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同性カップルは、男女カップルに劣る存在なのか。自民総務会長の発言にLGBT団体が反発(声明全文)

竹下氏は「言わなきゃよかった」と反省を口にしましたが…

天皇、皇后両陛下が開く宮中晩餐会に招かれた国賓が「同性パートナー」と一緒に出席することについて、自民党の竹下亘総務会長が「私は反対だ。日本国の伝統には合わないと思う」と発言したことが波紋を呼んでいる。

11月27日には、同性カップルの法的保障を求める「パートナー法ネット」が声明を発表。「発言は性的指向を理由とする差別に基づくもの」と批判し、発言の撤回・謝罪を求めた。

自民党の竹下亘総務会長
時事通信

自民党の竹下亘総務会長

「パートナーが同性だった場合、私は反対」

竹下氏が発言したのは11月23日、岐阜市内で開かれた自民党支部パーティーでの講演中だった。

朝日新聞によると、竹下氏はまず異性間の事実婚に言及。

フランスのオランド前大統領が事実婚の女性パートナーと宮中晩餐会に出席したことに触れ、「奥さんではないパートナーだという女性が天皇、皇后両陛下と並んで座るわけだから、どう対応しようかと宮内庁は悩んだ」と明かした。

続けて、国賓のパートナーが同性だった場合について、「私は(出席に)反対だ。日本国の伝統には合わないと思う」「同性だった場合、どう対応するか。日本国として必ず近い将来、突きつけられる課題ではないか」と持論を述べたという。

2013年7月、宮中晩餐会に出席したフランスのオランド前大統領(左から2人目)とパートナーのバレリー・トリルベレールさん(右)
AFP=時事

2013年7月、宮中晩餐会に出席したフランスのオランド前大統領(左から2人目)とパートナーのバレリー・トリルベレールさん(右)

発言が報じられると批判が相次ぎ、竹下氏は翌24日には「言わなきゃよかったと思っている」と弁明。

姪から電話で「思うのはいくら思ってもいいけど、あれは言うべきじゃなかった」と注意されたと言い、記者団に対してこう説明した

「いずれ議論をしなければならない時期が来るだろうが、まだ先じゃないかと思う。私の周辺にも同性のパートナーを持っている人はおり、普通に(私は)お付き合いをしている」

「ただ、皇室を考えた場合に、日本人のメンタリティーとしてどうかなという思いが私の中にあったものだから、ああいう言葉になって出た。言わなきゃよかったと思っている」

海外では同性愛を公表するリーダーも

実際に海外では、同性愛を公表している政治的リーダーは少なくない。

アイルランドでは今年6月、同性愛を公表していたレオ・バラッカー氏が首相に就任。また同じ月にはセルビアで、初の女性で、初の同性愛者のアナ・ブルナビッチ首相が誕生した。

他にも、ルクセンブルクのグザヴィエ・ベッテル首相、アイスランドのヨハンナ・シグルザルドッティル元首相、ベルギーのエリオ・ディルポ元首相などが名を連ねる。

AFP=時事, Charles Mcquillan / Getty Images, AFP=時事

ルクセンブルクのグザビエ・ベッテル首相(右)と、夫のゴーティエ・デストネさん

同性カップルは、男女カップルに劣る存在なのか

同性カップルが直面するあらゆる制度的困難の解消に向けて活動している「パートナー法ネット」は声明で、竹下氏の発言は「性的指向に関する直接的または間接的な差別」にあたると主張。

同性パートナーの宮中晩餐会への出席を拒否することは、「同性カップル・パートナーとして暮らす日本国民に『自分たちは男女カップルに比べて劣る存在である』と宣言を言い渡したに等しいコメント」だと厳しく批判した。

竹下氏が「日本国の伝統に反する」と理由づけたことについても、かつて宗教上の理由などから同性愛を刑罰の対象としてきた国々が、今では同性婚を導入していることを指摘。

2014年にはオリンピック憲章に性的指向による差別の禁止が明記されたことにも触れ、「我が国のみ『伝統』を理由に、これからも差別的な取り扱いを正当化できると考えることは、諸国の人権に対する真摯な取り組みと発展を無視する考え方」だと訴えた。

さらに、自民党も2016年に「性的指向・性自認の多様なあり方を受容する社会を目指す」ための基本指針を発表していることを挙げ、党の立場とも矛盾していると指摘した。

以下、パートナー法ネットの声明全文。


平成29年11月23日、岐阜市で開催された自民党支部パーティーの公演において、自民党総務会長・竹下亘氏が、我が国の皇室が開催する宮中晩餐会をめぐって、国賓の同性パートナーの出席に反対するという主旨の発言をしました。

この発言は性的指向を理由とする差別に基づくものであり、当団体は強く抗議の意を表明し、竹下氏に対して発言の撤回・謝罪を求めます。

報道によれば、講演の中で竹下氏は、同性パートナーが宮中晩餐会に出席する事の可否判断について、「必ず近い将来、突きつけられる課題」だが、「日本国の伝統に合わないもの」として出席には反対を表明したと伝えられています。

同性であることを理由としてパートナーの宮中晩餐会への出席を拒否することは、同性カップルを異性カップルと比較して不利益に取り扱うものであり、性的指向に関する直接的または間接的な差別にあたります。

こうした取扱いは、憲法第14条が保障する平等原則に違反するものであり、許されるものではありません。

また、この場合不利益扱いの被害者は、直接には日本国民ではないとはいえ、同性カップル・パートナーとして暮らす日本国民に「自分たちは男女カップルに比べて劣る存在である」と宣言を言い渡したに等しいコメントであり、差別的言動であることには疑いの余地がありません。

海外では米国やEU諸国等、宗教上の理由から同性愛を刑罰の対象としてきた国々においてすら近年同性婚の導入が急速に進んでいますが、これらの国・社会は、自らが過去正しいとしてきた、同性愛を異常視し差別する「伝統」は、誤った知見に基づき、人権を侵すものであったことを認め、政策・法制度を改めたのです。

したがって、わが国のみ「伝統」を理由に、これからも差別的な取扱いを正当化できると考えることは、これら諸国の人権に対する真摯な取り組みと発展を無視する考え方であり、我が国は「価値観を共有する」国として見なされないことを、表明することになります。

また、2014年には五輪憲章に性的指向による差別の禁止が明記され、我が国は2020年のオリンピック・パラリンピック開催国として、国際社会の厳しい視線にたえうる対応が求められています。

さらに、現在竹下氏が議長を務める自由民主党総務会は、2016年に「性的指向・性自認の多様なあり方を受容する社会を目指すためのわが党の基本的な考え方」を承認・発表しています。

この中では、「わが国においては、中世より、性的指向・性自認の多様なあり方について必ずしも厳格ではなく、むしろ寛容であった」としたうえで、歌舞伎の女形やとりかへばや物語を例に、「古来、わが国で性的指向・性自認の多様なあり方が受容されてきたことを示す」としながら、LGBTの理解増進への政府の各種対応を、政府に要望しています。今回の竹下氏の発言はこの立場と大きく矛盾するものです。

当団体は、以上の通り今回の発言を差別発言として強く指弾するとともに、竹下氏に対して発言の撤回を求めます。また、宮中晩餐会への出席者選定を含む、国政のあらゆる局面において、同性カップルが異性カップルと比較して不利益な取扱いを受けることがないように、同性カップルの困難を解消する法的保障の実現を、行政府及び立法府に対して引き続き強く求めていきます。

BuzzFeed JapanNews

Saori Ibukiに連絡する メールアドレス:saori.ibuki@buzzfeed.com.

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