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男性、女性、トランスジェンダーであるよりも。サリー楓が「情けない自分」も全て見せる理由

トランスジェンダー女性のサリー楓さんの生活に密着した映画「You Decide. (邦題:息子のままで、女子になる)」が、ロサンゼルス・ダイバーシティ・フィルムフェスティバル(LADFF)で、ベストドキュメンタリー賞を受賞した。

設計事務所で働きながら、トランスジェンダー女性の一人として、LGBTQや多様性に関する講演活動などをしているサリー楓さん。

20歳ごろまで男性として生活し、大学在学中に「女性として生きていく」と決断した彼女が、国際的なビューティーコンテストに挑戦し、家族や自分と向き合う日々に密着したドキュメンタリー「You Decide.(邦題:息子のままで、女子になる)」が、ロサンゼルス・ダイバーシティ・フィルムフェスティバル(LADFF)で、ベストドキュメンタリー賞を受賞した。

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映画では、コンテストに向けて汗を流す場面から、友人たちとのたわいもない時間、2週間に1度のホルモン注射を打つ瞬間や、自分にとっては「息子」であることは変わらないという父親との対面まで、ひりひりするほど等身大な姿が映し出されている。

映画を通じて、「トランスジェンダー」という言葉からイメージされる人物像を超えて「生活者としての自分」や「情けない自分」も見せたかったと語る楓さんに、その思いを聞いた。


20歳ごろまで男性として生活

はじめまして、サリー楓です。

私は京都に生まれて、男の子として育ったんですけれど、20歳頃まで男性として生活して、それから徐々に、トランスジェンダーという言葉を知ってから、性別を変えて生活するようになりました。

完全に女性として生活するようになったのは、約3年前です。

「トランスジェンダーらしさ」を求められる瞬間

トランスジェンダーという風に聞いたときに、なんとなくメディアで見るような、性別を変えるのにかなり苦労されている方だとか、カミングアウトで壮絶な経験をされた方だとか、もしくは極端に美人な方だとか、なんか色んなイメージを持たれている方が多いと思います。

私はトランスジェンダーとして生活を始めて、最初は男らしさみたいなものから逃げてきて、女性の服を着て、メイクをして、会社に行ったり学校に行ったりするようになったんですけれど…

ある時気付いたのが、私に対してトランスジェンダーらしさが求められている瞬間があったり、見た目が女性になればなるほど、今度は女子らしさを求められるようになるということでした。

女性、男性、トランスジェンダーであるよりも

例えば髪を切ることを相談すると、「えっ、男の子に戻っちゃうの?」みたいなことを言われたりして。髪を短くすると女性らしくなくなっちゃうみたいな、そういう別の価値観を押し付けられているのを感じるようになりました。

私は女性であるよりも、男性であるよりも、トランスジェンダーであるよりも、何よりも、自分なので。

自分らしく生きる。そういうことを考えながら生きています。

トランスジェンダーは「意外とそこらへんにいる」

トランスジェンダーはみなさんの生活の中に遍在しているし、どこにでもいる。会社の中にもいるし、クラスの中にもいるし、電車の中にもいる。

勉強が好きな人もいれば、嫌いな人もいるし、寝坊する人もいれば、寝坊しない人もいるし、私みたいに時には成功して、時には失敗して、普通に泣いて、普通に笑って、毎日ご飯食べて、仕事して、意外とそこらへんにいる人です。

トランスジェンダーという括りの中にも、色んな生活をしている方、色んな夢を持っている方がいて、その(言葉やイメージの)裏にある本当の多様さについてみんなが眼差しを向けてくれると、本当の意味でのダイバーシティになるんじゃないかなと思います。

サリー楓 1993年京都生まれ。8歳から建築家を目指し、慶應義塾大学大学院を修了後、日建設計でコンサル業務などを手がける。20歳ごろまで男性として生活していたが、現在は女性として講演活動やモデル活動を行なっている。

映画「You Decide.(邦題:息子のままで、女子になる)」は、8月30日までLADFFのホームページでストリーミング視聴(有料)することができる。

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