「社員を傷つける数々の行為に正式抗議」テレ朝が財務省セクハラ問題で緊急会見

    被害を受けた女性社員の「セクハラの事実を曖昧にしてはならない」という意向から会見を開いた。

    福田淳一・財務事務次官が女性記者に対してセクハラ発言を繰り返していたと報じられた問題で、テレビ朝日は4月19日午前0時から同社で会見を開き、被害者の女性のうち一人が同社の社員であると公表した。

    会見した篠塚浩報道局長は、「社会的に責任の重い立場にある次官によるセクハラの事実を曖昧にしてはならない」という女性社員の意向から会見するに至ったと説明。

    「財務省に正式に抗議するとともに、社員の人権を徹底的に守っていく」と述べた。

    1年半前からセクハラ発言

    篠塚報道局長の説明によると、19日の会見に至るまでの時系列はこうだ。

    • 1年半ほど前から、女性社員は取材目的で、福田次官と1対1で食事をする関係に。セクハラ発言が相次いだため、自らの身を守るために会話の録音を始めた。
    • 4月4日、女性社員は取材目的で福田次官と会食。この日もセクハラ発言が多数あった。
    • 女性社員は上司に「セクハラの事実を報じるべきではないか」と相談。上司は「放送すると(女性社員)本人が特定され、二次被害が予想されることから、報道は難しい」と答えた。
    • 女性社員はセクハラが黙認され続けてしまうのではという危機感から、週刊新潮に連絡。取材を受け、音声データを提供した。
    • 4月12日、週刊新潮が福田次官のセクハラ発言を報道。
    • 4月16日、財務省は「このようなやりとりをしたことはない」とセクハラを否定する福田次官への聴取結果とともに、被害を受けた女性に「調査への協力」を呼びかける声明を発表
    • テレビ朝日が関係者に聞き取りを始めたところ、16日に女性社員が申し出た。
    • 4月18日夕方、福田次官が辞意を表明。テレビ朝日も急遽会見を開いた。

    「精神的に大きなショック」

    篠田報道局長は、被害者の女性社員及び関係者からの事情聴取を行った結果、福田次官によるセクハラ被害が事実であったと判断したと発表。

    被害を受けた女性社員は、精神的に大きなショックを受けており、社員を傷つける数々の言動があったことに対して、テレビ朝日としても財務省に正式に抗議をする予定だと述べた。

    財務省が呼びかけた調査に関しては、省の顧問弁護士が担当していることなどから、「第三者性に疑問がある」と指摘し、今後慎重に検討を続けると話した。

    「批判は甘んじて受け止める」

    一方、女性社員が上司にセクハラ被害について相談していたにも関わらず、こうした事態に至ったことについては、「適切に対応できなかったことについては、深く反省し、批判を甘んじて受け止めなければならない」と述べた。

    女性社員が音声データを週刊新潮に提供していた点についても、「取材活動で得た情報が第三者に渡ったことは、報道機関として不適切で遺憾だ」と言い、女性社員に対しても反省を促しているという。

    「全ての女性が働きやすい社会に」

    会見の冒頭と終わりでは、被害者保護を第一に考え、被害を受けた女性の職種や氏名、年齢などの個人情報は開示しないと繰り返し述べ、各報道機関にも配慮を求めた。

    福田次官は18日夕方の辞任表明の際にも、「週刊誌の報道は事実と異なっており、裁判で明らかにしたい」と述べている。会見では、こうした次官の姿勢に対する、被害者の女性社員のコメントも読み上げられた。

    「福田氏がハラスメントの事実を認めないまま辞意を表明したことについて、とても残念に思っています」

    「財務省に対しては今後も調査を続け、事実を明らかにすることを望んでいます。全ての女性が働きやすい社会になってほしいと、心から思っています」