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あの瞬間、本物の重さを感じた気がしたから。男性と一生死なない猫たちの物語。

一瞬ずれた重心に感じた可能性を追い求める男性を取材しました。

あの「瞬間」のおかげで今、猫作りに没頭しているのです。

4年ほど前にクタクタのぬいぐるみを抱き上げた時、一瞬ずれた重心に「生き物の重さ」を感じたーー。

恒久的にその重みを感じたい。その一心で骨格から猫を再現するアートドール作家がいます。

「生きてはいない代わりに死ぬこともない猫」である事に意味と可能性を感じているという男性を、BuzzFeedは取材しました。

ここまで完成するまでには、トライアンドエラーの日々が。

骨猫さんのTwitterより / Via Twitter: @iiiiliiiil_1cm

(すべて骨格から作られたぬいぐるみ)

男性の名前は骨猫さん。

アートドールの猫たちとの日々に、このような思いを話します。

「全部が大変で、全部に工夫を凝らして乗り越えました。3度ほど本気で挫折しかけましたし…」

「作った」と言っても「全体の設計」と「個体の組み上げ」で意味が変わってくるのだと話します。

「たしか2016年から設計を始めました。そこからまだ顔の無いものや口の開かない未完成の子を何頭も作りつつ全身の設計を進めました」

「全身の形が決まった」のは割と最近のことなのだといいます。

「2017年の時点で、未完成ながら何頭かは組み上げています」

ぬいぐるみにもペット用の服を!

骨猫さんのTwitterより / Via Twitter: @iiiiliiiil_1cm

骨格にはどんなものが使われているのか尋ねると……?

「中質繊維板(MDF)や金属ワイヤー、ネジ、鉄の重りなどです。他の部分は普通のぬいぐるみと材料に違いはほとんどありません」

ただ、こんなデメリットも。

「MDFが水に弱いので他のぬいぐるみと違い「洗えない」というポイントがあります。なので汚れ対策にいつもペット用の服を着せています」

どんな手順で作っていくのか聞いてみるとこのような回答が。

「レーザー加工機で骨格のパーツを切り出して組み上げ、3Dプリンタで作成した型で、顔や舌などを作り組み上げます。あとはぬいぐるみの工程です」

「3Dプリンタを活用していている箇所については基本的に型の出力です。そこから型取りで複製するようにして『顔』『舌』『肛門』を作っています。とても出力に時間が掛かるので、直接3Dプリンタでパーツを作る手法は取っていません」

猫を飼ったことがなくても。

骨猫さんのブログより / Via ameblo.jp

(骨猫さんのドールと猫カフェの猫ちゃん)

今までに猫を飼ったことがないという骨猫さん。

猫カフェに通って、ふれあいながら骨格を学ぶことや、Web上で資料を探して作品に生かしていったと話します。

「Web上でも3Dコンテンツがありましたのでそういったものも参考にしました。本物の猫の骨格を見れたことは博物館で一度だけです」

「頭骨のみであればイベントで複製品を売っていた方がいらっしゃったのでそれを購入して参考にしました」

そして4年もの歳月が経ち、徐々に猫の骨格をモノにしていったのだそうです。

オリジナルの試みとして、いろんな人に触ってもらう強度耐久テスト。

骨猫さんのTwitterより / Via Twitter: @iiiiliiiil_1cm

他の作家さんがしないような、ユニークな試みも実施しているといいます。

「普通の作家さんならしなさそうな事として、強度試験の為に自分の作った子を行きつけのバーに置いてもらい、いろんな人に触ってもらう耐久試験を行いました」

多くの目に留まり、手に取られたアートドール。よく壊れたと言います。

「そうやって実際にどこがダメになるかを調査して修理しつつ設計を改良していきました」

一生懸命作っている事実は変わらないからこそ、こんな工夫を。

「『修理するとはいえ壊す前提なのに名前付けたらやりにくいな…』と思い当時は『試作○号』などと連番で呼んでました」

最初に作り始めた頃は「半年くらいで完成する」程度のノリ。

骨猫さんのTwitterより / Via Twitter: @iiiiliiiil_1cm

「どうやったら動物を抱いてる感覚を再現できるのか、認知科学的な興味を満たす」くらいの気持ちで始め、お金と時間を大量にかけたからこそ、手を止めることができなくなったと振り返ります。

だからこそ、完成まで突き進むしかなかったのだ、と。

「ある程度、形になってからは応援してくれた友達や、イベントなどで抱いて可愛がってくれた人たちが『自分以上に猫として接してくれて』自分でもより愛着が湧いて周りの人たちのこの子たちへの思いに逆に感化されるようになりました」

骨猫さんのブログはこちらから。

Contact Reona Hisamatsu at reona.hisamatsu@buzzfeed.com.

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