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2ちゃんねる創設者ひろゆき「人生最大の挫折」と結婚決めた「サイゼの夜明け」

平成インターネット史のキーパーソン、西村博之の奇天烈インタビュー後編

2ちゃんねる創設者、西村博之の「人生最大の挫折」って何?

「結婚したいとか思わない」と言っていたのに、なぜ結婚したの?

パリ移住を決断した理由は?

自分は自分、バカはバカ。』『このままだと、日本に未来はないよね。』など相次いで著書を上梓するひろゆきが、直撃インタビューにすべてを語った。

結婚どうでもいい派

深田志穂

――2014年にご結婚されました。かつて堀江貴文さんとの対談では「結婚したいとか思わない」とおっしゃっていましたが。

「結婚をするのがすごくイヤ派」の人もいますけど、僕は「結婚どうでもいい派」なんですよ。

ラトビアのビザをとる時に、彼女のビザが結婚してないと出ないんですね。じゃあ結婚しよう、となって。

どうでもいいがゆえに結婚しなかったけど、どうでもいいがゆえに必要があればするっていう。思い入れがそんなにないんです。

サイゼリヤ、からのプロポーズ

時事通信

――プロポーズに至る流れが知りたいです。

朝5時まで友達とサイゼリヤでしゃべっていて…。その日がちょうど彼女の誕生日だったんですよ。

結婚記念日と誕生日を一緒にしておけば、「結婚記念日忘れた」問題でモメるのを回避できることに気がついて、あ、いまだと。家に帰ったら起きてたので「結婚しよう」って。

その日のうちにバタバタと調べて、北区に行って結婚の証明書を取りました。

――理由が合理的すぎる。結婚して変わったことはありますか?

もともと7年ぐらい同棲して結婚したんで、生活はほぼ変わってないですね。彼女の方は名前が変わるとかで書類の手続きが大変だったみたいですけど。

フランス移住の理由

Rclassenlayouts / Getty Images

――2015年には生活の拠点をフランスに移しています。

日本の仕事をそんなにしなくてよくなったんで、じゃあどこかに行こうかなと。それで、彼女が選んだのがフランスだったんです。

――過去の著書から最近のものまで読み比べてみると、結婚やフランス移住を経て、少し丸くなったのかな?とも思ったのですが。

たぶん、ライターさんの文体ですね。若くて尖ったIT系で売るのか、もうちょっとマイルドな方がいいのかっていう、編集さんの意図じゃないかなと。

僕自身は全然、変わってないと思うんで。まあ、ほかの人から見たら、変わったと言われるのかもしれないですけど。

人生最大の挫折は…

深田志穂

――ひろゆきさんの人生で、挫折や絶望した経験ってあるのでしょうか。

基本的にほかの人ができることは自分も大体できる、と思ってたんです。だけど、大学生の時に友達がビール瓶を歯で開けるのを真似したら歯が欠けて(笑)

できないことがあるんだっていうので、すごいショックを受けたことがありますけど。

――それが最大の挫折(笑)

不可逆なことだと、落ち込むんだと思います。歯が欠けるって不可逆じゃないですか。

ただのケガだったら、ほっときゃ治る。でも歯は欠けたら治らない。だからデカイんです。

騙すより騙される方が楽

深田志穂

――2ちゃんねるの管理権限をめぐるトラブルもありましたが、怒りや憤りはないですか。

タイムマシンに乗って過去に戻ったとしても、同じ判断をして、同じあやまちを犯すんだろうなと。たぶん変わらないんじゃないですかね。騙すよりは騙される方が人生楽なんで。

――「騙される方が楽」っていうのはすごい境地ですね。普通は騙されたくない、損したくないと考えるものですが。

たとえば、「年金を一生懸命払いました。返ってきませんでした」って、どうしようもないじゃないですか。

「明日の遠足がすごい楽しみ。でも雨降って行けない」これもどうしようもない。

そういう「どうしようもない」枠に入れちゃうんですね。過去は変えられないので。

令和ニッポンのインターネット

深田志穂

――令和時代に、日本のインターネットはどうなっていくと思いますか。

IT系のサービスは、ほとんどアメリカの会社か中国の会社にやられるんじゃないですかね。ウェブメールのサービスをいちからつくっても、Googleには絶対勝てないですから。

ビジネスでは、お金を持っている相手や、法律を守らなくてもいい相手には絶対に勝てない。

インターネットをブロック化して、海外の会社が日本に入ってこられないようにする方が、まだマシかもしれないです。

――インターネット鎖国。

まあ、無理でしょうけど。あ、AVとかアダルト系は伸びると思いますよ。

ベーシックインカムは「思考実験」

深田志穂

――ひろゆきさんは42歳で就職氷河期世代、ロストジェネレーションのど真ん中です。全国民に無条件で定額を支給する「ベーシックインカム」を提唱しているのは、世代的な問題意識もあるのですか?

