SNSで注目を集めている1枚の写真があります。
9千を超えるリツイートと、2万2千を超える「いいね」を集めたこの投稿。
一見、普通の女性マネキンに服が飾られているように見えますよね。

しかし実は、どちらのマネキンもメンズ(男性)なのです。
BuzzFeedは、ジェンダーフリーのアパレルブランド・ブローレンヂの代表兼デザイナーである智世さん(@blurorange_jp)にお話を聞きました。
写真を投稿した経緯
写真は、今から約2年前の2019年4月に、大丸松坂屋百貨店梅田店で開催されたポップアップイベントの際のものだといいます。
投稿の経緯について、「ネットニュースで千鳥の大悟さんが、『モデルはワシらのような普通の体型の奴に』と言われていたと知り、そういえば、イベントの際に男性マネキンに商品を着せていたけれど、ほとんど気付いてもらえなかったなぁと思い出したからです」と振り返ります。
大きな反響には、「男性でも美しく着られるブランドがあるということを広く知っていただけて嬉しいです」と喜んでいる様子です。
当時、実際にマネキンを見た人の反応は...?
リプライ欄では、「全然わからない、すごい」「着てみたい!」など、その素敵なデザインの洋服に多くの称賛と待望の声が集まっています。
当時、実際にこのマネキンを見た人がどのような反応だったのか聞いてみると、
「『え!?確かに言われてみれば大きい!』『男性向け!?新しい時代ですね』『男の人が着られるなら私も着られるかも!』 という反応が多かったですね。中には、ご試着してくださる紳士もいらっしゃいましたよ」
直接みても気がつかないほど、馴染んでいたことがうかがえます。
洋服のこだわっているポイント
洋服をデザインするときに参考にしているファッションについては、「50年代ファッションのようなクラシカルなデザインが好きなので、なんとなく近い雰囲気のデザインになっていると思います」といいます。
「左のワンピースは、実際にメンズのトルソー(マネキン)に布を当てながら形を作っていく立体裁断という手法で製作されています。右のブラウスとスカートは実際の男性の計測値から設計されたものです」

「私がデザインを描き、縫製工場のパタンナーさんに依頼し、パターン(服の設計)を組んでもらいます。組んでもらったパターンを元に、さらに美しいシルエットになるまでパタンナーさんと相談をしながら細かい修正を加えていきます」
「また、大学時代に認知心理学の錯視(目の錯覚)を学んだことも活かしてお洋服作りをしています」
創設5年目となるblurorange。その過程では変化もー
「設立当初は、『男性を女性にみせる』ことに特化していました。 しかし最近では、『男性のままでも似合うワンピースやスカート』も作っています」
着る人の、ありのままの美しい姿を活かしたい。そんな智世さんの願いが込められているのかもしれません。
「客層は、女装家、トランスジェンダー、アスリート女性、トールサイズ女性が主だったのですが、最近、レギュラーサイズの女性やお洒落に敏感な若い男性も増えてきました」
現在、新たな試みとして、「性別を問わない美しいシルエットのスカート」の商品化に向けて、1月27日までクラウドファンティングを行なっています。
その商品モデルにも、男性を起用しました。

智世さんも、「モデルの男性には、ウィッグを被せたり女性のような化粧をしたりせず、自然体で撮影に望んでもらいました。とっても似合っています」と語ります。
「花を見て綺麗だなと思うのと同じように、着る服にも性別は関係ない」
「数年前に、Twitterでアンケートを取ったんですが、誰にも後ろ指を刺されないなら自分もレディース服を着てみたいという男性は実に約77%もいらっしゃいました(智世さんの行なったアンケート結果より)」

「みんな本当は着てみたいんです。だけど、『あいつスカートはいてるぞ!』って笑われたくないからやらないんでしょうね。でも最近、スカートをはく男性も少しずつ増えてきていますし、うちのようなブランドも増えてきています」
「花を見て綺麗だなと思うことに性別が関係ないように、美しいもの、かわいいものを身に纏いたいという気持ちにも性別は関係ありません。この記事を読んでいる方は少なからず興味があるはずです。この際、思いきって着てみてください。楽しくて心躍りますよ!」
【ブローレンヂ・智世】
2017年6月に、ジェンダーフリーなファッションブランド「blurorange/ブローレンヂ」を起ち上げた、代表兼デザイナー。2018年6月には東京大学安田講堂で歴史上初めてとなるファッションショーを開催。2020年に初のエッセイ「ワンピース で世界を変える!」を創元社より出版。2021年10月にバンクーバー ファッションウィークに参加予定。
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