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出産費用は軽減する? 選択的夫婦別姓は? 各政党の政策を比べました【参院選】

7月10日に投開票を迎える参院選。選択的夫婦別姓や子育て支援、結婚の自由に関するなどについて、各党の政策や方針を聞きました。

7月10日に投開票日を迎える参院選。

BuzzFeed Newsは、国会に議席を持っている主要9政党を対象に「政策アンケート」を実施しました。

その中で、選択的夫婦別姓や子育て支援、結婚の自由に関する、各政党の回答全文をご紹介します。

  1. 選択的夫婦別姓の法制化に賛成ですか?
  2. 出産費用の負担軽減に向けた政策に取り組みますか?
  3. 0〜2歳を含む「完全幼保無償化」に賛成ですか?
  4. 法律上の性別が同じふたりの結婚(同性婚)を認める法整備に賛成ですか?


各設問で「◯」「X」「△」のいずれかを選択した上で、詳細な方針や選択理由を説明してもらいました。

(政党は参院の公示前議席数順。自公は連立与党のため並べた。回答は全文原文ママ。読みやすさのため誤字の修正や改行、太字化などを編集部で行った)

1. 選択的夫婦別姓の法制化に賛成ですか?

自民党:△

令和3年最高裁大法廷の判決を踏まえつつ、氏を改めることによる不利益に関する国民の声や時代の変化を受け止め、その不利益をさらに解消し、国民一人一人の活躍を推進します。

公明党:◯

わが国では、結婚により改姓するのは95%が女性です。公明党は、希望する夫婦がそれぞれの姓を変えることなく結婚できるよう、選択的夫婦別姓制度の導入を目指しています。

引き続き、各党・各会派と協力して、丁寧に議論を進めていきます。

立憲民主党:◯

個人の尊重と男女の対等な関係の構築の観点から、選択的夫婦別姓制度を早期に実現します。

日本維新の会:◯

戸籍制度及び同一戸籍・同一氏の原則を維持しながら、旧姓使用にも一般的な法的効力を与える制度(維新版選択的夫婦別姓制度)の創設など、結婚後も旧姓を用いて社会経済活動が行える仕組みの構築を目指します。

共産党:◯

世界で夫婦同姓を法律で義務づけている国は日本だけです。国連の女性差別撤廃委員会も、日本政府に対して繰り返し、法律で夫婦同姓を義務付けることは女性差別であり、ただちに改正すべきだと勧告してきました。

96年に法制審議会が選択的夫婦別姓の導入を勧告しましたが、それからすでに25年以上が経っています。

この間、野党は共同で民法改正法案を提出してきました。民法改正を実現し、ただちに選択的夫婦別姓制度を導入します。

子どもの姓については、それぞれの子どもの出生時に定めることにし、子どもが18歳になった時点で本人の申し立てにより変更できるようにします。

国民民主党:◯

国民民主党は、2022年6月8日に「民法の一部を改正する法律案」(選択的夫婦別姓法案)を提出したとおり、選択的夫婦別姓を実現します。多様な家族のあり方を受け入れる社会をめざします。

れいわ新選組:◯

家族のあり方が多様になっている現在、婚姻しても自らの姓を選べることは権利であり、急務だと思います。

この別姓を実現するための法案(民法改正案)についてはれいわ新選組を含めた野党各党で議員立法を提出済みです。

後は頭の固い与党自民党が常識に基づいてこの法案に賛成すればよいだけです。

社会民主党:◯

長年、生活や仕事で使ってきた姓を結婚により、どちらか一方が変更を強制されることは人格権の侵害です。民法を改正し選択的夫婦別姓を早期に実現します。

NHK党:◯

日本の家制度が崩壊して道徳観にも悪影響を及ぼすから反対だと言う意見を耳にすることがありますが、日本の氏制度は江戸時代後期に始まったものであり歴史的には長くありません。

日本人の道徳観はそんなやわなものではないと思います。旧姓でも法的責任を負う夫婦同氏別氏並立制を経て、将来的には選択的夫婦別姓に移行すれば良いと考えます。

2. 出産費用の負担軽減に向けた政策に取り組みますか?

