トランプ大統領が9月13日、昨年9月の台風被害によってプエルトリコで約3000人が死亡したという現地当局の発表は、自分を貶めるために、民主党がでっち上げたものだ」とツイートした。
これに対し、現地や党内から批判の声が上がっている。
「3000人死亡はでっち上げ」
プエルトリコは西インド諸島中部にあるアメリカの自治領。
現地当局は当初、昨年9月に島を襲った台風マリアによる犠牲者は、64人と発表していた。
だが、アメリカの大学が「実際の死者数は3000人近くに上る可能性がある」とする調査結果を発表したことを受け、今年8月末に2975人へ大幅修正した。
一方、トランプ大統領はTwitterで、この発表は事実ではないと否定。
「3000人も犠牲になってなどいない。私が島を訪問したときは、死者数はせいぜい6〜18人だった。それが長い時間が経ってから、3000人というとてつもない数字を出してきた」
「これは、プエルトリコの再建のために何億ドルもの資金を集めた私を可能な限り貶めるために(野党の)民主党がでっち上げたものだ」
「誰かが高齢で死んだなら、そっちのリストに追加すればいいだけのこと。これは悪い政治。私はプエルトリコを愛している!」
だが、死者数が3000人よりも少ないという根拠になる事実は、示さなかった。
「現実逃避とは、まさにこのこと」
こうしたトランプ大統領の主張に、現地からは強い批判の声が上がっている。
首都サン・フアンのカルメン・クルーズ市長は「事実の拒否、現実逃避とはまさにこのこと。大統領、現実世界ではあなたが守るべき人々が犠牲になったんです。あなたの敬意のなさにはぞっとします」とツイート。
続けて「この問題は『政治』とは関係ありません。人の命を救う、ただそれだけのことです」と訴えた。
プエルトリコのリカルド・ロッセロ知事も自身のFacebookで、大学の調査に基づいて当局が発表した死者数は信用できるとコメントし、「今は政治をめぐって争うときではない。市民が負った痛みや犠牲に目を向けることだ」と語った。
共和党内からも批判「この数字こそ事実」
トランプ大統領を支持する共和党内からも、反論の声が相次いだ。
フロリダのリック・スコット州知事は「大統領の意見には同意しない」「台風マリアによる被害には本当に胸が痛む」とツイート。
ポール・ライアン下院議長も会見で「プエルトリコ当局が発表した数字に異議を唱える理由は何もない。あの数字こそ、恐ろしい台風が孤立した島を襲った時に起こることの事実を示している」と話した。
一方、ホワイトハウスの広報官もコメントを発表した。
だが、ツイート内容やその根拠には言及せず、「大統領は、誤った情報や不当なを繰り返して、台風被害を政治的に利用しようとしたプエルトリコ当局やリベラル派のメディアに対して反論した」と述べた。
この記事は英語から翻訳・編集しました。