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結婚できなくても、パートナーシップ制度があれば十分? 国の質問に原告「欲しいのは同じ権利です」

10月11日に東京地裁で行われた同性婚訴訟(東京第1次)の本人尋問で、国側からは「同性パートナーシップ制度」などに絡んだ質問が相次いだ。

法律上の性別が同じふたりの結婚を認めないのは「憲法に反する」として、日本各地の当事者が国を訴えた「結婚の自由をすべての人に」訴訟。

東京地裁(池原桃子裁判長)で10月11日、第1次訴訟の山場とも言える証人尋問が行われ、原告7人と原告の親族1人が、法廷で自らの経験や思いを証言した。

国側からは、原告に対して、自治体が同性カップルの関係を公的に認める「同性パートナーシップ制度」などに絡んだ質問が相次いだ。

パートナシップ制度があれば十分?

同性パートナーシップ制度」は2015年に渋谷区と世田谷区で初めて導入され、これまでに100以上の自治体で実施、人口の4割程度がカバーされているとされる。

制度の内容は自治体によって差があるものの、子どもの親権や相続などにも関わる「結婚」とは異なり、法的な効力はない。

原告の小野春さんは、原告側代理人との尋問で、乳がんを患った際に病院がパートナーを「家族」と認めてくれるか不安を感じたこと、様々な下準備をして治療に臨まならなければならなかった経験などを話した。

これに対して国側からは、「準備をしなければならなかったとのことだが、治療していく中で、具体的に何か困ったり不備があったりしたのか」「準備した中でこれが役に立ったから大丈夫だったというのはあるのか。例えば(パートナーシップ制度の)宣誓書があったから」といった質問があった。

こうした国側の質問には、同性婚が認められていなくても、パートナーシップ制度があれば十分、不利益は解消されるのではないかという主張が見え隠れすると、弁護団は指摘する。

小野さんのパートナーの西川麻実さんに対しても、ふたりは「世田谷区でパートナーシップ制度を利用しているが、別の区に転居しようと思ったけど、パートナーシップ制度がないから控えたという経験はあるのか」という質問が投げかけられた。

西川さんは「子どもたちが大きくなって家が手狭になり、ちょっと広い家に引っ越そうかという話は出たことがあるが、パートナーシップ制度がない地域は不安だし、今のままでいいのではということになった」と答えた。

「欲しいのは男女と同じ権利であり選択肢」

原告のかつさんはパートナーのただしさんと、パートナーシップ制度のある渋谷区で一緒に暮らした経験がある。いまはふたりで、別の自治体に住んでいる。

しかし、国側からパートナーシップ制度の利用について質問され、かつさんは「男女カップルならできる婚姻と平等ではないということで、利用したいとは思っていません」と答えた。

ただしさんも、原告側代理人からパートナーシップ制度について問われ、「男女のできる結婚とは全く違うもの」「自治体でのお守りようなもので全く効果がない」と言い、利用する予定はないと答えた。

さらに、婚姻と同じ法的効果を得られる別の制度があったら、それを利用したいかという問いにも「利用しない」と答えた。

「私たちが欲しいのは男女カップルと同じ権利であり選択肢。それと違うものは欲しくありません」

「もしその制度を手にしてしまったら、私は自分のことを『二級市民』のように感じてしまうと思います」と厳しい口調で語った。国側からただしさんへの質問はなかった。