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「こんな私でも好きって思えたよ」性欲を持たない女性が、自分を愛するまでの話。

バイで、アセクシュアル。「あなたはそのままでいい、そのままでも受け入れてくれる人が必ずいるから」

性的マイノリティの中には、複数のセクシュアリティを自認している人もいます。

「『性欲が極端に少ない両性愛者』とアバウトに自認しています」

こう話すのは、大学生のりいさん(仮名)。

バイセクシュアルとアセクシュアルを自認しています。

「以前は、自分のセクシュアリティを固定しようと色々もがきました。でも今は、私だけのセクシュアリティがあると思っています」

確信に変わったのは中学2年

バイセクシュアルであるとわかったのは、中学2年生の時のこと。

「それより前から、同性カップルを描いた漫画を読んでいたのもあり、『同性のことも好きになれるなあ』と何となく考えていました。それが確信に変わったのは、中学2年の時に同性の同級生を好きになったからです。自分の中では『やっぱり私は女の子も好きになるんだ!』とすっきりした感覚がありました」

その後、恋人が出来たりいさんは、少しずつアセクシュアルかもしれないと思うようになります。

「アセクシュアルだと感じ始めたのは、中学3年生から高校2年生にかけてです。ある時突然自覚したというより、色々なことが重なった結果、気がついたという方が正しいと思います」

「当時好きだった人から性的な目で見られる、性的な関係を求められることに何となく違和感を覚えました。性欲が全くない訳ではないけれど、恋愛に性欲が持ち込まれることに抵抗や不安がありました」

「相手が興奮する気持ちはわかりますが、自分は全くそういう気が起きない。そんなことが何回も続いた事でアセクシュアルかもしれないと思うようになったんです」

「何度も何度も自分を責めました」

自分のセクシュアリティを見つけたりいさんは、周囲の人からのこんな言葉に悩まされてきたといいます。

「性欲が極端に少ないことを相談した友人たちから『好きだから(性行為を)したくなるんだよ』と言われましたが、全く納得できませんでした」

「そう言われてしまうと、“付き合う=性的な関係を結ぶ“と固定されてしまっているようで、とても居心地が悪く、そんな考え方が気持ち悪いとすら感じてしまうこともありました。友人たちが何気ない会話の中で、『あの子は彼氏がいるし、この前泊まってたから絶対(性行為を)してるよね』と話しているのにも、常に違和感を持っていました」

「確かに、普通のカップルだったら性行為に及んでるかもしれませんが、どうして“付き合ってるからバージンではない”、という考えになるのかなと....。私自身も、恋人がいると話すと『もうしたの?』などと聞かれるのが不快でした」

また、「相談をすると、友人たちは『かわいそう』と同情的な態度で接してくれます。きっと気をつかってくれているのだと思うのですが、誰一人『それでもいいんだよ!大丈夫!』と言ってくれたことがありません」

「大抵は『経験すればわかる』、『いい人(テクニックがある人)に出会ってないからだよ』、『まだ若いからそのうち治るよ』と言ってくれます。正解がないのは分かっていますが、どの返答も『あなたの経験が浅いからだ』と言われているようで、経験を求めていない私にとっては納得がいかないこともありました」

「誰ひとり“そのままの私でいい”と言ってくれる人がいなかったので、『無理してでも経験を積んで変わらなきゃいけない』、『治さなきゃいけない』、『私には大事なものが欠けている』と悲しくなった時期もありました」

さらに、最も悲しい思いをしたと話す言葉にはこんなものもありました。

「相手がしたいのにしたくないって断るのはただのわがままだ、相手が可哀想」

「自分が一番よくわかっていることを、改めて他人から言われてしまうと苦しかったです。自分にはどうしようも出来ない。したい気持ちがないのに相手に体を預けるのは果たしていい関係と言えるのか。それでもしないと捨てられるかもーーとものすごく悩みました」

「今でもずっと、この言葉は頭に残って離れません。「今でもずっと、この言葉は頭に残って離れません。一種のトラウマだと思います」

さらに、当時の恋人からはこんな言葉も投げかけられました。

「どうして出来ないの?」「どうすればしたくなる?」

「自分が下手だからしたくない?」「触ればその気になるでしょ」

「『どうして?』と聞かれても、そういうものだからとしか言えず、もどかしく思っていたんです。恋人から言われた時は、とても申し訳ない気持ちになりました」

「相手に性欲を我慢することを毎回強いている私自身を責めることもありました。『相手は私を求めてくれるけど、私は応えられない』、『こんなことをしていたら、いつか捨てられてしまう』」

「相手は何も悪くないのに、相手を追い詰めてしまってることが何よりも悲しかったです。何度も何度も自分を責めました」

性行為できなくてもこれからもずっと一緒にいたい

「あなたはそのままでいい、そのままでも受け入れてくれる人が必ずいるから大丈夫」

悩み苦しんでいた過去の自分に、こう伝えたいと話すりいさん。

これには、ある人の存在がありました。

「今の恋人に、『性行為できなくてもこれからもずっと一緒にいたいしずっと大好き』と言ってもらえた時は、かなり救われました。答えられない私でも、一緒にいていいんだと思えてとても嬉しかったです」

現在の恋人に出会って、自分自身を肯定できるようになったりいさんは、過去の自分に伝えたいこととして、さらにこう続けます。

「まず一番は自分で自分を認めてあげること。私は私でいいの、こんな私でも私が好きって思えたから、今はとっても気分が軽くて自信が持てたから、まずは自分を大切にして欲しい」

問い詰めるのではなく寄り添ってもらえたら......

最後に、読者の皆さんへのメッセージも聞いてみました。

「今は、LGBTQなどが徐々に認知されるようになって、性別に縛られない恋愛の形が認められるようになってきました。しかし、“性欲、恋愛感情がないor極端に少ない”ということは、未だに受け入れられにくい現状があります」

「理解するのが難しいのは、私自身もよくわかります。だけど、どうか『経験不足』『いい人に出会ってない』『あなたが悪い』という言葉だけは言わないでほしいです。たとえそう思ったとしても、です」

「その言葉は、ずっと当事者の心の中にこびりついてトラウマになり、当事者の心を閉じこめる固い殻になってしまうからです。相談してくれた本人を完全に理解出来なくとも、問い詰めるのではなく寄り添っていただけたら嬉しいです」

(サムネイル=Getty Images)

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