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環境、ジェンダー、動物権利。オスカー受賞したホアキン・フェニックスが会場に訴えたこと

『ジョーカー』で主演したホアキン・フェニックスが、アカデミー賞主演男優賞に輝いた。受賞スピーチでは、地球規模で起きている環境問題や社会問題について強く訴えた後、涙ぐみながら兄の言葉を借りて締めくくった。

映画界最大の式典、アカデミー賞授賞式が2月9日(現地時間)に開催された。

主演男優賞には、『ジョーカー』で主役のアーサー・フレック(ジョーカー)を演じたホアキン・フェニックスが輝いた。

「自分が他の候補者よりも高く評価されているとは思いません。なぜなら、私たちは同じように映画を愛していて、この表現方法が私に最も素晴らしい人生を与えてくれたからです」と、ホアキン・フェニックスは壇上でオスカー像を手に語った。

自分は特別ではないと言いながらも、今回の受賞は「声なき者のために声を上げることができる機会」だと、世界が抱える様々な問題について会場に強く訴えた。

「私たちが直面している、いくつかの悲惨な問題について、最近よく考えています。それぞれ異なる原因があると思ったり、もしくは思わされたりしがちですが、私には共通点が見えるのです」

「ジェンダーや人種の問題、クィアの権利、先住民の権利、動物の権利にしろ、全ては『不正』への対抗です。1つの国、1つの人種、1つのジェンダー、1つの生き物だけが責任無く他を支配し、制御し、利用し、悪用するものだという信念への抵抗なのです」

そして、人間の「自己中心的な世界観」を嘆きながらも、望みはあると静かに話した。

「私たちは自然界に入り込んで、その資源を略奪しています。牛を人工授精させて、子牛を盗みます。母牛の苦悶の叫びは紛れもなく聞こえるのに。その母牛が本当は子牛にあげるはずだったミルクを、コーヒーに入れたりシリアルにかけたりしているのです」

「しかし人間の本領はとても独創的で、クリエイティブで、創意工夫に富んでいます。そして、愛と思いやりが行動の指針になっています」。そう言うと、会場からは歓声と拍手が湧き上がった。

地球規模の問題から一転、少し間を空けて自身の人生を振り返った。

「私は自分勝手な人間でした。関わりにくい、非情な面もありました。ここにいる多くの人が、私に第二のチャンスをくれたことに、感謝しています」

「私たちが最善の状態にあるのは、互いを支え合う時です。過去の過ちのために互いを打ち消し合う時ではなく、成長のために互いに手を取り合う時、互いを教え合う時、互いを贖罪へと導き合う時です」

ホアキン・フェニックスの兄で俳優のリヴァー・フェニックスは、23歳という若さで他界した。彼の言葉を借りて、涙ぐみながらスピーチを締めくくった。

「愛を持って救済に向かえば、やがて平和が訪れます」