがあることも事実だ。

5歳の子どもを持つ31歳の母親・かなこさん(仮名)も、泣き止まない赤ちゃんに苦労した経験がある。

「下ろすと泣いてしまうので、何時間でもずっと抱っこし続けているなんてことは、ザラにありました。夜は夜で夜泣きが始まるので、ほとんど眠れず、本当にストレスでしたね」

「子どもに手を上げそうになったこともあります。パートナーの協力があれば、もっと余裕を持つこともできたのかもしれませんが、私の場合は旦那の協力がほとんどなかったので……」

当時はかなり追い込まれていた、と振り返る。「世の中の旦那さんには、子育てをお母さん任せにしないで!って、強く訴えたいです(笑)」

では、どうしても泣き止まない赤ちゃんに、その親らはどう向き合えばいいのだろうか。

小児科医の森戸やすみ医師によれば「よく泣くということは、元気な証拠でもある」。「むしろ、泣くという意思表示ができない状態のほうが、医師としては心配です」という。

「赤ちゃんは空腹やおむつ替えなど、わかりやすい理由以外に、疲労でも泣くし、緊張でも泣くし、イライラでも泣くし、ガスによる腹痛でも泣きます。何が原因で泣いているかを特定するというのは、なかなか難しいのです」

「抱いたりおぶったりする」「静かに揺する」「低い声で話す」「(動かすときは)ゆっくり動かす」など、世の中には泣き止ませのさまざまなテクニックがある。

今回、コリックで話題になった、げっぷをさせたり、肛門のマッサージをしてガス抜きをするというのも、その1つだ。しかし、ガス以外にもさまざまな原因が考えられる以上、「それでも泣き止まない」ということは十分に起こり得る。

「だからこそ、“何をしても泣き止まない”という状況では、親御さんは無力感を抱きがちです。“赤ちゃんが泣くのは昔からある普通のこと”という意識を持つのは、その無力感を防ぐためにも、大事なことなのです」

また「1人で悩まないことも重要」(森戸医師)。身近な育児経験者や、各自治体の相談窓口(自治体のホームページや広報誌などに掲載)に連絡してみるのも一手だ。

他にも、例えばTwitterでは「#2017sep_baby」のように、同じ月齢の子どもを持つ親同士が、ハッシュタグを使って交流している姿も見られるという。

わたしのーお乳の前で 泣かないでください そこは乳首じゃありません あなたの右手です #2017sep_baby

「“泣き止まない”+“吐く”、“泣き止まない”+“熱がある”などの場合には、医師に相談してほしいと思いますが、“泣き止まない”だけであれば、ある程度は仕方のないものとして、泣かせておきましょう」

「“赤ちゃんは何も病気がなくても泣き止まないことがある”ということを知っておくと、親御さんが追い込まれないかもしれません。“赤ちゃんが何をやっても泣く”という時期は、いつか必ず終わります。周囲の人も親御さんをできるだけサポートしてほしいです」


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