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「私たち家族はここにいる」3年9カ月に及ぶ国との裁判。原告たちが闘い続けることを選ぶ理由

法律上の性別が同じふたりの結婚を認めないのは違憲だとして、各地の当事者が国を訴えた裁判で、原告側が12月13日、先月末に下された東京地裁判決(池原桃子裁判長)を不服として、東京高裁に控訴した。

法律上の性別が同じふたりの結婚を認めないのは違憲だとして、各地の当事者が国を訴えた裁判で、原告側が12月13日、先月末に下された東京地裁判決(池原桃子裁判長)を不服として、東京高裁に控訴した。

弁護団は、判決が、今ある婚姻制度とは別の制度を作って、同性カップルに適用する方法もあるとした点について、「(当事者に)『二級市民』のスティグマを与えるものに等しく、個人の尊厳を害している現状を強化するものでしかない」と強く批判した。

実質的な「違憲判決」だけど…

今回控訴された東京地裁判決は、全国5地域の地裁・高裁で続いている「結婚の自由をすべての人に訴訟」のうちの一つ。

2021年3月に札幌地裁が出した「違憲判決」、今年6月の大阪地裁の「合憲判決」に続く3例目で、いずれも原告側が控訴している。

今回の判決は、同性愛者というだけで生涯を通じてパートナーと家族になることができないのは、当事者の「人格的生存に対する重大な脅威、障害であると言える」と認定。

同性パートナーと家族になるための法制度が存在しないことに、合理的な理由があるとも言えず、「憲法に違反している状態」だと認めた実質的な「違憲判決」だ。

しかし、そうした制度をどんな方法で構築するかは、国会に委ねられており、婚姻制度に「類する制度」などを作ることもできると指摘。

「同性カップルを排除している現行の民法や戸籍法自体が違憲だ」と主張した原告側の訴えは、棄却した。

「上級国民と二級国民の線引きが必要なのか」

弁護団の上杉崇子弁護士は、判決が現行の法制度を「憲法に違反している状態」と判断したことは評価した一方、「あたかも『婚姻に類する制度』を構築することでも足りるかのような判示をしたことは、全く受け入れられない」と述べた。

原告の一人の西川麻実さんは「私たちのような同性同士のカップルやそこで育つ子どもたちという家族は、日本の色々なところにすでにいるのにも関わらず、法律上は存在しないことにされています」と語った。

西川さんは、パートナーの小野春さんと3人の子どもたちを育ててきた。ふたりが一緒に暮らし始めたときには保育園に通っていた子も、今は成人している。

「結婚に類する法律でもいいよねということが、判決には書かれていましたが、その理由は理解できません。すでに私たち家族はここにいるんだと声を上げているのだから、その声を真摯に受け止めて、法律上に位置付けてほしいです」

同じく原告の廣橋正さんとパートナーのかつさんも、書面でコメントを寄せた。

ふたりは昨年10月の本人尋問で、国側と原告側の双方からパートナーシップ制度について問われ、「男女カップルならできる婚姻と平等ではないということで、利用したいとは思っていません」「もしその制度を手にしてしまったら、私は自分のことを『二級市民』のように感じてしまうと思います」と語っていた。

コメントでは「パートナーシップ制度などの『結婚に準ずる制度』では差別がなくならないことを、本人尋問でも何度かお話ししてきましたが、全く届いていなかったのかと愕然としました」と綴り、こう続けた。

「結婚に準ずる制度という選択肢はありません。この国には、『上級国民』と『二級国民』の線引きが必要なのでしょうか? 結婚以外の制度で誤魔化そうとすることは、今の社会にある差別意識を強めることに他なりません」と強く批判した。