思考実験ですね。日本がどうなる、みたいな話って僕にとってはどうでもいいこと。

人に聞かれるから、「このパズルだったら、こうしたら解けるんじゃないの?」って考えるだけで。

――過去には「最大多数の最大幸福」という言葉も使っていますが、別にみんなの幸せを祈っているわけではなく…。

社会システムとして成立させるというパズルであれば、最大多数の最大幸福が必要じゃないですか。

一人だけ幸せになればいいなら独裁政権でもいいんですけど、そういう話でもないんで。満たさなければいけない条件のひとつではあるのかなと。

こういう仕組みを入れたほうがまだ保つんじゃないの?っていう話です。

日本はオワコン?

深田志穂

――日本は「オワコン」だとも主張されています。

「日本は大丈夫」って言っている人、ちょこちょこいるじゃないですか。どういう理由で大丈夫なのか、論理的な答えを知りたい。反論を知りたくて言ってるところもありますね。

――終身雇用が崩壊して、寄る辺なく生きている人も多い気がします。

ほかの国だと、だいたい宗教だったり、村だったり、コミュニティーの掟だったりを信じることで「寄る辺」をつくってるんですけど、日本ってそれを捨てちゃったんですよね。

そう言う意味では、すごく稀有な国。かつては経済力を寄る辺にしていたのに、「世の中カネじゃないんだ」「金儲けは正しいことじゃない」と経済力を捨て始めているのが不思議です。

で、みんな「お金ないよね」って言ってる。そりゃないだろうね、っていう。

スペインのように

深田志穂

――す、救いがない…。

お金が稼げて、いまの生活が維持できることを「幸せ」と考えるとキツイ。

でもご飯はおいしいし、夜中に1人で歩いても大丈夫なぐらい治安もいいんだから、そっちに目を向けてダラダラ生きる分には、そんなに問題ないんじゃないかなと。

いま日本の平均寿命は世界一ですけど、2040年にはスペインが1位になると予測されています。

スペインって経済的には全然ダメだし、失業率も高いんですけど、寿命は伸びてて、楽しく暮らしている。それでいいんじゃね?っていう。

――「夢よもう一度」はあり得ない。身の程をわきまえて分相応に生きよ、ということでしょうか。

全体が夢を持つのは無理ですけど、たとえばネット経由で他の国の仕事を受けて働けば、その国の給料がもらえますよね。日本の価値が下がって家賃や食費が下がると、安い生活コストで相対的に高い賃金が得られる。

ちゃんとやってる人なら稼ぎようはあるので、ネットさえつながれば、そこまで困ったことにはならない気がします。

深田志穂

〈編集後記〉

ひろゆきの言葉には救いがない。遠慮もなければ、身もふたもない。ないない尽くしだ。

けれど、そこには透徹した観察眼と、混沌とした現実を読み解く怜悧なロジックがある。

やれ平成最後だ、やれ新時代の幕開けだとから騒ぎに興じる世間に、高圧放水車で大量の冷や水を浴びせかけるかのようだ。

ともすれば不遜と言われかねない上から目線の発言は、真摯なシニシズムの裏返しでもある。

自分以外の誰かに救いを求めているうちは、救われることなどありえない。

絶望することから逃げたまま、希望を語ろうだなんておこがましいんじゃないか?

ひろゆきへのインタビューを通じて、そんなことを自問自答させられた。

深田志穂

〈西村博之〉 1976年、神奈川生まれ。生後間もなく東京へ移る。都立北園高校を経て、中央大学に進学。1999年、米国留学中に匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人となる。2005年、ニワンゴの取締役管理人に就任し、翌年に「ニコニコ動画」を開始。2009年、2ちゃんねるの譲渡を発表。2015年には、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。近著に『自分は自分、バカはバカ。』『論破力』『無敵の思考』など。


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※この記事は、Yahoo! JAPAN限定先行配信記事を再編集したものです。

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