史上初、真っ白な表紙の「ヴォーグ」イタリア版が発売。白紙の理由とは

    新型コロナウイルスが猛威を振るうイタリアで、ファッション誌「VOGUE(ヴォーグ)」の4月号が発売される。様々な意味を持ち、医療従事者を象徴する白衣の色でもあるという理由から、真っ白な表紙が採用された。

    有名ファッション誌「VOGUE(ヴォーグ)」イタリア版の4月号が、現地時間4月10日に発売される。

    新型コロナウイルスの混乱を受け、同誌の歴史で初めて、写真やイラストなどを使用しない「真っ白な表紙」が採用された。

    なぜ、白紙?

    「VOGUE ITALIA」の文字も、白いデザインになっている。

    元々4月号は、メンズファッション誌「L’Uomo Vogue(ルオモ・ヴォーグ)」と共同で、「双子のように」似せた表紙にする企画だった。

    当初の予定から一点、今回白紙を採用した理由についてヴォーグイタリアは公式インスタグラムにこう記している。

    「ヴォーグ史上初めて真っ白な表紙を採用したのは、写真を撮影できなかったからではありません。その反対です。なぜなら白は、同時に多くのことを意味しているからです」

    「まず第一に、白は尊敬を表します。白は再生であり、暗闇のあとの光であり、すべての色を混ぜた色でもあります」

    「そして白は、私たちの命を救うため自らの命をかけて戦っている人々が身につけている服の色です」

    「白は、考えるための空間と時間、そして沈黙するための時間を表しています」

    「白は、この空っぽな時間と空間を、アイデア、考え、物語、詩、音楽、そして他者への思いやりで満たしている人々のためのものです」

    「何より、白は降伏の色ではありません。これから始まる新しい物語が書きこまれるのを待ち望んでいる、白紙のタイトルページなのです」

    「決してよそ見はしない」

    表紙企画を担当した同誌のクリエイティブ・ディレクター、フェルディナンド・ヴェルデリ氏はホームページでコメントを発表。今の時代における白表紙は「言葉やイラスト以上の意味を持つ」と語った。

    編集長のエマニュエレ・ファルネティ氏は、戦争やテロ、災害など様々な危機を乗り越えた同誌の100年以上にわたる歴史を振り返り、「危機を迎えるたびに決してよそ見をしなかったこと」を誇りに思うとコメントした。

    「人々が死に、医師や看護師が命を懸け、この先の世界を全く変えてしまう状況の中で、それ以外のことを語るのはイタリア版『ヴォーグ』の真髄ではありません」

    今回の白表紙の他にも、ヴォーグイタリアは1964年から現在までの全号を3カ月の期限つきで無料でデジタル公開するなどの取り組みを行っている。

    感染拡大予防のため外出を自粛する人々から、感謝の声が届けられていた。

    新型コロナウイルスが猛威を振るうイタリア国内では、感染症による死者が1万7000人を超えた。

    さらなる感染拡大を防ぐため、3月10日から全土で厳しいロックダウン(都市封鎖)が続いている。