自民党:◯

出産育児一時金の引上げなど、出産育児支援を推し進めます。

公明党:◯

出産育児一時金は、公明党が創設をリードし、現在の42万円まで増額してきました。しかし、出産費用は年々増加傾向にあるため、出産育児一時金(42万円)を増額します。

立憲民主党:◯

出産育児一時金を出産費用の全国平均額まで引き上げ、出産費用を無償化します。

日本維新の会:◯

少子高齢化や人口減少の状況を踏まえ、出産にかかる費用の完全無償化を実現します。

具体的には、「出産育児一時金」ではカバーできない自己負担が子育て世代に生じている現状に鑑み、出産にかかる医療は原則保険適用とし、さらに十分な「出産育児バウチャー(クーポン)」を支給することで、実質的な出産費用の無償化を実現し、産科医療機関の経営を安定させ、出産にかかる医療の安全性と質を担保します。

共産党:◯

出産育児一時金として現在42万円が支給されていますが、実際の出産費用はその額を上回り、多額の負担がかかるのが実態です。

安心して出産できるように、出産育児一時金の大幅な増額、保険適用の検討も含め、出産費用の無償化をすすめます。

合わせて妊婦検診の負担軽減、フィンランドの子育て支援「ネウボラ」のような育児用品を贈る制度の導入などで、妊娠から出産、子育てまでの経済的負担軽減、切れ目のない支援を実現します。

国民民主党:◯

従来の子育て支援策を抜本的に拡充するとともに、非婚化・晩婚化による少子化に及ぼす影響を踏まえ、結婚・出産支援策を強化し、希望する人が安心して出産、子育てができる社会を実現します。

れいわ新撰組:◯

出産費用は無償化にしなければなりません。当然です。すべて国が支援するべきです。

現在の出産育児一時金の額(42万円)で足りているのはたった7%という調査結果もあります。都市部であれば出産費用はもっと掛かる。

東京では62万円、埼玉・宮城でも53万円。50万円でも足りません。「出産費用は自己負担完全ゼロ」が必要です。

令和元年のデータに基づけば、出産費用(室料差額等を除く)の無償化は、当方で試算したところ、自己負担ゼロは機械的な計算では、4000億円強で可能です。

出生率の低下に国が悩んでいるのであれば、そのくらいの費用は国が国債発行で毎年支援すべきです。財務省や財務省言いなりの大新聞は「次の世代に国の借金というツケを残すな」という緊縮財政路線を唱えていますが、全く間違っています。

仮に今積極財政をしなければ、「次の世代に人材投資をしてこなかったツケ」が引き継がれます。人材というのが国にとっての最大の財産です。その人材を育てるためのお金について、財政規律を理由に必要な支出をケチる国こそ滅びます。

社会民主党:◯

現在、正常分娩は出産育児一時金による現金給付がありますが、同一時金が上がれば正常分娩も上がるという問題を抱えています。正常分娩を保険適用(公定価格を定める)し、無償化すべきだと考えます。

NHK党:◯

出産費用の負担軽減のみならず、思い切って実質無償化を検討してみてはどうかと思います。少子化要因が経済的負担であってはならないと思います。

出産育児一時金は42万円とされていますが、不足分は自己負担になります。

NHK党では子供が将来にもたらす国家的恩恵を鑑みて第一子の出産育児一時金を1000万円とすることも正当であると考えています。

3. 0〜2歳を含む「完全幼保無償化」に賛成ですか?

自民党:△

コロナ禍における少子化の加速化や「こども家庭庁」の設置を踏まえ、子供や子育て世代の視点に立って、安定的な財源を確保しつつ、手厚い少子化対策・子育て支援を実現していきます。

公明党:◯

2019年10月から、全ての3~5歳児を対象にした幼児教育無償化が実現しました。引き続き、待機児童対策や、保育の質の向上に取り組みつつ、幼児教育無償化の対象を段階的に拡大します。

立憲民主党:◯

全ての就学前教育・保育の無償化を推進すべきである。政府の幼児教育・保育の無償化では、0~2歳の子どものいる家庭については、住民税非課税世帯だけが無償化の対象であるため、所得制限をなくし、0~2歳の全ての子どもが幼児教育・保育の無償化の対象となることを目指すべきである。

日本維新の会:◯

家庭の経済状況にかかわらず、等しく質の高い教育を受けることができるよう、義務教育の他、幼児教育、高校、大学など、教育の全過程について完全無償化を憲法上の原則として定め、給食の無償化と大学改革を併せて進めながら国に関連法の立法と恒久的な予算措置を義務付けます。

保育についても、負担軽減を進め将来的な無償化を目指す方向性には賛成。

共産党:◯

子育て・教育にお金がかかりすぎることが、若い世代、子育て世代にとって大きな負担となっています。とりわけ0~2歳の保育料は高額で、3歳以上の幼児教育・保育も原則無償とはいえ様々な自己負担があります。

GDP(国内総生産)比でOECD加盟国の平均以下しかない日本の教育、家庭関係予算を抜本的に増やして、0歳からの保育料の負担軽減、無償化をめざします。

また幼稚園、保育園、認定こども園などの施設の職員配置基準等の引上げや処遇改善を進めて、保育教育条件を改善します。

国民民主党:◯

すべての子どもが人生の平等なスタートラインに立つため、0〜2歳の幼児教育・保育無償化の所得制限を撤廃するとともに、義務教育を3歳からとし、高校までの教育を完全無償化します。

