ボディポジティブは他人事じゃない。試着室に入った時のことを描いた日記漫画とは。

    適応障害が原因で20〜30kg増えてしまったという女性。ボディポジティブ、すなわち自分の体を肯定することは、どんな悩みにもあてはまり、他人事ではないと話します。

    「ボディポジティブ」ってなんだっけ。

    渡辺直美さんや藤井美穂さんが、国内外で大きく活躍しています。

    ありのままの姿に誇りを。外見や体形の多様性に力を。メディアでは文字通りポジティブに語られる「ボディポジティブ」。

    しかし、街中の雰囲気は必ずしもそうではありません。

    「『ボディポジティブ』とか『プラスサイズ』とか、SNSを通して自己肯定感をあげても、街に出て試着室に入ろうものなら」というメッセージとともに投稿された日記漫画があります。

    どのようなものなのでしょうか。

    洋服屋さんで試着に入った時、こんなふうに思うことがある。

    着ようとする服がフィットしないとき、ブランド側からどこか否定されているような気持ちになる。

    「ボディポジティブ」という言葉に耐えられなくなる。

    一般的なアパレルと大きいサイズのお店の中間サイズは、少し面倒なのだ。

    BuzzFeed Newsはボディポジティブやフェミニズムを題材に作品を作っているkasumiさんを取材しました。

    「これは1年ほど前に描いた日記漫画を清書したものです。元々ぽっちゃりしていたのですが、2017年に発症した適応障害が原因で、体重が20〜30キロ増えました」

    以前は服を選ぶ時「それほど苦労しなかった」と話しますが、それ以降は駅ビルに入っているような一般的なお店の服が全く着られなくなったといいます。

    今まで服選びで消耗したエピソードを尋ねると、こんな回答が。

    ・友達と観劇に行く際のワンピースが欲しくて服屋を見て回った時、気に入った服を取って店員に他サイズは売っていないか尋ねたら、「当店はすべてMサイズのみの展開になっています」と言われたこと

    ・サイズが合っても試着室に入って服を着ると「可愛くない」「似合ってない」「太っている人が似合うようにはデザインされていない」など自分の中の嫌な考えが浮かんで、結局買うことをあきらめたこと

    ・服を選ぶときの判断材料が「かわいい」「好き」から「体が入るもの」に変わったこと

    ・地方在住のため、サイズ展開が豊富なお店や「大きいサイズ」の店に行くことが大変なこと

    試着室で虚しくなったり、涙が出そうになったりするのはあなただけじゃない。それに、あなたは悪くない。

    世界では市民権を得つつある「ボディポジティブ」。

    日本でも、メディアやSNSを通じてこの言葉は広まりつつありますが、まだ考え方が定着したとまでは言えそうにありません。

    その理由についてkasumi さんは「一部の太った人のみを表す海外の言葉だ、自分と自分の住む日本には関係が無い」と思っている人が多いからではないか、と語ります。

    「『自分の体を肯定すること』は、例えば身長で悩んでいる人、足の大きさで悩む人、髪の毛の質で悩んでいる人、肌荒れに悩む人にも必要なメッセージで、他人事ではないのに」

    「太っていることは不健康だからポジティブに捉えてはいけない」とよく言われますが、『何故私の体の健康不健康を勝手に判断して、心の健康を阻害するのか』わかりません」

    この漫画を投稿すると、「痩せなよ」「デブ」といった、心無いリプライもありました。

    「拡散が始まった時から予測していたので傷つかなかった」と話します。

    一方、こうしたリプに反論しました。

    「私の漫画を見て共感してくれた人たちが心無いリプライをみて傷付かないか、自信を無くさないかが心配だったので、反論しました」

    そして、同じように自由に服が買えない人たちに、このようにメッセージを贈ります。

    「私達がいつでもどこでも好きな服を、他の人同様にすんなり買うことができないのは、あなたのせいでは絶対にないと思います。あなたに合う服を作る必要が無いと思っている企業が、人が、世の中が悪い」

    どこでも好きな服を買いたいタイミングで手に入れられるように。

    日本のアパレルブランドのサイズ展開に、思いを話します。

    「フリーサイズ(Mサイズ)という概念は無くなってほしいし、大きいサイズも通販でなく店舗で売ってほしいです。

    「大きいサイズの服を着る人も、あなたの店の素敵な服をいつでもどこでも買えるようになりたいんだ、と常々思っています」