薬物の過剰摂取で女子高生2人が死亡。卒業式の1時間前に発見

    アメリカ・テネシー州の高校で、女子生徒2人が死亡しているのが発見され、別の女子生徒1人が病院に搬送された。いずれもフェンタニルの過剰摂取によるものと見られている。

    アメリカ・テネシー州、ファイエット郡にある高校で5月16日、女子生徒2人が死亡しているのが発見され、別の女子生徒1人が病院に搬送された。いずれも薬物の過剰摂取によるものとみられる。地元当局が発表した。

    同州のテレビ局WREGによると、3人が発見されたのは午後4時40分ごろ、卒業式が始まる1時間前だったという。

    搬送された女子生徒(17)は重症だったが、その後容体は安定し退院した。地元当局は女子生徒を、規制薬物の所持と第2級殺人の2つの罪で少年犯罪として起訴している。

    地区検事のマーク・デイビッドソン氏によると、女子生徒2人の死に容疑者とフェンタニルが関与した疑いがあるという。容疑者の自宅からも、フェンタニルが発見された。2人の詳しい死因は検視官が特定中だ。

    フェンタニルは、アメリカで医療用の鎮痛薬、麻酔として承認されているが、近年はメキシコの麻薬カルテルなどが危険量のフェンタニルを含む薬物を違法に製造し、特に若者の間で広がりつつあると問題になっている。

    デイビッドソン氏は、今回の事件を「悲劇」「ひどい話」だと述べた。

    「私たちが国民に伝えてきたフェンタニルの危険性、致死性、そしてそれがどれほど蔓延しているかを、残念なことにこの事件は表している。覚醒剤やコカイン、他の錠剤だと思って買っても、それがフェンタニルを含んでいる可能性がある。あなたの命を奪うかもしれない」

    アメリカ疾病予防管理センター(CDC)の報告によると、フェンタニルが関わる過剰摂取による10代の月間死亡者数は、2019年から2021年の同時期(7月〜12月)で182%増加したという。

    2019年7月から2021年12月までの2年半で、2200人以上の10代の若者が致命的な過剰摂取に陥り、フェンタニルが関与していた件数は全体の84%にのぼる。