会社から解雇通告を受ける一部始終を録画したTikTokの投稿が拡散され、賛否が分かれている。
投稿者のブリタニー・ピーチさんは、アメリカの大手エンジニアリング企業に勤めていた。同僚が次々と解雇されるなか、自身にも人事と見知らぬ部長とのオンラインミーティングが設定され、カメラを回した。
「クビになる瞬間」と書かれた場面から始まる動画では、約9分にわたり、ブリタニーさんと会社側との会話がおさめられている。
ブリタニーさんは「私は自分のために立ち上がりたかった。だって、これ以上何を失うっていうの?」と記した。
人事が「2023年の業績評価を終えましたが、残念ながらあなたは会社が期待している目標を達成していません」と伝えると、ブリタニーさんが「ちょっといいですか」と会話を止め、経緯を説明する。
ブリタニーさんは、昨年8月25日に入社。3カ月の研修期間と、クリスマスなどの大型連休を2回挟み、2024年を迎えた。一般的に、一人前の社員として活躍するには十分な時間を経ていないにもかかわらず、チームで最も活躍し、クライアントとの関係も良好で、マネージャーから高い評価を得ていると主張した。
「だから、私のパフォーマンスが期待に応えられていないというのには、同意できません」
ブリタニーさんは加えて、ミーティングに直属のマネージャーなど「自分が知っている人が1人もいない」ことを指摘した。
「私のマネージャーではなく、なぜあなたたちが解雇通告をするのですか? 私たちは一度も会ったことがないので、少し奇妙に感じます。それに、マネージャーはこの会話が行われていることを知りません」
ブリタニーさんは「納得できる説明」を求めた。
会社側の1人は、解雇の理由は「全体的な調整」の目的が強く、「何か具体的な基準となる目標数値には言及しない」と返した。ブリタニーさんはさらに反論する。
「なぜブリタニー・ピーチ個人が解雇されるのか、答えと説明が私には本当に必要です。なぜ会社が多くの人を雇うことにして、今になってその余裕がないことに気づき解雇するのか、ということが聞きたいわけではありません。でもそれが本当の答えなら、でたらめなことを言うより、はっきりそう言ってほしいです」
会社側は「気持ちは十分理解できる」「意見を尊重したい」としながらも、具体的な理由やデータをすぐには開示できないため「後からフォローアップさせてほしい」と話した。
「あなたたちは、毎10〜15分ごとにこうして話している相手のことや仕事内容を、そもそも知っているんですか?」と、ブリタニーさんは終始、会社側が具体的な解雇理由を説明しないことに納得できない様子だ。
結局、ブリタニーさんの解雇が覆ることはなく、会社側からの説明もないままミーティングは終わったようだ。
合わせて1万件近いコメントが寄せられており、その内容は賛否両論だ。
ブリタニーさんの対応を「冷静」で「勇気ある」と称賛し、会社の処遇を批判する人がいる一方で、無断で内部情報をSNSに投稿するのは、社会人としてふさわしい対応ではないという意見もある。
💬「私も人事をやっている者です。あなたが自分の意見を言ったのは、すばらしいと思います。会社はもっと違った対応ができたはず」
💬「誇りに思うよ!業績不振を理由に解雇しておいて、評価指標を挙げられないなんて、バカげている」
💬「指摘はもっともですが、これをネットにアップするのはキャリアとしていかがなものか......」
💬「知らない人事を相手に怒りをぶつけるのは、少し違うかも」
💬「悲しいことに、これがレイオフの実態です」
その後Xの投稿に返信するかたちで、会社のCEOが声明を発表した。
「私たちは、1500人以上の営業担当者のうち40人を解雇しました。これは通常通りの四半期の数字です」
「悲しいことに、私たちの雇用システムは完璧ではありませんが、完璧になるよう努めています。このケースは、明らかに完璧とは程遠い。動画は痛々しかった。管理職は、(レイオフに)常に関与すべきです。人事ももちろんそうですが、人事に完全に任せるべきではありません」
「今回の過ちは、私たちが親切で人道的でなかった点にあります。今後、改善に注力します」