善意のせいで傷つけられている人へ。不安症を抱える息子と歩む、お母さんの言葉。

    子供が病気になると、とにかく母親のせいにしたがる人たちが多いーー。現在小学生の息子さんが不安症を抱え、精神科に通院している親子がいます。今まで周囲から投げかけられてきた善意とは。

    根拠のない健康アドバイスを困っている人へ勧めること、やめてみませんか。

    「サーモンは食べちゃダメ」「野菜を食べれば鬱が治る」「病気には石が効く」。

    根拠のない健康アドバイスを各所から勧められ、頭を抱えていたお母さんがいます。

    そこでTwitterに投稿されたのは「人が弱ると本当にいろんな人がいろんなことを言ってくるよねって話」と添えらた、8枚の漫画です。

    作者でお母さんの名前は花森はなさん。

    小学生の息子さんは現在、不安症を抱え、精神科に通院しています。

    これまで親子に投げかけられた、善意ゆえの言葉とはどんなものだったのでしょうか。

    人が弱ると、善意で余計なことを投げかけてくる人はどこにでもいる。特に義母からのアドバイスは強烈だった。

    根拠のない情報を善意で勧め、そしてお断りした数日後には。

    直接、本人にサーモンを食べないように指摘。パートナーから話してもらい、一件落着したかと思いきや、次なる善意は。

    根拠のない情報を信用することはできない。義母だけでなく、整骨院でも。

    野菜をちゃんと食べたら治る!と断言。野菜を食べさせるのはお母さんの仕事という主張まで。

    整骨院の先生は花森さんについて、「周りの声が全然聞こえていない」と言っていたという。

    周囲の声は聞こえすぎてるくらいに聞いている。今改めて思うことは「聞かなくてもよかった」。

    治療方針に口出ししてくる人からの声は善意だったとしても聞かなくていい。自分に必要な言葉だけを抱きしめていきたい。

    花森さんはTwitterpixivに「息子が学校に行けなくなった理由」という漫画を掲載しています。今回どうして投稿したのかというと。

    前から「義母にこういうことを言われた」「先生にこういうことを言われた」という内容のことをTwitterでつぶやいていたと話します。

    「たまたまTLで民間療法をオススメしたりされたりして困っているようなツイートを見かけたので、思い立ってまとめてみました」

    「描いている途中でたまたまレタスクラブさんの『毒メシ』の記事が話題になり、このような考えをする人は思いの外いるのかもしれないと思い、頑張って急いで書き上げました」

    今、善意から出る言葉に傷つけられている方がいたら、「気にしなくていい」「聞かなくていい」。それだけを伝えたかったと話します。

    「『自分もそうなっているかもしれない。気をつけたい』とお言葉をいくつかいただきました。そういった気づきになれたのでしたら嬉しいですし、私もそうならないようにしたいです」

    義母さんや整骨院の先生などから「サーモンが悪い」「野菜を食べたほうがいい」などの他にこんなことも投げかけられたといいます。

    「家庭でもできるマッサージを教えていただいたので、やっていましたが、困ったのは『石』ですね…」

    整骨院の診療後に先生がわざわざ自宅まで来て、「これを大事にしてお祈りしておくといいよ」と白いつるつるの石を渡してくれたといいますが、「正直怖かった」と語ります。

    義母さんは最初、精神科に通うことに対して、かなりの難色を示していたのだといいます。

    「子供の投薬もかなり否定的でした。将来子供ができなくなったらどうするの、あなたは息子くんの将来を真剣に考えているのかと頻繁に私を叱りました」

    他にも、神社へのお参りや、ベタな運動を勧められたのだと語ります。

    「外出も無理にさせるとパニックになるので本人の調子を見て、本人が行きたければ行く、というようにしていました。しかし義母的には足りなかったようで『公園に連れていってあげないからだ。子供たちがかわいそうだ』とよく言いました」

    家族の病気に対して根拠のない健康アドバイスをする、外野の人たちについてこのように話します。

    「整骨院や歯医者の先生に色々言われた時は、頭の隅に冷静な自分がいて『なんで私はお金を払ってこの人たちに叱られにきてるんだろう』と思いました」

    子供が病気になると、とにかく母親のせいにしたがる人たちが多いと感じているといいます。

    「一番その子を側で見て、心配して、寄り添っているのに、どうして周囲からわかってもらえないんだろう?専門家じゃないのにどうして口を出せるんだろう?なんでこんなに自信満々でいられるんだろう?その情報の明確なソースも出せないのに……と、目の前の人たちに対して、心の中でずっと疑問を投げかけていました」

    「断る時は強めに断りましたが、都度言い返せなかったのは、こういう方たちは言い返すとヒートアップし、さらに面倒臭いことになるとわかっていたからです。黙って聞いてあげるフリをするのが一番やりすごせる方法でしたが、これはこれで、かなりストレスを溜めてしまうので、あまりいい方法ではないかもしれないです」

    同じように外野からの意見に困っている方へ。花森さんは本人のことを気に留めてほしいと話します。

    「わたしの場合は子供の学校の先生だったのですが、子供が夜パニックを起こして眠れなければ『お母さんも寝てないんじゃないですか?』、つきっきりで学校に来ている時は『買い物とか普段どうされてるんですか?』、しんどそうな時は『中々休めないかもしれないけどちゃんと休んでくださいね』と心配してくださって、本当に救われました」

    「一番しんどいのは病気になってしまった本人」だと前置きしつつ、「自分自身のことはおざなりになってしまっていたので、気にかけていただけるとそれだけで生きていく元気が出る」と明かしてくれました。

    「あとは全然関係ない普通の話が嬉しかったです。テレビはあまり見る時間がなかったので、コンビニスイーツや音楽の話など、くだらないかもしれないんですが、家族の病気以外の日常を生きていいんだと思わせてくれる希望になりました」

    「病気のことは当然担当のお医者さんが一番詳しいですし、前提として家族が病気だから悩んでいるというのは、あると思います。ご家族の病気も心配ですが、できましたらそのご本人のことを気にかけてくださったら嬉しいです」