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「いっぱい迷っていい」「ジタバタして」20歳の自分におくる言葉

埼玉県川越市で行われたLGBTQイベント「SAITAMA RAINBOW PRIDE」に参加した3人。過去の自分に向けて、メッセージをおくりました。

3月6日、LGBTQイベント「SAITAMA RAINBOW PRIDE 2021」が行われました。

新型コロナウイルスの影響により、今年はYouTubeで企画映像やトークセッションなどを配信するオンライン開催となりました。

「成りたい人になる」をテーマにした今回のプライド。企画のひとつ「20歳の私へ」では、参加者3人が過去の自分に向けてメッセージを伝えました。

その内容を一部、ご紹介します。


1. 「お久しぶりです。49歳になった私から君へお手紙を書きます」

「あなたは母に仕立ててもらったスーツを着て、成人式に出ましたね。そしてその翌春には、母親にカミングアウトすることになりますよ」

「始めは理解してもらうまでに、なかなか時間がかかります。覚悟するように」

「ゲイであることで、親子の縁を切られたり勘当されたりした友人がたくさんいる」

「そう勇気を振り絞って言った君に、彼女はこう答えます」

「あら、親子の縁を切るなんてそんなの親の身勝手よ。大丈夫」

「そしてビッグニュースがあります。君はその時のパートナーと、20数年後アメリカで結婚しますよ」

「残念ながら母は、君から見たら29年後、私からしたら1カ月前に天国へと旅立つことになります。亡くなる前、彼女は『本当に幸せな家族』だとよく言っていました」

「迷わず、いや、いっぱい迷ってもいいので、君の心が目指す先をよく見据えて前に進んでください。成人、おめでとう」


2. 「40年以上前の自分へ」

「自分の性的指向が少数派なのを、悪い事だとは思ったことはなく、しかし世の中とどう折り合いをつけるか、良い人と縁があるか、全くメドはなく、そのうち何とかなるかな、と思いながら不安でしたね」

「世間や親への見せかけで偽ることはしないと決めていたのは、今も正しかったと思います」

「『LGBTも堂々と生きられる欧米なら何でもうまく行く』との偏見は行き過ぎだったけど、30代に『自分らしく2人で堂々と生きられるところ』を求めてニュージーランドに渡ったのは、今考えても妥当でした」

「パートナーと2人で、始めからカップルとして自然に生きられて、両方の家族にも納得してもらえたのは、本当にありがたかった」

「残念なのは、2人の間を法律がサポートしてくれるのは、今でもニュージーランドのほうだけなこと」

「日本でも同性婚を法制化してくれないと、老後を2人で、日本で暮らすのが色々困難です。その理由だけでニュージーランドしか選べないとしたら、残念」

「国会議員の皆さん、なんとかよろしくお願いします」


3. 「セクシュアリティという言葉すら知らず、ただ『自分』を知りたくて、心理学の勉強をしているあなた」

「あなたの心は、まだ当分忙しいと思います。けれどそのジタバタの全てが、あなたのこれからをつくってくれるから大丈夫」

「一生、言えないと思っていた母親にバレちゃって、カムアウトすることになったり…」

「いろいろあった結果、家族みんなの理解があります」

「20歳のあなたには想像もつかない未来を私が手にしているのは、あなたのジタバタのおかげ」

「だからこれからも、思う存分、ジタバタしちゃってください。26年後、あなたがこの場所に立つのを、楽しみに待っています」

「私も、5年後10年後、もっと幸せであるように、この社会の大きな変化も期待しながら頑張ります」

「あなたはあなたのままで、私は私のままで」

「お互いに、たくさんのご縁をすべて楽しんでいきましょう!」

「以上、20歳の私へ。46歳のあなたからでした」


※読みやすさのため、メッセージ内容は一部編集してあります。