れいわ新選組:◯

少子化を国難と考えるならば、子育てにかかる費用負担について、国の財政支出で支援するのは当然です。その際、増税によるのではなく、国債発行で支援していくべきです。

子育ての充実は、日本の次の世代を担う人材の質的な充実につながっていく。経済が成長すれば、国債の安定消化にも心配はいらなくなります。

これまでこの国の政権は「少子化国難論」を唱えながら、財務省の緊縮財政政策に異議を唱えず、財政規律ばかりを追い求めてきました。幼保無償化、出産費用の無償化は当然です。

社会民主党:◯

子育ては社会的に支えることが重要で、「完全幼保無償化」に賛成です。課題は保育・幼児教育の質の確保、向上です。

幼保の市場化を推進する現在の方向では、園児の安全が守られません。保育士・幼稚園教諭の配置基準、施設の面積基準などの引き上げ、あわせて、幼保従事者の待遇改善は急務です。

NHK党:◯

子供を育てる環境整備が出生の促進に繋がると考えます。よって、完全幼保無償化には賛成しますが、危惧することもありません。無償化とはいうもののその額には上限があります。

幼稚園や保育園は無償化のタイミングに合わせて値上げをすることが多くなっており、上限を結局は超えてしまって実質的な無償化には至らないことが多いようです。

一方、幼保もぎりぎりの運営費で疲弊してしまっていることもあり、決して経営者が私腹を肥やしているとは言い切れないようです。政府は再度、上限額の設定を見直すべく調査を進めるべきだと思います。

4. 法律上の性別が同じふたりの結婚(同性婚)を認める法整備に賛成ですか?

自民党:X

「憲法24条は、婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立すると定められており、現行憲法の下では、同性カップルに婚姻の成立を認めることは想定されておりません」というのが政府の立場であり、わが党も同様に考えています。

また、一部自治体が採用した「パートナーシップ制度」について、国民の性的指向・性同一性に対する理解の増進が前提であり、その是非を含めた慎重な検討が必要あるものと考えます。

そのため、わが党においては、性的マイノリティの社会生活上の困難を軽減するため、地域・学校・職場等社会の様々な場面における理解増進を図り、寛容であたたかい社会を築いていきます。

公明党:◯

同性婚については国民的議論を深めるとともに、国による具体的な実態調査を進め、必要な法整備に取り組んでいきます。

立憲民主党:◯

性的指向・性自認(SOGI)にかかわらずすべての人に結婚の自由を保障するため、婚姻平等を実現する民法一部改正案の制定に向け取り組んでいきます。

日本維新の会:◯

同性婚を認め、LGBTQなどの性的少数者が不当な差別をされないための施策を推進します。また、自治体による同性パートナーシップ制度を促進するとともに、同性間に限らず使えるパートナーシップ制度(日本版パクス)の導入を目指します。

共産党:◯

現在の民法や戸籍法で同性婚を認めていないために、同性カップルは相続権や税金の配偶者控除などの法的・経済的な権利が認められていません。

病院で手術の際の同意判断が許されないなどの問題もあり、同性カップルには多くの負担がのしかかっています。

性的指向や、誰と結婚するのかの選択、夫婦・家族のかたちは、個人の尊厳として尊重されなければなりません。同性婚を認めることは、世界の潮流でもあります。

これまでも日本共産党を含む野党3党は、性的指向にかかわらず平等に婚姻が認められる「婚姻の平等」を実現する法案を国会に提出してきました。同性婚を認める法改正の実現に力を尽くします。

国民民主党:◯

世界の31ヶ国と地域で同性婚が認められており、G7で同性間のパートナーシップを保障する法律がないのは日本だけです。

パートナーシップ制度の拡充・法制化の検討や、戸籍変更要件の緩和など、性的指向・性自認(SOGI)に関する課題の解消に向けた法整備を進めます。

れいわ新選組:◯

誰もが自分が選んだ人と結婚できるような制度を作ることは、誰もが自分らしく生きられる社会に繋がります。

れいわ新選組は「婚姻平等法案」の実現に引き続き尽力してまいります。条文はすでに野党各党で共有されています。あとは秋の臨時国会で提出するだけです。

社会民主党:◯

同性婚を法制化し、婚姻の自由を等しく保障すべきです。

NHK党:◯

男女共同参画基本計画において性的指向や性同一性障害を理由として困難な状況に置かれている場合への対応が盛り込まれています。性的マイノリティの人権を保障する取り組みは日本でも広がりつつあります。

しかしながら、憲法第24条で「婚姻が両性の合意のみ」によるとされているために憲法の改正が必要だと思います。

よって、各自治体が取り組んでいるパートナーシップ制度の充実を図るか、養子縁組をするという方法が現実的な対応だと考えます。