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「アベノミクスで格差が広がったのは事実」 安倍氏銃撃事件から一日。立憲民主党が最後の演説で訴えたこと

7月10日に投開票日を迎える参院選。選挙戦最終日の9日、野党第一党をかけて闘う立憲民主党の泉健太代表は、何を訴えたのか。

7月10日に投開票日を迎える参院選。選挙戦最終日の9日、野党第一党をかけて闘う立憲民主党の泉健太代表は、JR川崎駅前で「マイク納め」をした。

安倍晋三元首相が銃撃された事件から一日。演台に立った泉氏は「政治家として逃げ隠れてしまっては、日本がおかしくなる。民主主義を絶対に消してはならない」と力を込めた。

一方で、「アベノミクスの元で、経済格差が広がったことも事実」だと言い、自民党の政策は「国家や権力者目線」だと批判。

「立憲民主党は生活者目線の政治を進めていく」「もう一度、政権を目指して歩みを進めていきたい」と訴えた。

「我々も立ち止まりました」

9日午後7時から始まった立憲民主党、今選挙最後の演説会。JR川崎駅前の会場では、演台の周囲が三角コーンやバーで囲われ、背広姿のSPと見られる警護員が、通行人や聴衆に目を光らせていた。

19:00から立憲民主党の泉健太代表が、最後の応援演説を行うJR川崎駅へ取材に来ました。 演台の周囲3mくらいは三角コーンなどで仕切られ、その前でSPなどが行き交う通行人や聴衆に目を光らせています。

Twitter: @ciaolivia

演台の周辺には「暴力には屈しない。民主主義を止めるな!」と書かれたプラカードも掲げられていた。

泉代表とともに、神奈川選挙区の候補者の応援に駆けつけた逢坂誠二代表代行は、演説の冒頭で「信じられないことが起きてしまいました」と、安倍氏銃撃事件後の葛藤を語った。

「私は初めて聞いた時に、体中の力が抜ける思いでありました。どんなことがあったとしても、暴力に訴えて、自分の思いを遂げようなどということは、絶対にあってはなりません。あの蛮行に対して、強く強く抗議をさせていただきます」

事件を受けて立憲民主党は8日、党幹部による全国各地での演説会を、一時中止していた。

逢坂氏は「我々も昨日、一旦立ち止まりました。しかし、こういう時だからこそ、言論の自由を確実なものにしければならない」と語った。

「主権者の皆さんが政治に対して物を申すことのできる選挙の機会を、着実にやる必要がある。その判断に至って、我々はここに立っています」

「自民党は国家や権力者目線」

泉氏も、1カ月前に安倍氏が銃撃された同じ場所で演説をしたことに触れ、「他人事ではない。本当に悔しいし、絶対に許せない。政治家として逃げ隠れてしまっては、日本がおかしくなる。民主主義を絶対に消してはならない」と力を込めた。

一方で、安倍氏が在任中に推進した「アベノミクス」によって、「経済格差が広がり、1人あたりのGDPが大きく落ち込んでしまったことも事実」と指摘。

「この参院選で、岸田政権にこの経済政策を転換させる大きな流れを作らなければならないと思いますが、皆さんどうでしょうか?」と問いかけた。

自民党は「国家や権力者目線」

「我々は真剣に、改めて、もう一度政権を目指して歩みを進めていきたい」。そう語った泉氏が挙げた、自民党と立憲民主党の違いは「目線の高さ」だ。

「自民党はやはり国家目線であり、権力者目線」。新型コロナウイルスで入院拒否した患者に刑事罰を科すことを検討していたことを批判し、「とにかく彼らは上から法律で縛って、命令をして聞かせようとする。そういう体質を持っている」と非難した。

さらに、経済政策においても、日本銀行の黒田東彦総裁が、「円安は全体として(日本経済にとって)プラス」と発言したことを挙げ、「その発言だけで政府の視線は明確になった。円安対策も物価高対策もやらないということ。全くもって皆さんの生活に対応する政策を打っていない」と批判。

「経済においても、家計においても、教育においても、社会保障においても、安全保障においても、徹頭徹尾、生活目線で、政治を担わせていただけないでしょうか?」と、集まった聴衆に訴えかけた。