「”NO means NO”が当たり前の世界」を目指して、性暴力に関する情報や性的同意の重要性について発信している団体「mimosas」(ミモザ)が10月2日、性的同意の取り方やお互いを尊重したコミュニケーションについて考えるイベント「わたしとあなたを愛すること」を都内で開催する。
mimosasは今年8月、臨床心理士のみたらし加奈さんやメディアプロデューサーの疋田万理さんら有志を中心に発足した。
「知ることで変えられる未来がある」というコンセプトのもと、性被害に詳しい弁護士や臨床心理士らの監修を受けながら、「被害にあったらまず何をすべき?」「トラウマや心の傷とどう向き合えばいいの?」などの疑問に答える情報を発信している。
10月2日のイベントには、ジャーナリストで雑誌「TIME」の「世界で最も影響力のある100人」に選出された伊藤詩織さんや、リアリティ番組「テラスハウス」の最新シーズンに出演していた女優のVioletta (Vivi)Poltさん、お笑い芸人のせやろがいおじさんなどが登壇。
「セックスの時の、YES/NOどうやって伝えてる?」「相手を思いやったコミュニケーションって?」などをテーマに語り合う。
会場には、あいちトリエンナーレ2019でも展示されたモニカ・メイヤーさんの作品「The Clothesline」が展示される。参加者が日常生活で感じる抑圧やハラスメントなどを紙に書き、物干しロープに吊るしていく作品で、イベント来場者も参加することができる。
また、トークセッションの様子はオンラインでも視聴できる。
「性的同意」をカルチャーに
mimosasが目指しているのは、性被害にあった時に「心の支え」となる情報を発信するとともに、性行為の前にお互いの意思を確認する「性的同意」のカルチャーを広めることだ。
その背景には、暴力を受けた人が被害を認識できなかったり、周囲からも軽んじられたりする風潮がある現状を変えたいという思いがあると、みたらしさんは言う。
「日本ではまだまだ、性暴力の被害が被害と認識されていない現状があると感じています」
「例えば、被害を受けた人自身が『自分の“NO”は相手に届かなくても当たり前だ』という意識から、『嫌だったけど、何となくセックスをしてしまった』『嫌だと言ってもどうせ伝わらないし、トラブルになるくらいなら我慢したほうがいいや』と諦めている場面もあるかもしれません」
「一方では、被害を受けた人が声をあげても、周囲から『あなたにも隙があったんじゃないか』『あなたがそんな服装をしていたからではないか』などと責められ、セカンドレイプを受けるケースも少なくありません」
たとえ相手がパートナーでも
また、みたらしさんは「レイプ被害の多くは『知っている相手』からの被害だということはあまり知られていません」と指摘する。
内閣府が実施した調査(2017年度)によると、回答者のおよそ20人に1人が無理矢理に性交などをされた経験があった。
そのうち、加害者が「まったく知らない人」だったと答えた割合は11.6%。およそ8割が、配偶者や恋人、職場の関係者、親族などを含む「面識のある人物」による被害だった。
「例えパートナーであったとしても、望まない性的行為は性暴力です。いつだって自分自身の身体と相手の身体には『境界線』が存在しています」とみたらしさんは強調する。
「あなたの身体は『あなただけのもの』であって、同じように、相手の身体も『その人だけのもの』なのです。その境界線が曖昧になって、『いやだ』という想いが伝わらないと、性暴力というものは簡単に起きてしまいます」
「『いやよいやよも好きのうち』ではなく、あなたの感じた『いやだ』の気持ちが相手に伝わりやすくなるためにも『NO means NO』のカルチャーを作っていくことは必要だと思っています」
10月2日は「国際非暴力デー」
10月2日は国連が定めた「国連非暴力デー」でもある。みたらしさんは「トークセッションを通じて、性的同意や自分自身を大切にすること、相手とのコミュニケーションについて、一緒に考えていければいいなと感じています」と話した。
イベントの詳細やチケットの購入はこちら(https://mimosas1002.peatix.com/)から。