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オリンピック選手の性的指向に関わる情報を無断で暴露 「アスリートの命に関わる危険な行為」

ゲイやバイセクシュアル男性向けのマッチングアプリを使って、選手村に滞在しているアスリートのプロフィールを特定したとする動画が、TikTokやTwitterに無断で投稿されていた。

選手村に滞在しているオリンピック参加選手の性的指向に関する情報を、本人の合意を得ずに無断でSNS上で暴露(アウティング)した動画が問題となっている。

LGBTQのアスリートを支援する団体「プライドハウス東京」は8月1日、緊急声明を出した。

今大会に参加する国々の中には、性的マイノリティに対して死刑を課す国も存在することを指摘し、「アウティングはアスリートの命にも関わる極めて危険な行為」と強く非難している。

アウティングは「命にも関わる危険な行為」

Facebook: PrideHouseTokyo

問題を報じた海外メディア「Insider」によると、ある手法を使って、選手村に滞在しているアスリートのプロフィールを特定した動画が、TikTokやTwitterに無断で投稿されていた。

動画はすでに、各プラットフォームによって削除されているという。

誰かの性的指向や性自認などに関する情報を、本人の許可を得ずに暴露する行為は「アウティング」と呼ばれ、重大なハラスメント行為のひとつだ。

2015年にゲイであることを暴露された学生が転落死した「一橋大学アウティング事件」の裁判では、アウティングは「人格権ないしプライバシー権などを著しく侵害するものであって、許されない行為であることは明らか」と明言した判決が下された

性的マイノリティに死刑を課す国も

国際的なLGBTQ団体「The International Lesibian, Gay, Bisexual, Trans and Intersex Association(ILGA World)」によると、今大会に参加している国や地域のうち約70カ所では、性的マイノリティであることが起因して罪に問われる可能性があり、中には死刑を課す国も存在する。

プライドハウス東京は声明で「アウティングはアスリートの命にも関わる極めて危険な行為」と強調し、「このような出来事が二度と起こらないために、アウティングを行わない、そのような情報を見ても拡散をしないことが広く認知され、守られなければなりません」と訴えた。

IOCなどに対しても、再発防止に向けたアクションを要請。今後はSNS上で、アウティング行為の危険性を周知するハッシュタグ・キャンペーンを展開する予定だという。

今大会には、LGBTQであることを公表しているアスリートが178名参加しており(8月1日時点)、オリンピック史上最多とされている。

プライドハウス東京は「アスリートおよび関係者が、日本に滞在する間も、日本を離れてどこにいたとしても安心安全に過ごすことができるように、IOCや東京2020組織委員会はもちろん、日本社会の全ての方々において、環境整備とその周知徹底がなされることを望みます」と訴えた。

【UPDATE】表現の一部を修正しました